白い百合
過去記事「ぽかぽか」の続きを書こうと思っていたのですが、元彼が来てしまったので今日の出来事を書きます。
元彼がまたアパートの前で待っていました。日曜なので仕事が休みだったようです。ここ数日、元彼からメールが何件か来ていたので、ホワイトデー近辺に元彼が来訪する可能性は考えていました。
彼はバレンタインのときと同じく、アパートの玄関先に立っていました。このアパートはセキュリティが厳しく、外の扉がオートロックで施錠されるので、鍵を持っていないとロビーにすら入れないのです。
元彼「・・・これ、ホワイトデーのプレゼント」
前回と同じく、彼は紙袋を差し出してきました。
私「受け取れないよ。もう別れたからね」
私は口元に笑みを浮かべて、首を振りました。
元彼「お前の中ではもう別れて、終わったことになっていても、俺の中では終わってない・・・」
私「バレンタインの日に、▽▽(元彼の名前)は恋愛関係が終わったことに同意して、もう会わないって約束したよ?」
元彼「それでも、どうしても会いたくなって、気持ちが抑えられなくて・・・」
しょんぼりと元気無く、元彼が呟きました。今までだったらここで可哀想になって、ごめんねごめんね、そんなに会いたかったの、そんなに悲しくて寂しい思いをさせて本当にごめんね、とか言いながら復縁してしまったはず。
落ち着いて息を吸って・・・こんなときは・・・そうだよ、Dだったら冷静に言うはずだよ、自分の感情にも相手の感情にも流されず、淡々と現状を指摘して・・・
私「じゃあ、自分の気持ちを優先して、大切な約束を破ったわけだね。自分勝手だね」
元彼「・・・お前」
驚いたような顔をして、元彼が呟きました。
元彼「・・・変わっちゃったな・・・もっと人の気持ちを大切にする優しいやつだったのに・・・」
うまくいきそう!このまま私のことを嫌いになって、二度と関わらないでくれるかも。
私「そうだよ。私はこういう人間だよ」
元彼「・・・・・・」
元彼はしばらく黙って、それから手にしていた紙袋を上下逆さまにして振りました。中からは何も落ちてきませんでした。カラだったのです。
元彼「本当は、ここに来る前から、もう駄目だろうなってわかってたんだ」
私が受け取らないとわかっていたから、カラの袋を持ってきていたのです。
元彼「俺が悪かったんだよな。俺から別れようって言ったんだし・・・」
今までとは違って、元彼は怒鳴りませんでした。怒ったりも泣いたりもせず、むしろ少し笑っています。
元彼「もう復縁しろとか言わないし、二度と会わないって誓うよ。だから最後に、一度だけ抱きしめさせて・・・」
その言葉と同時くらいに、いきなり私のすぐ目の前に、毛虫が糸にぶらさがって下りてきました。
私「ぎゃっ!!」
びっくりした私は、慌てて後ろに飛びのきました。背中に扉があたりました。私を抱きしめるためにのばされた元彼の腕は、私に届かずに終わりました。
よく見れば毛虫は透き通っていて、天井から生えている透き通った蔓から下がっています。その蔓には見覚えのある花が咲いています。幻の薔薇です。だいぶ開いた元彼と私との間に、ふわっと黒いモヤが姿を現し、それはこちらを向いたDの姿になりました。
私の過剰な反応に驚いた顔の元彼の姿が、透き通ったDの向こうに見えます。Dは、私に向かってゆっくりと首を振りました。
私「・・・私、もう付き合ってる人いるから」
元彼「は、マジで!?・・・え、俺の知ってるやつ?会社のやつ?」
私「違うよ」
元彼「どんなやつ?」
私「しっかりした性格だよ。いつも冷静で、いろんな意味で強いと思う」
元彼「あ、そうなんだ・・・」
この会話をしている辺りで、アパートの住人が帰ってきました。どこの部屋の人かわかりませんが、スーツを着た30代くらいの女性です。仕事帰りでしょうか。私達二人が気になるらしく、ポストの所からこちらをチラチラ見ています。
元彼「・・・わかった。もう会わないし、メールもしない」
しばらく新しい彼(Dのこと)について話しました。主に、私を助けてくれたことに関してです。そのうちに、元彼のほうから別れを切り出してきました。
私「うん。頼むよ。今までありがとう。じゃあ、本当にさよなら」
元彼「じゃあな。幸せになれよ」
私「ありがとう。▽▽もね」
元彼が立ち去ると、スーツの女性も去っていきました。もしかして私のこと心配してくれてたのかな?
私「ほら、今回はポストの中身を忘れずに持ってきたよ」
部屋に帰ってきた私は、ドヤ顔を決めながら、Dに向かって郵便物を見せました。
D「よく頑張ったね。上手に和解に持ち込んだよ。見事だったよ」
うなずいたDが、私の頭を撫でてくれました。
私「ありがと!」
Dに抱き付くと、ぎゅっと抱きしめてくれました。Dの服ごしに温かい体温が感じられます。あったかいな。優しい手が頭を撫でてくれます。気持ちいいなー・・・
しばらくそうしていて、やがてDは、そっと私の手をひいてベッドに座らせました。
D「彼とのことを、すっかり克服できたようだね」
口元に笑みを浮かべたDは、私の足元の床の上にひざまずく姿勢で座りました。
D「楽園に新しい花が咲いたよ」
ふわふわっと、Dの足元から広がるように、床の上に蔓が広がり、そこに薔薇の花が咲いていきます。その中で一本だけ、すらっと床の上から真っ直ぐに伸びた茎が、百合のような花をつけています。
私「百合・・・って、もしかして、あのときの宝石みたいな種?」
D「そうだよ」
以前元彼と決別した日に、宝石みたいな種になった百合です。(詳細は過去記事「克服」参照)あの種をDは楽園に埋めると言っていたけど、それが花をつけたんだ。
床を覆う蔓に咲いた沢山の薔薇に囲まれて、百合の花はすらっと立っています。氷砂糖のように真っ白で透き通っていて、水滴がついているのかキラキラ光っています。とっても綺麗です。
