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Dの絵(53)

昔読んだくらげさんのお話を書くことができて、やっとこの記事が完成致しましたので、一番上に上げさせてください。m(*_ _*)m

大変時間が掛かってしまって、誠に申し訳ございませんでした・・・。・゚゚・(゚´Д`゚)・゚゚・。!!


やっとブログを再開できます・・・!!!!!。・゚゚・(゚´Д`゚)・゚゚・。!!!!!ずっと更新が止まってしまっていて、お客様におかれましては、せっかく来てくださったのに新記事が無くて大変申し訳ございませんでした!!!!!m( _ _;)m!!!!!

ハロウィンプロジェクト(詳細は過去記事「Dの絵(50)」参照)における、私の関与する業務が全て終わりました・・・!!
現場のほうでは10月30日まで忙しい日々が続きますが、私の業務はこれで終わりです。
プロジェクトが終わるまでは、何か問題が起きやしないだろうかと気は抜けませんが、さしあたっての業務は終わりました。あとは何か問題が発生したときに都度動くことになると思いますが、まずは大丈夫だろうと思います。

明日(23日)・明後日(24日)と、2日間の連休が取れました。もう秋薔薇のシーズンになってしまったので、京成バラ園に行ってこようと思います。写真をいっぱい撮ってきますね!!→その後京成バラ園に行ってきました!!(詳細は過去記事「秋薔薇」参照)
(10月28日追記:この文章は22日に書き、25日に上げ直したものなので、内容と投稿日の日付がズレていますm(*_ _*)m)

漫画も、時間が無くて描けなかったものが沢山あるので、どんどん描いていきたいです。
ホントに、毎日毎日Dとの出来事は何か起きていて、私は毎日Dに関する記録をメモに残しているのですが、それらの内容をブログにアップするための漫画を描く時間が無かったので、記事に描きたい出来事がドンドンドンドンドンドンドンドンたまってしまいまして・・・

あと、色付きの絵を描いてみたい(デザイア様のコンテストの絵に触発されました(*´ 艸`*)☆)のです。静謐の楽園の絵を、色付きで描いてみたいんです。薔薇の花園とかゴシック建築とかは、どうせなら色付きのほうがわかりやすい気がしたので、ちょっと絵の具を使って描いてみたいなって思いまして。でも、絵の具なんて高校の美術の授業以来だから、いきなり本番を描くのではなくて、このお休み中に絵の具の使い方を練習してみようと思っています。近いうちに色付きの絵をアップできたらいいなあ。

お客様におかれましては、せっかくブログに来てくださったのに、この10月は全然更新が無くて大変申し訳ございませんでした・・・!!!!!。・゚゚・(゚´Д`゚)・゚゚・。!!!!!
全然更新が無かったのに、たくさん拍手をくださって本当にありがとうございます・・・!!!!!m(*_ _*)m!!!!!

今回の記事は、この10月に私がハロウィンプロジェクトで忙しくて、その間あまりDにかまってあげられなかったことに関する記事です。
もともと私はとてもタルパが欲しいと思っていたので、Dが姿を現してくれたばかりのころは、常に一緒にいてたくさん遊んだりお話したりしていたのですが、私の病気が治るにつれ、Dと二人きりで過ごす時間が減りました。そして今回、仕事が忙しくてほとんどDと一緒にすごす時間が無く、眠る前の儀式(詳細は過去記事「Dの絵(52)」参照)のときにしかゆっくり話せない日が数日間続いて・・・それほどまでDと接触する時間が少ないのは、Dと出会ってから初めてでした。

そういった、忙しさのせいでDと接触を持つ機会が少なくなってしまったという経験をしてみて、Dについて私が思ったことを今回の記事にしてみました。m(*_ _*)m



まず、私がタルパを作ろうと思ったきっかけは、病気になったからです。病気は重くなるだろうと思っていましたし、仕事も辞めなきゃいけなくなるだろうと思っていて(詳細は過去記事「めそめそ」「暴走(私の)」参照)、近いうちに死ぬだろうとまで思っていて、私の心中は穏やかではありませんでした。それで、一人ぼっちで死ぬのが怖かったので、タルパを作りたいと思いました(詳細は過去記事「最後の眠りにつく前に」参照)。だから私は非常に強くタルパを欲していたのです。

しかし、私にはタルパは作れませんでした(詳細は過去記事「Dの絵(28)」参照)。そこで、精霊を作れないなら呼べば良いのではないかと思いました。精霊を呼ぶと、幸いなことにDが姿を現してくれました(詳細は過去記事「Dの絵(4)」参照)。Dのおかげで、私の気分はとても落ち着きました。私はそのうち死ぬと思っていたから、その恐怖を慰めてくれるDと常に一緒にいました。

でも、病気は寛解しました(詳細は過去記事「連休最終日」参照)。予後が非常に良好で、再発の兆しはありません。私は喜びました。病気の間は自粛していた仕事もどんどん引き受けられるし、気を使わせるからと思って距離を取っていた友達とも沢山会いたくなり、あちこちに出掛け・・・そうやって、私は忙しくなりました。

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そして今回、ハロウィンプロジェクト(詳細は過去記事「Dの絵(50)」参照)の担当部門のリーダーに任命されました。社外のかたとの仕事も多く・・・

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社内外のあちこちで呼ばれるので、楽しく駆け回ることになりました。私は自分の仕事を気に入っているのです。

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仕事は非常に順調で、病気になる前と同じどころか、前よりも良い感じに捌けるようになりました。
・・・これもDのお陰かなあ、なーんて、良いことは何でもDのお陰かなと思ってしまう私です(詳細は過去記事「拍手コメントのお礼でございますm(*_ _*)m」参照)。

