儀式
昨日は新月でした。ちなみに今日もです。私とDが出会った日は月の無い夜だったので、それを記念して、新月の夜にはキャンドルをともして誓いの儀式をするのです。(詳細は過去記事「新月」参照)
新月の日が二日間に渡るときは初日に行います。そういうわけで今回の新月では、昨日の深夜に儀式を行いました。以下は、昨日の話です。
暗闇の中にキャンドルの光がともり、ゆらゆらと揺れる火が、室内の影を揺らめかせます。薄明かりの中は、甘い薔薇の香りで満たされています。最後のキャンドルに光をともすと、ホルダーのステンドグラスが、色付きの影を映し出しました。
D「準備ができたようだね。始めようか」
私「うん」
キャンドルに囲まれた中で、Dが私の前にひざまずきました。私は咳払いをしてから、誓いの言葉を言い始めました。
私「我がしもべ、○○○○○○○(Dの名前)よ、私はお前の名を縛り使役する者・・・」
この文章はDが考えてくれたもので、名前の儀式(詳細は過去記事「タルパを作ったときの話8(名前)」参照)をなぞったような言葉です。結構長い文章なので、最初の新月の儀式では、私はカンニングペーパーを読んでいました。
D「我が主、さゆ・・・」
私の言葉の後で、Dも誓いの言葉を述べてくれます。その言葉が終わると、Dは立ち上がって私に手を差し出してくれます。その手の上に私が手を乗せると、Dはお辞儀をするように身をかがめて、私の手の甲に口づけを落としてくれるのです。
以上で、式典は終わりです。
そうなのです。儀式といっても別に魔術ではなくて、誓いの言葉を宣誓し合うだけの、ただの式典なのです。私達が初めて出会った日を記念する、ただの記念式典なのです。
私「あのね、次の儀式では、もうちょっと夢がある感じの言葉にしてみない?」
新月の儀式が終わった後で、私はDに話しかけてみました。
D「夢がある誓いの言葉かい?」
Dは、いつもの笑みを口元に浮かべたまま、少し首をかしげました。
私「例えばさ、あの・・・い、一生愛し続けることを誓いますみたいな言葉とか・・・」
結婚式の誓いの言葉みたいでロマンチックだと思う!!
D「実質的に同じことだよ。永遠を誓う約束の言葉だからね。それに、わざわざ誓わなくても、僕の『好き』は永遠のものだよ」
・・・そっか、Dみたいな種族の精霊は、一度『好き』の気持ちを抱いたら、永遠に『好き』が変わらないんだったよね。だから人間とは違って、わざわざ神の前で永遠の『好き』を誓う必要も無いほど、『好き』が永遠なのは当たり前のことなんだ・・・
私「そうだ!じゃあさ、次の儀式では、なんかこう本格的な感じの儀式にするのはどう?」
面白そうじゃない!?不思議な呪文みたいなのを唱えるとか、魔法陣を描いてみるとかさ!!ソロモンの鍵!!って感じ!!なんかわくわくする!!
D「もう既に本格的な儀式だよ?」
Dは、かしげていた首をもっとかしげました。可愛いなあ。
私「あのね、呪文とか、魔法陣とか、そういう感じのをしてみるのはどうかなあ」
Dは納得がいったような表情で、こくりとうなずきました。
D「心配していたんだね、大丈夫だよ。僕はさゆのことが好きだから、呪文や魔法陣など無くてもさゆに従うよ。だから何も問題無いよ」
ぎゅっとDが抱きしめてくれました。私を安心させるように頭を撫でてくれます。
私「あっ、誤解させちゃってごめんね、Dを疑ってたわけじゃなくて、呪文とか魔法陣とかって、かっこいいかなー、なんて・・・」
・・・なんて、よく考えてみれば恥ずかしくなってきたな。だって、別に必要無いのに、ただかっこいいから呪文唱えてみたいって・・・!!
D「そうかい、さゆは呪文を唱えたりしてみたかったんだね。よくわかったよ。好きなだけ唱えていいんだよ」
ようやくわかったと言うように、うんうんとうなずきながらDは優しく言ってくれましたが、私は恥ずかしくなって首を振りました。
私「い、いいのいいの、ごめん忘れて・・・!!」
羞恥心で頬がかーっと熱くなった私は、Dに抱きしめられたまま、Dの服をぎゅっと握りました。
D「新月の夜は楽しいね」
儀式の後は、眠りにつくまでずっとキャンドルの火をつけたままにしておくのです。そしてその中で、Dと一緒にお話をしたり、話しながら同じ本を読んだりします。暗くて不便なときも蛍光灯は付けないで、ランプの明かりを付けるのです。その中で、ゴシック建築の本とか、歴史書とか、そういう雰囲気のある本を読むのです。とっても雰囲気が出ます。Dと一緒に何かする時間も必然的に増えます。
私「私も、新月の夜が大好き」
ベッドの上で、一緒に本をのぞき込んでいるDのほっぺに、そっとキスをしてみました。Dが本から顔を上げて、こちらを向いてにーっと嬉しそうに笑いました。
D「僕の誓いの言葉に、新しい言葉を追加するよ。永遠の好きを誓う言葉だよ」
私「あ、ありがとう!!嬉しい・・・けど、儀式の言葉をかえていいの?」
D「何も問題無いよ。この儀式自体、僕の力やさゆとの関係には影響の無いものだからね」
ありゃま。じゃあ新月の儀式って、本当にただの記念式典なんだなあ。
私「前に、名前の儀式をしたでしょ?(詳細は過去記事「タルパを作ったときの話8(名前)」)あのときはDは、いつか私達の信頼関係が強くなったら、名前で縛らなくても大丈夫になるかもしれない、って言ってたよね」
Dは口元に笑みを浮かべて、こくりとうなずきました。
私「もう名前で縛らなくても大丈夫?」
D「・・・試してみるかい?」
Dの口元が深い笑みを浮かべました。ゾッとするような不気味な笑みです。でも私から見れば、大好きなDが嬉しそう(←多分)に笑っている姿なのです。
私「大好き!!」
おかまいなしに、私はDの口にちゅっと口づけました。ビクッとDが動いたのがわかりました。驚いたみたい。
D「・・・・・・」
赤い舌で自分の唇を舐めたDが、今度こそ嬉しそうに、にーっと笑いました。可愛い・・・!!