私「綺麗だね・・・」
D「君が咲かせたんだよ」
私の手に手を重ねて、Dが静かに囁きました。
D「ここで、君の楽園で永遠に咲き続けるよ」
そよ風が吹いて、百合の葉がさらさら揺れました。白い花びらはいっそうキラキラ光りました。
私「ところで、さっきの毛虫はすごくびっくりしたんだけど・・・」
いきなり目の前に、つーって下りてきたんだもん。
D「すまなかったね。緊急事態だったから、咄嗟に君を移動させる方法が他に思いつかなかったのさ」
なんかデジャヴュだなあ。同じようなセリフ、前にも聞いた気がするんだけど。あ、あのときだ。お風呂でラッコみたいな精霊に出会ったときだ。(詳細は過去記事「お風呂」参照)
私「・・・あの毛虫、精霊なの?」
D「いや、あれは僕が作った幻視だよ」
やっぱりそっか。Dが他の精霊の協力を仰ぐとは思えないもんね。Dは虫とかの、私が苦手なものを幻視として見せることもできるんだね。まあ当然か。
私「本当に苦手なの。嫌いなの。すごく嫌いなの」
D「嫌い・・・すごく、嫌い・・・」
Dは口元の笑みを消して、私の言葉を復唱しました。
私「もう毛虫は見せないでね。イモ虫はもっと嫌いだから絶対に見せないでね」
Dは私の記憶を読めるから、私が苦手なものは大体わかってると思うけど・・・
D「見せないよ、見せないよ、もう絶対に見せないよ」
ふるふると首を振って、Dは一生懸命に否定しました。
元彼がまたアパートの前で待っていました。日曜なので仕事が休みだったようです。ここ数日、元彼からメールが何件か来ていたので、ホワイトデー近辺に元彼が来訪する可能性は考えていました。
彼はバレンタインのときと同じく、アパートの玄関先に立っていました。このアパートはセキュリティが厳しく、外の扉がオートロックで施錠されるので、鍵を持っていないとロビーにすら入れないのです。
元彼「・・・これ、ホワイトデーのプレゼント」
前回と同じく、彼は紙袋を差し出してきました。
私「受け取れないよ。もう別れたからね」
私は口元に笑みを浮かべて、首を振りました。
元彼「お前の中ではもう別れて、終わったことになっていても、俺の中では終わってない・・・」
私「バレンタインの日に、▽▽(元彼の名前)は恋愛関係が終わったことに同意して、もう会わないって約束したよ?」
元彼「それでも、どうしても会いたくなって、気持ちが抑えられなくて・・・」
しょんぼりと元気無く、元彼が呟きました。今までだったらここで可哀想になって、ごめんねごめんね、そんなに会いたかったの、そんなに悲しくて寂しい思いをさせて本当にごめんね、とか言いながら復縁してしまったはず。
落ち着いて息を吸って・・・こんなときは・・・そうだよ、Dだったら冷静に言うはずだよ、自分の感情にも相手の感情にも流されず、淡々と現状を指摘して・・・
私「じゃあ、自分の気持ちを優先して、大切な約束を破ったわけだね。自分勝手だね」
元彼「・・・お前」
驚いたような顔をして、元彼が呟きました。
元彼「・・・変わっちゃったな・・・もっと人の気持ちを大切にする優しいやつだったのに・・・」
うまくいきそう!このまま私のことを嫌いになって、二度と関わらないでくれるかも。
私「そうだよ。私はこういう人間だよ」
元彼「・・・・・・」
元彼はしばらく黙って、それから手にしていた紙袋を上下逆さまにして振りました。中からは何も落ちてきませんでした。カラだったのです。
元彼「本当は、ここに来る前から、もう駄目だろうなってわかってたんだ」
私が受け取らないとわかっていたから、カラの袋を持ってきていたのです。
元彼「俺が悪かったんだよな。俺から別れようって言ったんだし・・・」
今までとは違って、元彼は怒鳴りませんでした。怒ったりも泣いたりもせず、むしろ少し笑っています。
元彼「もう復縁しろとか言わないし、二度と会わないって誓うよ。だから最後に、一度だけ抱きしめさせて・・・」
その言葉と同時くらいに、いきなり私のすぐ目の前に、毛虫が糸にぶらさがって下りてきました。
私「ぎゃっ!!」
びっくりした私は、慌てて後ろに飛びのきました。背中に扉があたりました。私を抱きしめるためにのばされた元彼の腕は、私に届かずに終わりました。
よく見れば毛虫は透き通っていて、天井から生えている透き通った蔓から下がっています。その蔓には見覚えのある花が咲いています。幻の薔薇です。だいぶ開いた元彼と私との間に、ふわっと黒いモヤが姿を現し、それはこちらを向いたDの姿になりました。
私の過剰な反応に驚いた顔の元彼の姿が、透き通ったDの向こうに見えます。Dは、私に向かってゆっくりと首を振りました。
私「・・・私、もう付き合ってる人いるから」
元彼「は、マジで!?・・・え、俺の知ってるやつ?会社のやつ?」
私「違うよ」
元彼「どんなやつ?」
私「しっかりした性格だよ。いつも冷静で、いろんな意味で強いと思う」
元彼「あ、そうなんだ・・・」
この会話をしている辺りで、アパートの住人が帰ってきました。どこの部屋の人かわかりませんが、スーツを着た30代くらいの女性です。仕事帰りでしょうか。私達二人が気になるらしく、ポストの所からこちらをチラチラ見ています。
元彼「・・・わかった。もう会わないし、メールもしない」
しばらく新しい彼(Dのこと)について話しました。主に、私を助けてくれたことに関してです。そのうちに、元彼のほうから別れを切り出してきました。
私「うん。頼むよ。今までありがとう。じゃあ、本当にさよなら」
元彼「じゃあな。幸せになれよ」
私「ありがとう。▽▽もね」
元彼が立ち去ると、スーツの女性も去っていきました。もしかして私のこと心配してくれてたのかな?