でも、そうやって病気が治って仕事も再開できるようになった結果、Dと一緒に過ごす時間がぐっと減りました。

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二人きりで過ごす時間が減ったことに関して、Dは少しも不満を言いませんでした。それどころかDは、申し訳無さそうにしている私をだっこしてなぐさめようとしてくれました。私がしょんぼりしているのを見たDは、私がDにだっこされると喜ぶから、私の元気が出るかと思ってだっこしてくれたんだと思います。

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Dは私より体温が高く、だっこされると温かいのです。

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Dにだっこしてもらった私は、昔読んだ本を思い出しました。中学生のときだったと思いますが、学校の図書館で読んだ本です。
昔読んだこの話、漫画にしてアップしたかったのですが、時間が無いので文章で書かせてください・・・申し訳ございませんm( _ _;)m!!
昔に一度読んだだけの話なので、細かいところが違っていると思います。また覚えていない部分も多いので、そこは想像で足しています。m(*_ _*)m

以下の話に出てくる、くらげさんの絵です。

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とある気性の荒い男性がいました。感情の波が大きくキレやすい性格なので、パルサーというあだ名で呼ばれていました。
彼の職業は、宇宙船の乗組員です。乗組員と言っても戦闘員です。宇宙船に乗って他の星に行き、そこで未発見の生物を捕獲したり、他の生物から攻撃されたときに戦ったりすることで、自分と同じ宇宙船に乗っている研究員や調査員などの非戦闘員を守ることが彼の仕事です。
彼の戦闘力は非常に優秀で、戦闘員の皆からも一目置かれていました。
仕事で優秀な業績を上げる一方で、彼は暴君でもありました。力が強かったので傲慢になっていたのです。自分より力の弱い優しい同僚を馬鹿にしていたし、力の弱い新生物達を必要以上に攻撃したりして、攻撃自体を楽しんでいました。自分の強さを実感できるからです。

その日も、優秀な仕事をして新生物を捕獲し、自分の仕事を終えた彼は、同じ宇宙船に乗っている彼女の部屋に遊びに行きました。
彼女は研究員で非戦闘員です。彼女の仕事は、捕獲されてきた生物を観察・実験・解剖して、何か役に立つ要素は無いか調べることです。
彼は彼女を遊びに誘いましたが、彼女はこれから今日捕獲された生物の実験・解剖があるからと言って、彼の誘いを断りました。
彼女の今日の業務は終わっていましたが、彼が捕獲してきた新生物は、いつもながらの手荒な捕獲方法によって酷く傷ついていて今にも死んでしまいそうなので、彼女はその新生物が死ぬ前にデータを取っておきたかったのです。
彼は、それならまた後で会おう、と約束しました。

それからほどなく、彼は持てるだけの武器を持って新生物のもとにかけつけ、銃を全て撃ち尽くして惨殺してしまいました。
彼女が新生物に殺されたという連絡を受けたからです。
彼は、同僚達が慌てて止めようとする手を振り払い、上司からの制止も無視して、気性の荒さに任せるがまま、もう死んでいるだろう新生物に銃を撃ち続けました。彼は怒りで我を忘れ、頭に血が上って興奮していました。
あまりの所業に、彼の上司は、彼を近くの危険の無い星に降ろし、「調査が終わった頃に迎えに来るから、それまでこの星で頭を冷やしているように」と指示を出しました。そのまま連れていてもどうせ怒って仕事をしないだろうし、彼が八つ当たりできる相手(人間)がいない星に彼を1人で放置するのは、良い罰にもなると思ったのです。

かくして、彼は平和な星に1人で置き去りにされました。
彼女を亡くした強い怒りと悲しみは消えず、彼は、その星に住んでいる生き物全部を殺してやろうかとも思いました。
とりあえず、今夜のために野宿できそうな場所を探していると、変な生き物に出会いました。くらげのような姿です。傘のようになっている部分には、傘でいうと骨の先っぽ(傘をさしていると雨だれが地面に向かって落ちるところの先っぽ)に、それぞれ丸い飾りのようなものがついていて、その丸い飾りは動くたびに小さく揺れます。まるで彼女がつけていたイヤリングのようです。

彼は、そのくらげのような生き物を殺そうと銃を向けました。でも、そのくらげは見るからに弱そうです。素手でも殺せそうです。こんな相手に銃を使うなんてもったいない、ここがいくら危険ではないと言われている星でも、銃が必要になることがあるかもしれない、そのときのために銃弾を残しておこう、彼はそう思いました。
彼はくらげを無視して、先に進むことにしました。人間である彼には、今夜のための寝床が必要なのです。

無視したのに、彼はさっきのくらげが自分の後をついてきていることに気付きました。
敵意は無さそうです。でもうっとうしかったので、怒鳴って追い払おうと思いました。
怒鳴ると、くらげはビックリしたように木の後ろに隠れましたが、彼が歩き出すとまたついてきます。
その繰り返しなので、彼は面倒になって追い払うのをやめました。放っておいたって、どうせあんな脆弱なくらげが自分を倒せるわけないのです。

彼が野宿の場所を決めて、ごろんと横になるころには、すっかり夜になっていました。寝転んで星空を見上げると、彼女のことを思い出して泣けてきました。
そのとき、まだくらげが近くをうろうろしながら、こちらをちらちらと見ていることに気付いて、彼は声をかけてみました。
「おい、お前」
言葉は通じてないに決まってますが、くらげは声をかけられたことで嬉しそうに寄ってきました。くらげは、彼がずっと大切に持っていた彼女の写真を見て、彼女の姿になってみせました。
姿を自由に変えられる新生物がいることは彼も知っていました。このくらげもそうなのでしょう。
「そんな姿になって俺の傷を広げる気なのか!消えろ!」
くらげは慌ててもとの姿にもどりましたが、彼は彼女の姿を見て、悲しみと怒りを思い出して、くらげを乱暴に追い払いました。