私「ほら、今回はポストの中身を忘れずに持ってきたよ」
部屋に帰ってきた私は、ドヤ顔を決めながら、Dに向かって郵便物を見せました。
D「よく頑張ったね。上手に和解に持ち込んだよ。見事だったよ」
うなずいたDが、私の頭を撫でてくれました。
私「ありがと!」
Dに抱き付くと、ぎゅっと抱きしめてくれました。Dの服ごしに温かい体温が感じられます。あったかいな。優しい手が頭を撫でてくれます。気持ちいいなー・・・
しばらくそうしていて、やがてDは、そっと私の手をひいてベッドに座らせました。
D「彼とのことを、すっかり克服できたようだね」
口元に笑みを浮かべたDは、私の足元の床の上にひざまずく姿勢で座りました。
D「楽園に新しい花が咲いたよ」
ふわふわっと、Dの足元から広がるように、床の上に蔓が広がり、そこに薔薇の花が咲いていきます。その中で一本だけ、すらっと床の上から真っ直ぐに伸びた茎が、百合のような花をつけています。
私「百合・・・って、もしかして、あのときの宝石みたいな種?」
D「そうだよ」
以前元彼と決別した日に、宝石みたいな種になった百合です。(詳細は過去記事「克服」参照)あの種をDは楽園に埋めると言っていたけど、それが花をつけたんだ。
床を覆う蔓に咲いた沢山の薔薇に囲まれて、百合の花はすらっと立っています。氷砂糖のように真っ白で透き通っていて、水滴がついているのかキラキラ光っています。とっても綺麗です。
私「綺麗だね・・・」
D「君が咲かせたんだよ」
私の手に手を重ねて、Dが静かに囁きました。
D「ここで、君の楽園で永遠に咲き続けるよ」
そよ風が吹いて、百合の葉がさらさら揺れました。白い花びらはいっそうキラキラ光りました。
私「ところで、さっきの毛虫はすごくびっくりしたんだけど・・・」
いきなり目の前に、つーって下りてきたんだもん。
D「すまなかったね。緊急事態だったから、咄嗟に君を移動させる方法が他に思いつかなかったのさ」
なんかデジャヴュだなあ。同じようなセリフ、前にも聞いた気がするんだけど。あ、あのときだ。お風呂でラッコみたいな精霊に出会ったときだ。(詳細は過去記事「お風呂」参照)
私「・・・あの毛虫、精霊なの?」
D「いや、あれは僕が作った幻視だよ」
やっぱりそっか。Dが他の精霊の協力を仰ぐとは思えないもんね。Dは虫とかの、私が苦手なものを幻視として見せることもできるんだね。まあ当然か。
私「本当に苦手なの。嫌いなの。すごく嫌いなの」
D「嫌い・・・すごく、嫌い・・・」
Dは口元の笑みを消して、私の言葉を復唱しました。
私「もう毛虫は見せないでね。イモ虫はもっと嫌いだから絶対に見せないでね」
Dは私の記憶を読めるから、私が苦手なものは大体わかってると思うけど・・・
D「見せないよ、見せないよ、もう絶対に見せないよ」
ふるふると首を振って、Dは一生懸命に否定しました。
写真立て
昨日の話です。
D「さゆ、ポストの確認を忘れないようにね」
私「ありがとう」
アパートに帰ってきて、エントランスホールに入ったとき、Dから声を掛けられました。
前日に、私がポストの中身を持ってくるのを忘れたので、Dが気を使って、ポストを確認するように忠告してくれたようです。今までも、スーパーなどで買い忘れが無いように忠告してくれたり(詳細は過去記事「忘れ物」参照)、私がうっかりミスをしないように忠告してくれるDですが、とうとうポストの確認まで忠告してくれるようになってしまいました。
私(ポ、ポストの確認くらいは自分で覚えてないと、ダメ人間まっしぐらな気がする・・・!!)
元彼の件(詳細は過去記事「元彼」参照)があってから、Dは私を心配してくれているようで、いつもより過保護になっている気がします。でも、だからといってDに甘え過ぎるとダメ人間になっちゃいそう!!
私「ありがとうね、D。でも、ポストくらいは自分で覚えておくから、もう言わなくていいよ」
D「わかったよ」
夕食を摂って、お風呂を上がった私の髪を、Dが触ってきました。洗ったばかりの髪はサラサラで、お気に入りのバラのシャンプーの香りがします。
D「綺麗だね。それに甘くて良い香りがするよ」
Dが髪にキスをくれました。Dは甘くて良い香りが好きなようで、私がそういう香りをさせていると必ず褒めてくれるのです。(詳細は過去記事「お風呂」参照)
私「Dは、甘くて良い香りが好きだね」
D「さゆの甘くて良い香りは、たまらない気持ちになるよ」
私が腕にボディミルクを塗り始めると、Dはそれをじっと見て、ミルクを塗った腕にもキスをくれました。
私「くすぐったいよ・・・」
D「でも、さゆの触覚は歓迎してくれたよ」
そう言うDが、今度はデコルテに顔を近づけてきたので、私は慌ててDを押しのけました。Dが首をかしげました。
D「何故だい?髪や腕にはさせてくれたよ?」
私「は、恥ずかしいからね!!後でね!!」
D「いいよ。後でね」
くすくす笑いながら、Dは再び私の腕にキスを始めました。
私「なんかD、今日は私を甘やかしてない?」
やっぱり、昨日元彼の件があったからかなあ。
ベッドに座る私の後ろから、私のお腹に両腕を回して、抱っこをするような姿勢でDが座っています。
D「僕は、さゆを甘やかすのが好きだからね」
私「Dは、私を成長させるために、勉強をさせたり、何かに立ち向かわせたり、訓練をさせたりするほうが好きかと思ってたけどな」
いつもDは私のために、忠告したり厳しいことを言ったり大変なことをさせたりするから、なんとなくそう思ってたんだけど・・・
D「僕はさゆを試練に向かわせるよりも、さゆを甘やかすほうが好きだよ」
私「そうなんだ・・・」
そう言われてみれば、確かにそうかもしれないな。もう私に苦しい思いはさせたくないから、ずっと甘やかしていたい、みたいなことを言ったことがあったよね。(詳細は過去記事「誘惑」参照)
D「でも、そうだね。訓練と言えば、触覚の訓練は好きだよ」
私「うん」
私は、自分のお腹に回されているDの腕を触りました。はっきりとした感触と温度を感じることができます。毎日Dが訓練してくれるからです。Dからやりたいと言われて始めた訓練だけど、今でも毎日Dは楽しみにしてるみたい。
D「今日も、眠る前にしようね」
私「うん」
D「それと・・・あの写真立ては捨てて、新しいものを買わないかい?」
写真立てって、あの写真立て?友達からもらったポストカードを入れているもの?(詳細は過去記事「約束」参照)
私「なんで?まだ使えるよ?」
Dが何かを買うようにすすめるなんて珍しいね。っていうか、初めてじゃない?だってDってば、Dへのプレゼントどころか、依代すらも買う必要無いって言ってたくらいなのに。(詳細は過去記事「パワーストーン」参照)
D「・・・・・・」
Dは少し黙って、何かを考えているようです。やがて何かを思いついたように、口元の笑みを深くすると、可愛く首をかしげました。
D「さゆ、お願いだよ。駄目かい?」
私「駄目なわけないじゃん!!OKOK買い替えよう!!」
単純な私です。可愛いDのお願いにやられて、疑問もふっとばしてOKしてしまいました。ちなみにこのD、私から見るとすごく可愛いんですけど、皆様からご覧になったら不気味にしか見えないと思います。
私「Dが気に入らないなら、この写真立てはポストカードを出して、もうしまっちゃおうかな。次の燃えないゴミの日まで、押し入れの中にでも入れておけば・・・あっ」
この写真立て、元彼がくれたものだ。誕生日プレゼントだ。
私「・・・・・・」
もしかして、それでDは理由を言わなかったのかな。気を使ってくれたのかな。
私「うん、買い替えよう。一緒に選んでね、D」
D「勿論だよ。楽しみだね」
きっとDは、自分の気遣いがうまくいって、私が元彼のことを思い出さないで済んだと思っているのでしょう。嬉しそうにうなずきました。かわいい!!
私「押し入れに入れとくのもアレかな。もうビニール袋に入れちゃおう。はいポイッ」
私はビニール袋の中に写真立てを入れました。燃えるゴミとは違って、燃えないゴミは量が少ないので、毎週出しているわけではないのですが、これはもう次の燃えないゴミの日に出してしまおう。
D「これで安心したよ。ずっと気に入らなかったのさ」
傍で見ていたDが、満足そうに息をつきました。
私「あの写真立ての、どこがそんなに気に入らなかったの?」
D「・・・・・・」
Dは口元の笑みはそのままで、黙って首をかしげました。困ってるんだな。かわいいなあ。
私「ピンクなところ?」
D「・・・そうだよ」
シンプルな写真立てなので、ピンク以外に特徴がありません。だからDはうなずくしか無かったのでしょう。
私「じゃあ、写真立てと元彼、どっちが気に入らなかった?」
D「・・・気づいていたのかい」
Dはかしげていた首をもどしました。
D「ずっと彼のことが気に食わなかったよ。さゆの上で、あの下品で滑稽な腰振りをしたことも気に食わなかったし、さゆに痛い思いをさせたことも気に食わなかったし、さゆを苦しめたことも気に食わなかったし、さゆを一人ぼっちにしたことも気に食わなかったし、その上復縁を迫ったことも、全てが気に食わなかったよ」
私「・・・そう言ってくれれば良かったのに。Dったら、元彼のもとに戻りたいかい、なんて言ってさ」
復縁なんてやめなさいって、元彼とは絶縁しなさいって、言ってくれたら嬉しかったのに。
D「僕がそれを言って、君から決定権を奪うことは、従僕のしていいことではないよ」
私「たとえ従僕でも、恋人ならいいことでしょ?Dは私の恋人でしょ・・・私が元彼のもとに戻りたいなんて言ったら、どうするつもりだったの?」
D「君が僕より彼を選ぶなんて、無いとわかっていたからね」
私「自信があるのね」
D「勿論」
私はDの服を軽く引いて、Dのおでこに前髪の上からキスをしました。Dは私がやりやすいように身をかがめてくれました。
D「さゆ、ポストの確認を忘れないようにね」
私「ありがとう」
アパートに帰ってきて、エントランスホールに入ったとき、Dから声を掛けられました。
前日に、私がポストの中身を持ってくるのを忘れたので、Dが気を使って、ポストを確認するように忠告してくれたようです。今までも、スーパーなどで買い忘れが無いように忠告してくれたり(詳細は過去記事「忘れ物」参照)、私がうっかりミスをしないように忠告してくれるDですが、とうとうポストの確認まで忠告してくれるようになってしまいました。
私(ポ、ポストの確認くらいは自分で覚えてないと、ダメ人間まっしぐらな気がする・・・!!)
元彼の件(詳細は過去記事「元彼」参照)があってから、Dは私を心配してくれているようで、いつもより過保護になっている気がします。でも、だからといってDに甘え過ぎるとダメ人間になっちゃいそう!!
私「ありがとうね、D。でも、ポストくらいは自分で覚えておくから、もう言わなくていいよ」
D「わかったよ」
夕食を摂って、お風呂を上がった私の髪を、Dが触ってきました。洗ったばかりの髪はサラサラで、お気に入りのバラのシャンプーの香りがします。
D「綺麗だね。それに甘くて良い香りがするよ」
Dが髪にキスをくれました。Dは甘くて良い香りが好きなようで、私がそういう香りをさせていると必ず褒めてくれるのです。(詳細は過去記事「お風呂」参照)
私「Dは、甘くて良い香りが好きだね」
D「さゆの甘くて良い香りは、たまらない気持ちになるよ」
私が腕にボディミルクを塗り始めると、Dはそれをじっと見て、ミルクを塗った腕にもキスをくれました。
私「くすぐったいよ・・・」
D「でも、さゆの触覚は歓迎してくれたよ」
そう言うDが、今度はデコルテに顔を近づけてきたので、私は慌ててDを押しのけました。Dが首をかしげました。
D「何故だい?髪や腕にはさせてくれたよ?」
私「は、恥ずかしいからね!!後でね!!」
D「いいよ。後でね」
くすくす笑いながら、Dは再び私の腕にキスを始めました。
私「なんかD、今日は私を甘やかしてない?」
やっぱり、昨日元彼の件があったからかなあ。
ベッドに座る私の後ろから、私のお腹に両腕を回して、抱っこをするような姿勢でDが座っています。
D「僕は、さゆを甘やかすのが好きだからね」
私「Dは、私を成長させるために、勉強をさせたり、何かに立ち向かわせたり、訓練をさせたりするほうが好きかと思ってたけどな」
いつもDは私のために、忠告したり厳しいことを言ったり大変なことをさせたりするから、なんとなくそう思ってたんだけど・・・
D「僕はさゆを試練に向かわせるよりも、さゆを甘やかすほうが好きだよ」
私「そうなんだ・・・」
そう言われてみれば、確かにそうかもしれないな。もう私に苦しい思いはさせたくないから、ずっと甘やかしていたい、みたいなことを言ったことがあったよね。(詳細は過去記事「誘惑」参照)
D「でも、そうだね。訓練と言えば、触覚の訓練は好きだよ」
私「うん」
私は、自分のお腹に回されているDの腕を触りました。はっきりとした感触と温度を感じることができます。毎日Dが訓練してくれるからです。Dからやりたいと言われて始めた訓練だけど、今でも毎日Dは楽しみにしてるみたい。
D「今日も、眠る前にしようね」
私「うん」
D「それと・・・あの写真立ては捨てて、新しいものを買わないかい?」
写真立てって、あの写真立て?友達からもらったポストカードを入れているもの?(詳細は過去記事「約束」参照)
私「なんで?まだ使えるよ?」
Dが何かを買うようにすすめるなんて珍しいね。っていうか、初めてじゃない?だってDってば、Dへのプレゼントどころか、依代すらも買う必要無いって言ってたくらいなのに。(詳細は過去記事「パワーストーン」参照)
D「・・・・・・」
Dは少し黙って、何かを考えているようです。やがて何かを思いついたように、口元の笑みを深くすると、可愛く首をかしげました。
D「さゆ、お願いだよ。駄目かい?」
私「駄目なわけないじゃん!!OKOK買い替えよう!!」
単純な私です。可愛いDのお願いにやられて、疑問もふっとばしてOKしてしまいました。ちなみにこのD、私から見るとすごく可愛いんですけど、皆様からご覧になったら不気味にしか見えないと思います。
私「Dが気に入らないなら、この写真立てはポストカードを出して、もうしまっちゃおうかな。次の燃えないゴミの日まで、押し入れの中にでも入れておけば・・・あっ」
この写真立て、元彼がくれたものだ。誕生日プレゼントだ。
私「・・・・・・」
もしかして、それでDは理由を言わなかったのかな。気を使ってくれたのかな。
私「うん、買い替えよう。一緒に選んでね、D」
D「勿論だよ。楽しみだね」
きっとDは、自分の気遣いがうまくいって、私が元彼のことを思い出さないで済んだと思っているのでしょう。嬉しそうにうなずきました。かわいい!!