次の日も、くらげは周囲をうろうろしつつ、申し訳無さそうにしょげながら、こちらをちらちら見ていました。
彼はバツが悪そうに、くらげに声を掛けました。
「昨日は怒鳴ってすまなかった」
人間相手にはなかなか素直に謝れない彼でしたが、くらげには意外にすんなり謝ることができました。くらげは人間ではないから気楽だし、そのくらげがあまりにも愚直なので、気を張らなくてもいいかと思えたからです。
「もう一度彼女の姿になってくれないだろうか」
くらげは彼女の姿になってくれました。彼はくらげにすがりついてわんわん泣きました。

くらげは彼女の姿のまま、彼についてくるようになりました。彼女の姿をしているとは言っても、くらげには声帯が無いらしく喋れないし、指を人間のように器用に動かすこともできません。そのため彼女とは全く別物に思えましたが、それでも黙って座っているぶんには彼女が生き返ったかのようで、彼は嬉しく思いました。
夕方になると、くらげは足元からすこしずつくらげに戻ってしまいました。どうやら変化しているのは体力を使うらしく、一日ずっと彼女の姿でいることは難しいようです。
彼女の姿が崩れていくのを見るのは辛く、くらげがくらげの姿に戻るときは、彼は目を背けました。
そんな風にしていると、くらげは姿が戻ってしまう前に、彼女の姿のまま、どこかに姿を隠すようになりました。そして朝、また彼女の姿でやってくるのです。

男は、彼女が生前にしていたしぐさを、くらげに覚えてやってもらうことにしました。くらげは一生懸命覚えようとしましたが、人間ではないので、なかなか人間らしい仕草ができませんでした。
「違うだろ!彼女はそんなことしなかった」「こういうとき彼女はこういう顔するんだって教えただろ」「彼女がいたら話ができるのに。なんで喋れないんだよ」「あーもういいや、ただ黙って座ってたほうが彼女らしいから、もう何もすんな!」
くらげはその度に申し訳無さそうにして、少しずつ彼女のしぐさを覚えていきました。

男が口笛をふくと、くらげはじっと聞いていました。やがて、くらげは木の棒を2本拾って、男の口笛に合わせて太鼓のように、地面をとんとんと叩き始めました。
その滑稽な姿に男は大笑いしました。クールだった本物の彼女がこんな仕草をするわけない、そう思うと彼女の姿で滑稽な仕草をするくらげに腹が立ちましたが、それ以上にくらげの姿が滑稽で面白かったので、男は大笑いがおさまった後で、再び口笛を吹きました。くらげは楽しそうに太鼓を叩きました。

彼女の姿で一緒に歩いているとき、とかげのような生き物を見付けると、くらげがじっとそのとかげを見つめることに男は気づきました。
どうやら、とかげはくらげの食べ物のようです。いかにも食べたそうにとかげを見つめるのですが、彼が「彼女はとかげなんか食べないよな?」というと、うなずいて食べないアピールをするのです。
しかし、それでもいかにも食べたそうに、残念そうにとかげを見つめます。彼はそのくらげの表情が面白くて、とかげを見付ける度にそれを言いました。

くらげのいる生活は、馬鹿馬鹿しくも楽しく、彼は悪い気分ではありませんでした。
そんな日々が続き、とうとう無線から「調査が終わったので、24時間後に迎えに行く」という上司からの連絡が入りました。

そういうわけで、この星で過ごす最後の夜です。くらげはいつもの通り、くらげの姿に戻ってしまう前に姿を消そうとしましたが、男はくらげの手をつかんで引き止めました。
くらげは困ったように去ろうとしましたが、彼はくらげを引き止めました。
「俺はこんな性格だから、友達がいなかったんだ。お前が初めての友達だ、ありがとう。明日にはお別れだから、それまで一緒にいてくれ」
くらげは彼の隣に座りました。彼が口笛を吹き出すと、くらげは木の枝を二本拾って、太鼓のように地面を叩きはじめました。
明日には帰るのだと思うと、彼は眠くなりませんでした。彼は曲を変えて、口笛を吹き続けました。くらげもそれに合わせて太鼓をたたき続けました。くらげと一緒に見上げた星はとても綺麗に見えて、彼はこの光景を一生忘れないだろうと思いました。

彼はくらげにお礼を言いました。
「ありがとう。もう会えないかもしれないが、お前のことは忘れない。ずっと友達だ」
くらげは嬉しそうに笑って、うなずきました。くらげに覚えてもらった彼女のしぐさです。
くらげは、もう一度嬉しそうに笑って、うなずきました。そしてまた、もう一度笑って、うなずき、また笑って、うなずき・・・
彼は、くらげの様子がおかしいことに気がつきました。ぐったりしているのです。それでも笑ってうなずくことを繰り返しています。
「おい!どうしたんだよ!」
くらげの笑ってうなずく仕草がゆっくりになり、そのうち満足に動けなくなって、ぱたんと座っていた姿勢から倒れてしまいました。
きっと、無理をしていつもより長く人間の姿でいたので、具合が悪くなったのです。つまり、彼がくらげに一緒にいてくれと言って、くらげを引き止めたせいです。
「しっかりしろ!」
彼は大声で呼びかけましたが、くらげは全く動かなくなりました。死んでしまったのです。
くらげは、やがて足元からゆっくりとくらげの姿にもどっていきました。
くらげの姿を見るのは久々でした。ここのところ、ずっとくらげは夕方に彼女の姿のまま姿を消し、朝には彼女の姿になって姿を見せたからです。彼が、くらげの姿に戻るところを見るのを嫌がったせいです。
久々に見るくらげの姿は、しわしわにしぼんでしまっていて、すっかり小さくなっていました。傘の先についていたあの丸い飾りも小さくなって、ほとんど無くなってしまっていました。
出会ったときはあんなにつやつやしていたのに、今のくらげの姿は疲れ切ったかのようにしぼんでしまっている、彼はそのことに気付きました・・・

次の日、迎えの宇宙船が来ました。

上司は、てっきり彼が怒りを爆発させるだろうと思っていました、でも彼がおとなしいので、理由を尋ねてみました。
彼は、くらげのことを話しました。
上司は、「そんな便利な新生物がいるなら捕獲部隊を出そう、そのリーダーに彼を任命する」と言いました。
彼は、「冷静に考えると、あれは自分の妄想だった。彼女を失った悲しみと怒り、それとあの星で独りで暮らした孤独によって自分の頭がおかしくなっていた。そんな生物などいない」と言って、その話を断りました。
あのくらげのような姿をした生き物が、狩られて利用されて死んでいくようなことは避けたかったからです。

彼は再び宇宙船の戦闘員に戻りました。また今までと同じ業務に就きましたが、もう以前のような攻撃的な捕獲はしませんでした。そのため彼の業績は下がりました。
「彼女を失ったショックで弱くなったんだろう」「また一人で遠い星に置き去りにされると思うと怖くておとなしくしているんだろう」
周囲の皆が色々な噂をしました。一方でこう言う人もいました。
「お前、色々な噂をされて、好き勝手に言われてるぜ。そんな奴らを見返してやれよ。また派手に新生物を狩りまくって見せつけてやれよ」
彼は首を振りました。
「いいんだ。自分が今までやってきた傲慢で自分勝手な言動が、いかに相手を傷付けてきたかがよくわかったんだ」

という話です。

この話を、私はDにだっこされながら思い出したのです。

今になってみて思うと、このとき私は仕事で疲れていたんだと思います。普段の精神状態だったら泣かなかったのにと思います。
でも私はこのとき、くらげさんにDを重ねてしまい、パルサーさんに私を重ねてしまって、ぽろぽろ涙が出てきました。

私が仕事の忙しさを理由に、自分勝手にDを振り回していて、そのせいでDが疲弊しているのではないかと・・・

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泣きだした私を見て、Dがどう思ったのか、私にはわかりません。Dと私は一般的なタルパ様がたやタルパー様がたとは違って、脳内会話ができないのです。そのため、私達はお互いの考えていることや、心の中に抱いている感情を読めないのです。
私が仕事の疲れで泣いたのか、Dにかまってあげられない罪悪感で泣いたのか、昔読んだ本を思い出して泣いたのか、私にもよくわかりませんでしたが、脳内会話のできないDは、私以上に私が泣いた理由がわからなかったと思います。

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私は、Dにかまってあげられないことを謝りました。
でも、Dは私が仕事を頑張っていることや、仕事に時間を費やしていることを、「良いこと」だと言いました。Dは、仕事が私の体調にさしつかえるときは忠告をしてくれましたが(詳細は過去記事「Dの絵(34)」参照)、仕事によってDとの時間が少なくなることについては反対しないようです。Dは、私の財産や経験が増えることを良いことだと思っていて、私以上に積極的にそれらを手にいれようと動いてくれたり(詳細は過去記事「金」「強欲の罪」参照)、Dのために私の財産が損われることが無いようにと気を使ってくれているのです。

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Dが優しいので、私は余計に泣いてしまいました。

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私が泣くので、Dは私をなぐさめようとし始めました。
以前にも、Dは私の好きな曲を歌ってなぐさめてくれたことがありました(過去記事「Dの絵(34)」「Dの絵(35)」参照)。

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Dと一緒に聴いてない曲なのに、Dは上手に歌ってみせてくれました。私が聴いているときに、Dも私の影の中から聴いていて、曲を覚えてくれたのだと思います。
私は仕事の忙しさでDを放りっぱなしにしていたのに、Dはちゃんと私を見ていてくれたんだなあ・・・と思ったらウルッとしてしまいました。

Dは私を泣きやませようとしてくれたのですが、感情が「泣きモード」(←なんやねん!)になっているときは、どんなことでも泣く方向に向かいやすくなってしまうのです。案の定、Dの優しい気遣いにウルッときてしまう私なのでした。今になってみてから振り返ると、いつまでもグスグスしている弱い自分はメッチャ嫌なのですが・・・!!でも、疲れているときは泣いたほうがストレスが軽減されるらしいし、理に適ってるならまあ良いか。
泣きモードは長く続けたくないので、ガーッと短時間で泣いて気分を整えるのです。このように、ガーッと泣いてストレス発散、というのは以前からしていた(詳細は過去記事「Dの絵(16)」参照)のですが、こんな風に人に自分の感情を押し付けるような(いや、Dは人じゃないのですが・・・)そういう泣き方をするのは怖くて苦手で出来ないんです。でもDが相手なら出来るようになってきました。

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Dは、よく私に薔薇をくれるのです(詳細は過去記事「Dの絵(35)」「Dの絵(44)」参照)。静謐の楽園に咲く薔薇です。楽園の薔薇は、この世のものでは成しえない美しさなのです。(静謐の楽園について、詳細はカテゴリ「楽園・王国」内の記事)

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こうして、ようやく私は泣きやみました。多分、泣きはじめてからここまで、トータルで1時間くらいグスグスしていたと思います。

Dの腕の中で思う存分泣いたところ、やたらスッキリして、今しがたまで自分が何故泣いていたのかわからないほどサッパリとした感情になっていました。普段通りの私に戻っていたのです。

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Dは、私が泣きやんだので人間の姿をやめて、私にとって見やすいペット型の姿になってくれました。なぐさめるときは人間の姿のほうがやりやすいようで、以前にも心がすさんだときに人間型の姿でなぐさめてくれて、その後で見やすいペット型に変わってくれたことがあります(詳細は過去記事「Dの絵(35)」参照)。