私「押し入れに入れとくのもアレかな。もうビニール袋に入れちゃおう。はいポイッ」
私はビニール袋の中に写真立てを入れました。燃えるゴミとは違って、燃えないゴミは量が少ないので、毎週出しているわけではないのですが、これはもう次の燃えないゴミの日に出してしまおう。
D「これで安心したよ。ずっと気に入らなかったのさ」
傍で見ていたDが、満足そうに息をつきました。
私「あの写真立ての、どこがそんなに気に入らなかったの?」
D「・・・・・・」
Dは口元の笑みはそのままで、黙って首をかしげました。困ってるんだな。かわいいなあ。
私「ピンクなところ?」
D「・・・そうだよ」
シンプルな写真立てなので、ピンク以外に特徴がありません。だからDはうなずくしか無かったのでしょう。
私「じゃあ、写真立てと元彼、どっちが気に入らなかった?」
D「・・・気づいていたのかい」
Dはかしげていた首をもどしました。
D「ずっと彼のことが気に食わなかったよ。さゆの上で、あの下品で滑稽な腰振りをしたことも気に食わなかったし、さゆに痛い思いをさせたことも気に食わなかったし、さゆを苦しめたことも気に食わなかったし、さゆを一人ぼっちにしたことも気に食わなかったし、その上復縁を迫ったことも、全てが気に食わなかったよ」
私「・・・そう言ってくれれば良かったのに。Dったら、元彼のもとに戻りたいかい、なんて言ってさ」
復縁なんてやめなさいって、元彼とは絶縁しなさいって、言ってくれたら嬉しかったのに。
D「僕がそれを言って、君から決定権を奪うことは、従僕のしていいことではないよ」
私「たとえ従僕でも、恋人ならいいことでしょ?Dは私の恋人でしょ・・・私が元彼のもとに戻りたいなんて言ったら、どうするつもりだったの?」
D「君が僕より彼を選ぶなんて、無いとわかっていたからね」
私「自信があるのね」
D「勿論」
私はDの服を軽く引いて、Dのおでこに前髪の上からキスをしました。Dは私がやりやすいように身をかがめてくれました。
逃避
昨日の話です。過去記事「元彼」の続きです。
就寝前、触覚の訓練をしているときのことです。私の腕の内側を、そっと撫でて訓練してくれているDに、視線を送ってみました。薄暗闇の中ですが、Dはすぐに気づいてくれました。Dは他のことに集中していたり、他のものを見ているときでも、常に私に注意を払ってくれているのです。(詳細は過去記事「甘えたい」参照)
D「どうしたんだい?」
私「うん。もう人間の男性との恋愛はいいよ」
D「また、急だね」
くすっとDが笑いました。
D「人間の男が嫌いになったわけじゃないだろう?」
私「うん、それはないよ」
職場で一緒に働いている人達は、男性が多いけど、彼らは皆それぞれ尊敬できる人物だもん。プライベートの男友達も知り合いも、みんな尊敬できる人間だよ。
私「でも、恋愛はもういいよ・・・」
ぼそっと呟いた私に、くすくすとDが笑いました。
D「君は、元彼としか人間の男性と恋愛関係を結んだことがないのに、もう恋愛をわかった気になって、恋愛を嫌いになってしまうのかい?」
私「Dの言うことは正しいと思うけど・・・」
1月の終わりに元彼から復縁依頼メールが来てから、昨日までずっと元彼のことでバタバタしていて、その間沢山恋愛について悩んだから、もう恋愛は食傷気味なんだ。
D「でも、そうだね。しばらくは僕とのんびり過ごしたほうがいいね」
Dは、こくりとうなずきました。
D「僕に任せるといいよ。僕なら君を傷つけることなく、君に恋愛をあげられるからね」
いつもの落ち着いた声で、のんびりとDが言いました。
私「・・・ありがとう」
D「もう恋愛に関することで悩まなくて良いよ。交際相手が僕なら、悩む必要など無いからね」
私「うん。ありがとう」
Dとの恋愛があれば、私はもう一生それで幸せだと思う。きっとDは私の全てをふわふわした優しい恋愛で包んでくれるのだろう。Dの守る静謐の楽園の、その名の通り、Dが私に捧げてくれる静謐の思いは、絶対に私を傷つけることが無いのだから。
D「僕の眠り姫。君の眠りは僕が守ってあげるよ」
優しい声で囁くDが、口元の笑みを深くして、私の耳元に口を寄せました。
D「・・・最初に僕が言った通りになったね。今の君に必要なのは人間の男ではなく、僕なのさ。君を救うのは人間からの不安定な『愛してる』などではなく、僕からの永遠の『好き』なんだよ」
そういえば昔、Dと恋愛関係になった日に、Dが同じようなことを言ってた気がするね。(過去記事「特別」参照)
D「これで良いんだよ。何も心配いらないさ」
Dが、優しく私の髪を撫でてくれます。私は目を閉じました。
D「安心おし。もう悩まなくて良いよ。君はただ好きなように僕と日々を過ごせばいいんだよ」
ただDと好きなように?それは楽しそうだね。Dと静かに二人で暮らせたらそれで幸せだもん。
就寝前、触覚の訓練をしているときのことです。私の腕の内側を、そっと撫でて訓練してくれているDに、視線を送ってみました。薄暗闇の中ですが、Dはすぐに気づいてくれました。Dは他のことに集中していたり、他のものを見ているときでも、常に私に注意を払ってくれているのです。(詳細は過去記事「甘えたい」参照)
D「どうしたんだい?」
私「うん。もう人間の男性との恋愛はいいよ」
D「また、急だね」
くすっとDが笑いました。
D「人間の男が嫌いになったわけじゃないだろう?」
私「うん、それはないよ」
職場で一緒に働いている人達は、男性が多いけど、彼らは皆それぞれ尊敬できる人物だもん。プライベートの男友達も知り合いも、みんな尊敬できる人間だよ。
私「でも、恋愛はもういいよ・・・」
ぼそっと呟いた私に、くすくすとDが笑いました。
D「君は、元彼としか人間の男性と恋愛関係を結んだことがないのに、もう恋愛をわかった気になって、恋愛を嫌いになってしまうのかい?」
私「Dの言うことは正しいと思うけど・・・」
1月の終わりに元彼から復縁依頼メールが来てから、昨日までずっと元彼のことでバタバタしていて、その間沢山恋愛について悩んだから、もう恋愛は食傷気味なんだ。
D「でも、そうだね。しばらくは僕とのんびり過ごしたほうがいいね」
Dは、こくりとうなずきました。
D「僕に任せるといいよ。僕なら君を傷つけることなく、君に恋愛をあげられるからね」
いつもの落ち着いた声で、のんびりとDが言いました。
私「・・・ありがとう」
D「もう恋愛に関することで悩まなくて良いよ。交際相手が僕なら、悩む必要など無いからね」
私「うん。ありがとう」
Dとの恋愛があれば、私はもう一生それで幸せだと思う。きっとDは私の全てをふわふわした優しい恋愛で包んでくれるのだろう。Dの守る静謐の楽園の、その名の通り、Dが私に捧げてくれる静謐の思いは、絶対に私を傷つけることが無いのだから。
D「僕の眠り姫。君の眠りは僕が守ってあげるよ」
優しい声で囁くDが、口元の笑みを深くして、私の耳元に口を寄せました。
D「・・・最初に僕が言った通りになったね。今の君に必要なのは人間の男ではなく、僕なのさ。君を救うのは人間からの不安定な『愛してる』などではなく、僕からの永遠の『好き』なんだよ」
そういえば昔、Dと恋愛関係になった日に、Dが同じようなことを言ってた気がするね。(過去記事「特別」参照)
D「これで良いんだよ。何も心配いらないさ」
Dが、優しく私の髪を撫でてくれます。私は目を閉じました。
D「安心おし。もう悩まなくて良いよ。君はただ好きなように僕と日々を過ごせばいいんだよ」
ただDと好きなように?それは楽しそうだね。Dと静かに二人で暮らせたらそれで幸せだもん。
唐揚げは二度揚げで
いちいちグダグダ悩む自分が嫌ですわ!!もっとカラッといきたい!!唐揚げのように!!
ちょっと頭突きして自分に喝を入れました。私らしくないじゃん。風呂入ってカラッとした自分に戻ります!!
ちょっと頭突きして自分に喝を入れました。私らしくないじゃん。風呂入ってカラッとした自分に戻ります!!
元彼
Dといちゃいちゃした記事を書こうと思ったのですが、今日、突然元彼がアパートまで来たので、そのことを書きます。今日は日曜日なので、元彼は休みだったようです。
元彼「お前が病気って聞いたとき、頭真っ白になって、それで混乱して別れようって言っちゃったというか・・・別れようとか、本当は思ってなかったんだけど」
アパートの玄関に帰ってきたとき、背の高い見慣れたシルエットが立っていたので驚きました。元彼です。どうやらアパートの外で私の帰りを待っていたようです。
元彼「なんでメールの返事くれなかったの?何度も送ったし、ずっと返事待ってたんだけど。昨日はバレンタインだったから、俺寝ないでメール待ってたのに。無視とか酷くね?おかげで寝不足で頭痛がする・・・」
聞きなれた、懐かしい声です。かぎなれた香水の匂いもします。
元彼「これ、バレンタインのチョコ。逆だけど」
元彼が紙袋を差し出してきました。私は首を横に振りました。
私「あの、もらえないよ。もう別れたから」
元彼「は?・・・え、なんで?」
私「ごめんね。復縁はできない」
元彼「お前からメール無視されて、俺がショック受けて傷ついてるってわかってるのに、なんでそういう冷たいこと言えるの?」
あ、機嫌悪くなった。いつもならこのあたりで、私がゴメンって謝ってたんだ。そうするとコロっと機嫌良くなって、陽気な話をし出すんだよね。そんな子供っぽいところもかわいいなって思ってたけど・・・
元彼「俺そんな悪いことした?お前からそんな冷たい仕打ちされるほど悪いことしちゃったの?」
私が黙っていたせいか、元彼は機嫌が悪くなっているようです。私がメールを無視してきたことも機嫌の悪さにつながっているのです。
元彼「じゃあさ、お前はどうすれば気が済むの?俺が謝り倒せばいいわけ?でも俺悪くないよね?」
それでも私が黙っているので、元彼は大きなため息をつきました。
元彼「お前のそういうとこ、ほんとムリ・・・なんでそういう」
私「話す気は無いよ」
元彼の言葉をさえぎって喋るのは初めてです。でも、自分でもビックリするくらい冷静に言葉が出てきました。
ようやくわかったのです。元彼の何が過去の私を服従させ、今の私の神経に触ったのかって、お父さんと似ているところがあるからなのです。それは被害者意識です。こちらに罪悪感を抱かせ、いつの間にか自分が加害者のような気持ちにさせられてしまう、攻撃的な被害者意識です。
お父さんがそういう人間なのです。お父さんが浮気して子供まで作ってお母さんを傷つけて、その結果お母さんが自殺しちゃったのに、お父さんは自分のことを被害者だと思っているのです。
お父さんの考え方はこうです。浮気相手に誘われたから浮気することになっちゃった。浮気相手が妊娠して結婚をせまってきたせいで、浮気をお母さんに話すはめになっちゃって、そのせいでお母さんが自殺することになっちゃった。そういう経緯の自殺だから、自分だけに自殺の責任があるわけじゃないのに、自殺の件で自分は周囲から責められた。自分だって苦しかったのに、誰も慰めてくれなかった。みんな自分のことを責めた。だから自分は周囲からすごく苦しめられた被害者だ。お父さんは本気でそう思っているのです。