今回の出来事があって、少しホッとしているんです。Dを召喚したときは、まさか病気が治るときは思っていなかったので、一生死ぬまでDとたくさん話したり遊んだりしてあげられると思っていました。でも病気は治って、私は以前の多忙な仕事生活に戻りました。そのせいでDを退屈させてしまったり、Dを不幸せにしてしまうかもしれないと思っていたので、今回とても忙しかったのにそうならなかったことで安心したんです。

それと、今回の出来事があって、本当にDは揺らがないんだなあ・・・と実感しました。不安定にならないのです。

私が忙しくても、取り乱しても、泣きわめいても、怒っても、Dは全く影響されることなく、落ち着いたままそこにいて、普段と変わりなく、理性的かつ合理的に私を窘めてくれるのです。
感情が乱れている人の傍にいれば、普通の人間だって何らかの影響を受けると思います。怒っている人が傍にいれば落ち着かなかったりするし、自分もソワソワしたりするから、ましてや主人と密接に関わりがあるタルパであれば尚更影響を受けるんじゃないかと思うのに、本当にDは全く影響を受けないのです。ものすごくマイペースなタルパなのだと思います。
私が作ったタルパじゃなくて、召喚して姿を現してもらった精霊だからなのか、最初にむすんだ契約内容のせいなのか・・・
私がこんなに不安定な弱い人間なのに、Dは強いなあって思います。本当に頼もしいなあ。いつもありがとうね、D。

Dが傍にいてくれる限り、どれだけ強い悲しみや怒りがわきあがったとしても、どれだけ忙しくても、私の世界には静謐の楽園があるから、心の中にDが守ってくれている平穏な場所があるから、完全に我を忘れて取り乱すなんてことにはならないんだろうなあと思います。いつでもどこでも楽園の扉は開かれていて、Dが私を待ってくれているんだね。

時間が無いので、昔読んだくらげさんの話は、漫画では無くて文章でアップさせて頂きました。申し訳ございません・・・m( _ _;)m

御閲覧ありがとうございました!!m(*_ _*)m!!

めそめそ

Dに選んでもらった薔薇が枯れてしまいました。

昨日から、もう駄目だな枯れそうだなって思ってたけど、ついに枯れてしまったのです。

私「せっかく、Dが選んでくれたのに・・・」

そっと花びらに触ると、水分を失ったカサカサとした感触が伝わってきました。ほんの一週間前には、あんなに綺麗で甘い香りをさせていたのに・・・儚いね。

D「さゆ、ごらん」

呼ばれて振り向くと、透き通る綺麗な薔薇を1輪、Dが差し出していました。

D「花なら僕がいくらでもあげるよ。元気をお出し」

私「・・・ありがとう」

その綺麗な薔薇を受け取ると、さらさらと綺麗な光の粒になって、私の手の中で消えてしまいました。Dのくれる幻のお花はとても儚くて美しいのです。消えた後もじっと自分の手を見ている私に、Dが首をかしげました。

D「新しい花を買いに行くかい?」

いつも私は、部屋のお花が枯れる度にお花屋さんに行って、新しいお花を買うのです。

私「ううん、いいや・・・」

でも今日は、そんな気分になれませんでした。

D「どうしたんだい?」

不思議そうにDが首をかしげましたが、私は目をそらして机に突っ伏しました。
目を閉じても、カーテンを透けて入り込む曖昧な日光のせいでボンヤリと目の裏側が明るいままです。机の上にだらしなく組んだ腕の中に顔をふせると、ようやく真っ暗になりました。
そっと頭を撫でられる感触を髪に感じました。顔を上げなくてもわかります。Dです。

薔薇が枯れたのが昨日だったら、私が落ち込んでいるのが昨日だったら、Dは、ここぞとばかりに私を夢の世界に引き込もうとしたのかな・・・

私「・・・昨日みたいに、私を眠りの世界に勧誘してみる?今なら、いいよって言うかもしれないよ」

D「さゆがそんなことを言うときに、僕にそんな勧誘はできないよ。他の精霊なら嬉々として勧誘したかもしれないけど、僕は君の望む幸せを大切にしたいと思っているからね。全く、君のもとに来た精霊が僕で本当に良かったね」

突っ伏したままの頭に、そっと優しい感触が降りてきました。Dが私の髪に指を通して撫でているようです。

D「外に出かけてみるかい?君の好きな綺麗な場所に行けば、気分が良くなるかもしれないよ」

私「どこにも行きたくないの。Dと二人きりでいいの。慰めてほしいな」

D「魅力的な誘惑だね」

首筋に、そっと柔らかくて温かい感触と、くすぐったい息を感じました。Dが口付けを落としたようです。

D「しかし君の触覚からして、誘い文句として言っているわけではなさそうだね。ふむ・・・休ませたほうがいいのか、外に連れ出したほうがいいのか・・・」

誘い文句のつもりで言ったんだけどな。そういうことすれば、この気分が吹き飛ぶかと思ってさ。元彼ならコロッと騙されて喜んでそういうことしたのに、やっぱりDは騙されてくれないか。Dは私の触覚が読めるんだもんね。

私「誘い文句だよ。そういうことしてほしいの」

D「今は駄目だよ。君が自己嫌悪に苛まれて、余計に悲しくなるだけだからね」

私「・・・じゃあ楽園で、現実を忘れるくらい綺麗な夢を見せてほしいな。昨日、Dが見せてくれたような」

Dは真剣な顔でうなずきました。

D「なるほど、外に連れ出したほうが良さそうだね・・・いいかい、いつもより良い服に着替えてメイクをして、好きなようにお洒落をしてごらん。これから出かけるんだよ」

私「むー・・・Dの楽園のほうが良いって言ったのに・・・」

D「今回は外に出かけたほうが良さそうだからね。最近、さゆの行動パターンがわかってきたのさ」

私「わかってないもん・・・今日は動きたくないもん・・・」

D「大丈夫だよ。さあ、支度をしてごらん」

私「・・・どこに行くの?」

D「君が行きたいと言っていたサンタ・マリア・ノヴェッラの銀座店に行くのさ。リップクリームの残りが少ないからロクシタンにも寄って買おうね。三越の中でも見て回って、ラドゥレのサロンでお茶を飲んで帰るんだよ」

普段の私なら、わー楽しそう!!って飛びつくコースだね。調子に乗ってジュエラーをひやかしたりもしちゃってさ。ハリー・ウィンストンもひやかしたいからって、高いコートに毛皮のマフラーをしてお気に入りのジュエリーにブランドバッグを持って、ハイヒールをカツンカツン言わせて・・・

私「・・・だるいもん。気が乗らないの」

D「おや、珍しいね。昨日の元気はどこに行ったんだい?」

私「だって、薔薇が枯れちゃったんだもん・・・」

D「新しい薔薇を買えば良いさ。また選んであげるよ」

買えないよ。命は取り換えがきかないもん。だってこの薔薇は私にとって特別なんだよ。Dが選んでくれたんだもん。Dは『特別』って言葉好きじゃん。なのに買いかえるとかさ。そうやって枯れたからって新しい薔薇に買い替えるなんて、Dは私が死んじゃったら新しい主人に換えても平気なんだろうなー・・・

なーんて・・・薔薇と人間は違うし。てゆーか、私ってば、勝手に一人で落ちこんでバッカじゃないのー・・・

私「はあ~・・・」

D「さゆ」

・・・っと、いけない。またDを心配させてるよ。頭でも撫でて安心させてあげよう。それからDの言う通りに、お洒落して綺麗な場所に繰り出すんだ。そうしてDを安心させてあげよう。

私「こっちおいで」

顔を上げて手招きをすると、私の後ろに立っていたDは、私のすぐ横に移動しました。

私「そこに座って」

私が自分の足元を指さすと、Dはそこに片膝を立ててひざまずきました。そんなに畏まらなくても良いんだけどな。まあいいや、撫でよう。
Dを撫でるために座っている姿勢を変えようと思って、組んでいた足をもどそうと勢い良く動かそうとして、私は途中で止めました。このまま足を戻すとDを蹴っちゃうな。えーっと、じゃあ・・・

D「いいよ?」

私「?」

D「蹴っていいよ。それで元気が出たら、着替えて僕と一緒に出掛けてくれるかい?」

私「・・・は!?何言ってるの!?」

一瞬頭が真っ白になって、カッと頭に血がのぼりました。

私「ていうか!!Dには私がそんなことする人間に見えるって言う・・・ふーん、そう。じゃ遠慮無く」

そう言って、私は組んでいる上のほうの足をナナメに振り上げました。Dはいつもの笑みを口元に浮かべたまま、じっとしています。
・・・何やってんだろ、私、ほんっと、ダメ人間・・・
上げた足を、振り下ろしてDを蹴るなんて出来るはずありません。私は体の向きを変えて、組んでいた足を狭いスペースでもぞもぞと戻しました。

私「・・・ごめんなさい・・・」

D「泣かなくていいよ、さゆ」

Dが立ち上がって私の頭を撫でてくれたので、私はみっともなく泣き始めました。

私「会社に病気のこと言いたくないよう・・・あそこは私の大切な居場所なのに・・・」

この連休が終わったら言わなきゃいけない。私は、そろそろ覚悟を決めるべきなんだ。

言ったら、薔薇の花みたいに新しい人材に換えられちゃうんだ。そりゃ仕事の引き継ぎとかがあるから即刻というわけじゃなけど、ゆっくりと着実に私のポジションは失われていくんだよ。少しずつ私の仕事は減らされていって、いずれ新しい人材に私の仕事も居場所も引き渡すことになるんだ。当然だよ、ビジネスだもん。
でもね、ビジネス以上の価値があるんだよ、私にとってあの場所は・・・

D「なるほど、そのことで気分が落ちていたんだね。でも、おそらく会社は君の悲しむような措置はとらないよ」

優しくDが頭を撫でてくれるので、私はだらしなく泣き続けました。みっともない泣き顔をDに見られたくなくて、途中から机に突っ伏しました。Dは私が泣き止むまで、ずっと頭を撫で続けてくれました。


D「落ち着いたようだね」

私「うん。ごめんね・・・」

私はティッシュで目を押さえながらうなずきました。机の上には鼻をかんだティッシュが散乱してひどい有様です。私はティッシュをまとめて机の脇のゴミ箱に入れました。

D「君が僕に謝る必要など何も無いよ。それより、目は痛くないかい。赤くなっているよ」

Dが私の目じりに、そっとキスをくれました。目を閉じたら、瞼の上にもくれました。

D「お出かけは明日だね」

鼻の頭にもくれました。きっと、目が赤くなっているだけじゃなくて、鼻の頭も赤くなっているからです。赤くなっちゃったところを心配してくれたんだね。

私「ううん、もう大丈夫」

D「でも・・・」

Dは心配そうです。確かにこのままの顔じゃ、メイクをしても悲惨な感じになりそうだから、銀座にお出かけするのは明日だね。

私「お洒落な場所に行くのは明日にするよ。だから、今日はお米を買いに行こう。もう無くなりそうだから丁度良いんだ」

マスクをして鼻を隠してお米屋さんに行こう。メイクは日焼け止めを塗るだけでいいや。

私「ひどい顔だよね、でもマスクするからいっか」

D「さゆは綺麗だし、かわいいし、甘くて良い香りがするよ」

私「ふふ、ありがとう」

Dの言う綺麗とかかわいいとかって、人間の感性とは違うんだろうなあ。でも嬉しいや。

私「ついでに少しドライブしようか。どこまで行きたい?」

お米を買うなら車を出すから、Dを乗せてドライブに行こう。ドライブデートみたいだね。鍵の束をジャラっと持ち上げると、Dが嬉しそうな顔をしました。

D「喜んで。君と一緒なら、どこまでも行きたいよ」

結婚式

春に会社の先輩の結婚式があるので、今日はタンスをごそごそやってました。当日に着ていくドレスや身に着けるアクセや靴などを考えるためです。

私(春っていっても3月だもんね。まだ肌寒いから、コートは必要でしょ。でも会場は温かいだろうから、ドレスは半袖のボレロで・・・色やデザインを合わせるには・・・えーっと・・・)