お父さんは常に被害者でいたい人なのです。自分のことを常に被害者で不幸な人間だと思いたい人なのです。人に責任転嫁をして、自分を正当化するためにです。
人に罪悪感を抱かせて、自分に同情をさせて、自分の世話をさせようとする・・・そういうお父さんが、私は世界一大嫌いで、世界一怖くて、だから避けてきたはずなのに・・・・元彼も、同じタイプの男性だったのです。Dに出会うまでそのことに気づかなかった。私は、幼い頃に服従させられていた父と似たような男に、父と似ているという理由で、今まで無意識に服従してしまっていたのです。父と同じような男性に逆らえず服従してしまうことで、無意識に父と同じような男性を選んでしまったのです。
自己弁護、責任転嫁、被害者意識。お父さんの得意技です。
でも、きっと誰にでもそういう部分はゼロではなく、全くそれらが無い人間はいないのです。私の中にもあるのです。だから、父と元彼の共通点に気づいた今、元彼のそういう部分を脊髄反射で拒絶するんじゃなくて、認めて哀れに思わなくちゃ・・・きっと、それは私のお父さんに対する憎しみを、憐れみに変える方法でもあるんだ。
お父さんに対する憎しみを持ち続ける限り、私の苦しみも無くならないのだろう。自分の苦しみを捨てるためにも、私は自分の考え方を変えなくてはいけません。
・・・お父さんはかわいそうな人なのだ。跡取り息子として両親に甘やかされて、本当はお金も自由もあるのに、永遠に不幸な被害者としてしか生きられない、かわいそうな甘ったれオボッチャマなのだ。成長して前に進んでいく周囲から置きざりにされて、たった一人で足踏みしながら同じことをわめき続ける、かわいそうな子供なのだ。
私「付き合いきれないから、もう私を巻き込まないでね。一人で好きにすればいいでしょ。これ以上の話は聞かないよ。あなたに興味無いし、どうでもいいから」
元彼「・・・え?」
私が面と向かって彼を突き放す言葉を言ったのは、これが初めてです。お父さんもそうだったけど、攻撃や反論に対しては強く出るけど、突き放されることに関しては弱いんだよね。
元彼「いや、俺も言いすぎたし・・・話し合おうよ」
ほらね、譲歩してきた。お父さんと同じだ。なんで気づかなかったんだろ。
私「嫌だよ。二度と私の前に現れないで」
元彼「は?それ、俺に消えろって、俺に死ねって言ってる!?そうやって俺を追い詰めて楽しい?なあ楽しいの?」
以前の私だったらもう、ごめんねごめんねと平謝りしていたはずです。でも、もう私は元彼を突き放す一辺倒の行動に徹するのです。
私「はいはい。気が済んだら帰ってね」
元彼が泣きはじめました。きっと今までの私だったら、かわいそうだと思って、罪悪感に胸が痛んで、彼が泣きやむまで謝り続けて、復縁の願いも聞いてしまったはず。でも、もう私は克服したのです。Dと付き合うことで、いつの間にか考え方が変わっていたのです。
元彼「ごめんなさい・・・許して・・・」
やっぱり元彼がかわいそうです。別に私に謝るような酷いことはしてないし。でも、ここでそんなこと言ったら、元彼がねばると思ったので、あえて冷たく言いました。ごめんね。
私「許すよ。そのかわり、二度と私の前に現れないで」
この言葉をお父さんにも言わなくちゃ。許すよって。それから二度と現れないでって。
元彼に言えたんだから、もう、お父さんにも言えるよ。
元彼と決別した今、お父さんへの決別を・・・その前に、自分の中にあるお父さんみたいな被害者意識とも決別しなくちゃ。さよなら、私の中にいる責任転嫁。
私「うう・・・」
アパートの部屋に帰ってきた私は、鍵を閉めた途端、涙が出てきました。でも、泣くなら手を洗ってうがいをしてからじゃないと。鼻をかむティッシュも用意しないと。そんなことを考えながらバシャバシャと手を洗って、タオルで拭きます。
私(しまった・・・ポストの中の郵便物、持ってくるの忘れた・・・)
玄関で彼と話したことで頭がいっぱいで、ポストの中身を持ってくるのを忘れました。
D「おいで」
ベッドに腰掛けたDが、ぽすぽすとベッドを叩きました。
私「う・・・うわああああああ~~~ん!!」
私はベッドに突っ伏して泣きました。この泣き声、今このアパートで問題になっている騒音被害にならないかな。(詳細は過去記事「幻聴」「幻視・幻聴の制御」参照)そう思って声をセーブしました。すぐ隣に腰掛けているDが、私の頭を撫でてくれました。
・・・っていうことがさっきあったので、文章が乱れていると思います。申し訳ございません。明日はDとラブラブした記事を書きます。もうこんな後ろ向きな暗い記事書かないぞ!!ラブラブな記事でブログをいっぱいにするんだあああああ!!!!!
でも、元彼には優しいところもあるし、元彼との楽しい思い出も沢山あったんです。でも私が元彼という男に逆えなかったのは、元彼の中の、私の父と似た部分に服従して逆らえなかったからだったのです。だから私は元彼に逆らえず付き合い続けてきたのだと思います。だからもう元彼とは別れるのです。でも元彼の幸せを祈っています。私じゃない他の誰かなら、元彼の欠点を直して、元彼と一緒に歩いていける人もいるのだと思います。でも、私はその人物にはなりたくないのです。もう無意識に父の世話をするようなことしたくないからです。ごめんね元彼・・・
もうこんな記事書かないーーー!!ラブラブな記事でブログをいっぱいにしてやるううううう!!!!!