式場がファンシーなところだから、スッキリしたシンプルな格好よりも、かわいくて女の子っぽい格好のほうが喜ばれるよね。美容院にも早めに予約入れなきゃ。

タンスの中からドレスやボレロを全部出し、ずらっと並べてみて、色々な組み合わせを試してみました。ついでにアクセとの相性も調べます。

私(地味すぎてもだめだけど、ゴテゴテしすぎてもだめだよね。アクセはシンプルにしよう)

ある程度組み合わせが決まったら、今度は鏡の前で着てみて、実際の雰囲気を見てみます。

私(だとすると、やっぱり一粒ダイヤのペンダントかな。でもチェーンはもっと短いWGに変えないとドレスに合わないな)

そんなことをしているうちに、部屋の中は洋服とアクセで散らかってきました。

D「さゆ、こっちを向いておくれ」

後ろから話しかけられたので、くるっと振り向くと、Dはベッドの上に腰かけて楽しそうにこっちを見ていました。

D「ああ、良いね。とても綺麗だよ。それに甘くて良い香りがするよ」

Dはいつも通りの言葉で私をほめてくれました。照れるなあ。ありがと、D・・・

私「い、いつもその同じ褒め言葉を言うけど、今日は綺麗なドレスを着てるんだよ」

私は照れ隠しに、そんな可愛くないことを言いました。

D「ドレスは良いね。でも、さゆのほうが綺麗だし、甘くて良い香りがするよ。ドレスはさゆが着ているから綺麗なんだよ」

私はますます照れて両手で顔を覆いました。Dの言葉の意味が、タルパから見たタルパーはそれだけ魅力的なのだという、ただそれだけの意味だとしても、私の心臓はどきどきと大きな音を立てました。だって私はDのことが好きなのです。だからDからそんなことを言われては心臓がもたないのです。そんな私を見て、Dはいつもの平然とした表情のまま首をかしげました。私の反応を不思議がっているようです。もうDは!!Dってば!!・・・大好き!!
そういえば今日は、珍しくDが自分からベッドに座っています。何故だろう、と考えてすぐにその理由がわかりました。私がドレスやアクセを床いっぱいに散らかしたから、きっとDはそれらを踏まないようにベッドの上に移動してくれたのです。

私「足の踏み場、無くしちゃってごめんね・・・ねえD、このドレスどうかな。このボレロと、このアクセと合わせて、このコートを着るっていう組み合わせなんだけどね、おかしくないかな?」

私はDの前で、ドレスやアクセを見せるようにポーズをとってみました。

D「さゆは綺麗だよ。かわいいね。それに甘くて良い香りがするよ。だからドレスもよく似合うよ。さゆはそのままでも魅力的だけど、飾るともっと魅力的になるね。ドレスも、花も、ペンダントも、レースも似合うよ。ずっと見ていたいよ」

さっき私が言った言葉のせいか、Dは長めの言葉で褒めてくれました。ちょっとずれてるけど、でも私の胸は嬉しさできゅうきゅうと締め付けられました。今まで、お花や、ペンダントや、レースのハンカチを買ったときにもDは似合うと言って褒めてくれたけど、Dはそれを覚えてくれていたんだね。(詳細は過去記事「レースのハンカチ」「ペンダント」「休日」「バラ」参照)

私「ありがとう」

ほっぺが熱いよう・・・な、なんか最近D、甘い言葉を沢山言うよね・・・どきどきしちゃうよ・・・

D「でも、どうして今日はドレスを着ているんだい?今日は特別なのかい?」

特別?
ああ、そっか、おととい花束を買ったときに、いつもは頼まない有料ラッピングを頼んだ理由をDから尋ねられたとき、特別だからだよって説明したからそう思ったんだろうな。なんか、特別っていう言葉はDにとって重要みたいだね。(詳細は過去記事「特別」「シュトレン(?)」参照)

私「今日じゃないんだけどね、3月に先輩の結婚式があるから、その特別な日に着るドレスを考えてたんだよ」

D「結婚式・・・」

Dが小さく呟きました。

私「そう!楽しみだよね~、先輩どんなドレス着るんだろ。デジカメ持参で写真撮りまくるつもりだよ。お色直しのドレスは何色だと思う?先輩甘党だからウエディングケーキも大きいのかな?」

D「・・・・・・」

私「D?」

D「さゆは、いつ人間の男と結婚するんだい?」

私「ええっ!?」

Dは真剣な顔で、じっと見てきます。え、あれなの?心配してるの?私が人間の男性と結婚してDを捨てるんじゃないかって?

私「人間の男性とは結婚しないよ~、私にはDがいるもん。ずっと一緒だよ」

当然じゃん!!そんなの心配しなくていいのに。Dがこんなこと言い出すなんて、なんか新鮮。初めてじゃない?ちょっと嬉しかったりして。なんか可愛いし。でもちゃんと安心させてあげなきゃね。

D「勿論、僕はずっと君の傍にいるよ。でも、いずれ君は人間の男と結婚したほうがいいよ」

私「え・・・」

D「人間として子供を作って子孫を残すのは、生物の本能だろう?生物が存在している最終目的だよ。僕のために君の本能を犠牲にするのは良くないよ」

私「何、言ってるの・・・」

D「君のためだよ」

私は頭が真っ白になりましたが、Dは平然としたまま、全くいつもと同じ表情で、同じ口調で、同じ態度で、淡々と話を続けました。

私「なにそれ!!ひどい!!Dは平気なの!!」

D「落ち着くんだよ、さゆ」

私「私が人間の男性と結婚したりとか、キスしたり、子供を作ったり、そういうことをしてもDは平気なの!!」

D「さゆの幸せのためならね」

私「信じらんない・・・」

なにそれ・・・どういう・・・頭の中うまくまとまらないっていうか・・・

私「なんで!!」

D「落ち着くんだよ、さゆ。何も今すぐ結婚しろと言うわけじゃないさ。ただ、僕は」

私「ばか!!」

D「さゆ」

私「うわあああーん!!ばかあ!!」

大人げなく泣いてしまいました。元彼に別れを告げられたときだって泣かなかったのに。泣かないどころか笑って平気な顔してたのに。お母さんが死んじゃったときだって、ううん、そのときはちょっと泣いたけど。でも久々に大泣きしました。会社に入ってから一度もこんなに泣いたこと無かったのにな。だって泣いちゃうと相手に心配かけちゃうじゃないですか。迷惑になっちゃうし。

・・・あれ?

なのに、なんでD相手だと泣いたりして自分の感情を押し付けてこんなワガママな態度とってるんだろ。馬鹿は私だよ!!泣いてる場合じゃないっしょ!!話し合わなきゃ!!

私「ぐ・・・」

私は泣くのをストップしました。変な声が出ました。

私「な゛い゛で、ご め゛ん゛・・・」

泣いてごめん、と言いたかったのですが、鼻水のせいでうまく言えませんでした。

D「さゆ、さゆごめんよ」

でも、Dにはわかったようです。Dは私が口から発した言葉なら、どんなに小さくても、どんなに遠くからでも、どんなに掠れていて不明瞭でも、聞き取ることができるのです。(詳細は過去記事「レースのハンカチ」「鳩」参照)

D「さゆ、すまなかったね」

Dは私を抱きしめて、頬に伝った涙を舐めとろうとしました。でもDに私の涙は拭けません。それでもDはペロペロと頬を舐め続けました。そのくすぐったい感触が私を慰めてくれます。

D「僕は、さゆが人間の男と結婚して子供を作っても、ずっと好きで守り続けるよと言いたかったのさ。そんなことで僕の『好き』は無くならないとね。何しろ、僕は人間じゃないからね。でも、すまなかったよ。さゆがこんなに泣くなんて・・・不快な思いをさせてしまったね」

不快っていうか、寂しくて悲しかったんだけどな。やっぱりDはちょっとずれてるんだ。前にDがお伽噺を話してくれたとき(詳細は過去記事『お伽噺「眠り姫」編』参照)もそう思ったけど、そんな寂しい考え方しないで、Dの本心とか望みをもっと言ってくれたらいいのに。ずっと一緒にいてほしいとかでも、もう私のタルパをやめて自由になりたいとかでも、何でも良いのに。私に遠慮なんてしないでさ・・・

私「Dが私の幸せを考えてくれているのは、すごく嬉しいし感謝してるよ。でも、私の幸せは、Dと一緒にいることなんだ。だから、Dが嫌じゃなかったら、最後までずっと傍にいてほしいと思ってるよ。でもDが嫌だったら強制しないから、言ってね」

D「わかったよ。僕はずっとさゆの傍にいるよ」

じゃあ、なんで寂しそうな顔をしてるの。いつもと同じ表情でいつもと同じ微笑みだけど、私にはわかるんだからね。最近わかるようになってきたんだもん。

私「ねえ、何でも言ってくれて良いんだよ、私はDのタルパーなんだから。Dの望みを叶えたいと思ってるの」

D「僕の望みは、さゆが幸せであることだよ」


洗面所の鏡の前で、私は自分の顔を見て溜息をつきました。

私(あーあ、ひどい顔。ドレスに合わせてメイクもしちゃったから、アイメイクが悲惨なことになってるよ・・・)

本当の結婚式帰りの人みたいだな。披露宴で感動して号泣した友人とか、そういう系の。

私(そうだ、先輩の結婚式で感動して号泣するかもしれないから、アイメイクはウオータープルーフにしよう。そうしよう。一つ勉強になったな・・・)

落ちにくいから普段使いには向かないんだけどね。ウオータープルーフ。

私(またDに悪いことしちゃった・・・はあ~あ、どうして私ってこう失敗ばっかりなんだろうね・・・こんなひどいタルパー他にいないっつーの・・・)


化粧を落として洗面所を出ると、外でDが心配そうに待っていました。

D「さゆ、大丈夫かい?」

私「大丈夫大丈夫!!心配かけてごめんね!!」

私が笑ってみせても、Dはしょんぼりしています。もしかして、DはDで、失敗したと思ってるのかな?

私「もーごめんね、私ってばホントひっどいタルパーだね!!大反省だよ、ごめんねD。こんな私のタルパをやってくれていて、本当にありがとう。嫌になったら言ってくれて良いんだよ?自由にしてあげるからさ。そうだ、触覚の訓練しようよ」

Dは触覚の訓練が好きだもんね。これでDの元気が出たら良いんだけどなあ。

D「・・・ありがとう、さゆ」

Dが私に向かって手を差し伸べました。いつものようにその手の上に、私が手を置くと、Dはお辞儀をするように身をかがめて、私の手の上に口づけを落としてくれました。

D「僕は幸せだよ」
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laceformyshroud

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20代の女です。
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