元彼「お前が病気って聞いたとき、頭真っ白になって、それで混乱して別れようって言っちゃったというか・・・別れようとか、本当は思ってなかったんだけど」
アパートの玄関に帰ってきたとき、背の高い見慣れたシルエットが立っていたので驚きました。元彼です。どうやらアパートの外で私の帰りを待っていたようです。
元彼「なんでメールの返事くれなかったの?何度も送ったし、ずっと返事待ってたんだけど。昨日はバレンタインだったから、俺寝ないでメール待ってたのに。無視とか酷くね?おかげで寝不足で頭痛がする・・・」
聞きなれた、懐かしい声です。かぎなれた香水の匂いもします。
元彼「これ、バレンタインのチョコ。逆だけど」
元彼が紙袋を差し出してきました。私は首を横に振りました。
私「あの、もらえないよ。もう別れたから」
元彼「は?・・・え、なんで?」
私「ごめんね。復縁はできない」
元彼「お前からメール無視されて、俺がショック受けて傷ついてるってわかってるのに、なんでそういう冷たいこと言えるの?」
あ、機嫌悪くなった。いつもならこのあたりで、私がゴメンって謝ってたんだ。そうするとコロっと機嫌良くなって、陽気な話をし出すんだよね。そんな子供っぽいところもかわいいなって思ってたけど・・・
元彼「俺そんな悪いことした?お前からそんな冷たい仕打ちされるほど悪いことしちゃったの?」
私が黙っていたせいか、元彼は機嫌が悪くなっているようです。私がメールを無視してきたことも機嫌の悪さにつながっているのです。
元彼「じゃあさ、お前はどうすれば気が済むの?俺が謝り倒せばいいわけ?でも俺悪くないよね?」
それでも私が黙っているので、元彼は大きなため息をつきました。
元彼「お前のそういうとこ、ほんとムリ・・・なんでそういう」
私「話す気は無いよ」
元彼の言葉をさえぎって喋るのは初めてです。でも、自分でもビックリするくらい冷静に言葉が出てきました。
ようやくわかったのです。元彼の何が過去の私を服従させ、今の私の神経に触ったのかって、お父さんと似ているところがあるからなのです。それは被害者意識です。こちらに罪悪感を抱かせ、いつの間にか自分が加害者のような気持ちにさせられてしまう、攻撃的な被害者意識です。
お父さんがそういう人間なのです。お父さんが浮気して子供まで作ってお母さんを傷つけて、その結果お母さんが自殺しちゃったのに、お父さんは自分のことを被害者だと思っているのです。
お父さんの考え方はこうです。浮気相手に誘われたから浮気することになっちゃった。浮気相手が妊娠して結婚をせまってきたせいで、浮気をお母さんに話すはめになっちゃって、そのせいでお母さんが自殺することになっちゃった。そういう経緯の自殺だから、自分だけに自殺の責任があるわけじゃないのに、自殺の件で自分は周囲から責められた。自分だって苦しかったのに、誰も慰めてくれなかった。みんな自分のことを責めた。だから自分は周囲からすごく苦しめられた被害者だ。お父さんは本気でそう思っているのです。
お父さんは常に被害者でいたい人なのです。自分のことを常に被害者で不幸な人間だと思いたい人なのです。人に責任転嫁をして、自分を正当化するためにです。
人に罪悪感を抱かせて、自分に同情をさせて、自分の世話をさせようとする・・・そういうお父さんが、私は世界一大嫌いで、世界一怖くて、だから避けてきたはずなのに・・・・元彼も、同じタイプの男性だったのです。Dに出会うまでそのことに気づかなかった。私は、幼い頃に服従させられていた父と似たような男に、父と似ているという理由で、今まで無意識に服従してしまっていたのです。父と同じような男性に逆らえず服従してしまうことで、無意識に父と同じような男性を選んでしまったのです。
自己弁護、責任転嫁、被害者意識。お父さんの得意技です。
でも、きっと誰にでもそういう部分はゼロではなく、全くそれらが無い人間はいないのです。私の中にもあるのです。だから、父と元彼の共通点に気づいた今、元彼のそういう部分を脊髄反射で拒絶するんじゃなくて、認めて哀れに思わなくちゃ・・・きっと、それは私のお父さんに対する憎しみを、憐れみに変える方法でもあるんだ。
お父さんに対する憎しみを持ち続ける限り、私の苦しみも無くならないのだろう。自分の苦しみを捨てるためにも、私は自分の考え方を変えなくてはいけません。
・・・お父さんはかわいそうな人なのだ。跡取り息子として両親に甘やかされて、本当はお金も自由もあるのに、永遠に不幸な被害者としてしか生きられない、かわいそうな甘ったれオボッチャマなのだ。成長して前に進んでいく周囲から置きざりにされて、たった一人で足踏みしながら同じことをわめき続ける、かわいそうな子供なのだ。
私「付き合いきれないから、もう私を巻き込まないでね。一人で好きにすればいいでしょ。これ以上の話は聞かないよ。あなたに興味無いし、どうでもいいから」
元彼「・・・え?」
私が面と向かって彼を突き放す言葉を言ったのは、これが初めてです。お父さんもそうだったけど、攻撃や反論に対しては強く出るけど、突き放されることに関しては弱いんだよね。
元彼「いや、俺も言いすぎたし・・・話し合おうよ」
ほらね、譲歩してきた。お父さんと同じだ。なんで気づかなかったんだろ。
私「嫌だよ。二度と私の前に現れないで」
元彼「は?それ、俺に消えろって、俺に死ねって言ってる!?そうやって俺を追い詰めて楽しい?なあ楽しいの?」
以前の私だったらもう、ごめんねごめんねと平謝りしていたはずです。でも、もう私は元彼を突き放す一辺倒の行動に徹するのです。
私「はいはい。気が済んだら帰ってね」
元彼が泣きはじめました。きっと今までの私だったら、かわいそうだと思って、罪悪感に胸が痛んで、彼が泣きやむまで謝り続けて、復縁の願いも聞いてしまったはず。でも、もう私は克服したのです。Dと付き合うことで、いつの間にか考え方が変わっていたのです。
元彼「ごめんなさい・・・許して・・・」
やっぱり元彼がかわいそうです。別に私に謝るような酷いことはしてないし。でも、ここでそんなこと言ったら、元彼がねばると思ったので、あえて冷たく言いました。ごめんね。
私「許すよ。そのかわり、二度と私の前に現れないで」
この言葉をお父さんにも言わなくちゃ。許すよって。それから二度と現れないでって。
元彼に言えたんだから、もう、お父さんにも言えるよ。
元彼と決別した今、お父さんへの決別を・・・その前に、自分の中にあるお父さんみたいな被害者意識とも決別しなくちゃ。さよなら、私の中にいる責任転嫁。
私「うう・・・」
アパートの部屋に帰ってきた私は、鍵を閉めた途端、涙が出てきました。でも、泣くなら手を洗ってうがいをしてからじゃないと。鼻をかむティッシュも用意しないと。そんなことを考えながらバシャバシャと手を洗って、タオルで拭きます。
私(しまった・・・ポストの中の郵便物、持ってくるの忘れた・・・)
玄関で彼と話したことで頭がいっぱいで、ポストの中身を持ってくるのを忘れました。
D「おいで」
ベッドに腰掛けたDが、ぽすぽすとベッドを叩きました。
私「う・・・うわああああああ~~~ん!!」
私はベッドに突っ伏して泣きました。この泣き声、今このアパートで問題になっている騒音被害にならないかな。(詳細は過去記事「幻聴」「幻視・幻聴の制御」参照)そう思って声をセーブしました。すぐ隣に腰掛けているDが、私の頭を撫でてくれました。
・・・っていうことがさっきあったので、文章が乱れていると思います。申し訳ございません。明日はDとラブラブした記事を書きます。もうこんな後ろ向きな暗い記事書かないぞ!!ラブラブな記事でブログをいっぱいにするんだあああああ!!!!!
でも、元彼には優しいところもあるし、元彼との楽しい思い出も沢山あったんです。でも私が元彼という男に逆えなかったのは、元彼の中の、私の父と似た部分に服従して逆らえなかったからだったのです。だから私は元彼に逆らえず付き合い続けてきたのだと思います。だからもう元彼とは別れるのです。でも元彼の幸せを祈っています。私じゃない他の誰かなら、元彼の欠点を直して、元彼と一緒に歩いていける人もいるのだと思います。でも、私はその人物にはなりたくないのです。もう無意識に父の世話をするようなことしたくないからです。ごめんね元彼・・・
もうこんな記事書かないーーー!!ラブラブな記事でブログをいっぱいにしてやるううううう!!!!!