新月の日が二日間に渡るときは初日に行います。そういうわけで今回の新月では、昨日の深夜に儀式を行いました。以下は、昨日の話です。
暗闇の中にキャンドルの光がともり、ゆらゆらと揺れる火が、室内の影を揺らめかせます。薄明かりの中は、甘い薔薇の香りで満たされています。最後のキャンドルに光をともすと、ホルダーのステンドグラスが、色付きの影を映し出しました。
D「準備ができたようだね。始めようか」
私「うん」
キャンドルに囲まれた中で、Dが私の前にひざまずきました。私は咳払いをしてから、誓いの言葉を言い始めました。
私「我がしもべ、○○○○○○○(Dの名前)よ、私はお前の名を縛り使役する者・・・」
この文章はDが考えてくれたもので、名前の儀式(詳細は過去記事「タルパを作ったときの話8(名前)」参照)をなぞったような言葉です。結構長い文章なので、最初の新月の儀式では、私はカンニングペーパーを読んでいました。
D「我が主、さゆ・・・」
私の言葉の後で、Dも誓いの言葉を述べてくれます。その言葉が終わると、Dは立ち上がって私に手を差し出してくれます。その手の上に私が手を乗せると、Dはお辞儀をするように身をかがめて、私の手の甲に口づけを落としてくれるのです。
以上で、式典は終わりです。
そうなのです。儀式といっても別に魔術ではなくて、誓いの言葉を宣誓し合うだけの、ただの式典なのです。私達が初めて出会った日を記念する、ただの記念式典なのです。
私「あのね、次の儀式では、もうちょっと夢がある感じの言葉にしてみない?」
新月の儀式が終わった後で、私はDに話しかけてみました。
D「夢がある誓いの言葉かい?」
Dは、いつもの笑みを口元に浮かべたまま、少し首をかしげました。
私「例えばさ、あの・・・い、一生愛し続けることを誓いますみたいな言葉とか・・・」
結婚式の誓いの言葉みたいでロマンチックだと思う!!
D「実質的に同じことだよ。永遠を誓う約束の言葉だからね。それに、わざわざ誓わなくても、僕の『好き』は永遠のものだよ」
・・・そっか、Dみたいな種族の精霊は、一度『好き』の気持ちを抱いたら、永遠に『好き』が変わらないんだったよね。だから人間とは違って、わざわざ神の前で永遠の『好き』を誓う必要も無いほど、『好き』が永遠なのは当たり前のことなんだ・・・
私「そうだ!じゃあさ、次の儀式では、なんかこう本格的な感じの儀式にするのはどう?」
面白そうじゃない!?不思議な呪文みたいなのを唱えるとか、魔法陣を描いてみるとかさ!!ソロモンの鍵!!って感じ!!なんかわくわくする!!
D「もう既に本格的な儀式だよ?」
Dは、かしげていた首をもっとかしげました。可愛いなあ。
私「あのね、呪文とか、魔法陣とか、そういう感じのをしてみるのはどうかなあ」
Dは納得がいったような表情で、こくりとうなずきました。
D「心配していたんだね、大丈夫だよ。僕はさゆのことが好きだから、呪文や魔法陣など無くてもさゆに従うよ。だから何も問題無いよ」
ぎゅっとDが抱きしめてくれました。私を安心させるように頭を撫でてくれます。
私「あっ、誤解させちゃってごめんね、Dを疑ってたわけじゃなくて、呪文とか魔法陣とかって、かっこいいかなー、なんて・・・」
・・・なんて、よく考えてみれば恥ずかしくなってきたな。だって、別に必要無いのに、ただかっこいいから呪文唱えてみたいって・・・!!
D「そうかい、さゆは呪文を唱えたりしてみたかったんだね。よくわかったよ。好きなだけ唱えていいんだよ」
ようやくわかったと言うように、うんうんとうなずきながらDは優しく言ってくれましたが、私は恥ずかしくなって首を振りました。
私「い、いいのいいの、ごめん忘れて・・・!!」
羞恥心で頬がかーっと熱くなった私は、Dに抱きしめられたまま、Dの服をぎゅっと握りました。
D「新月の夜は楽しいね」
儀式の後は、眠りにつくまでずっとキャンドルの火をつけたままにしておくのです。そしてその中で、Dと一緒にお話をしたり、話しながら同じ本を読んだりします。暗くて不便なときも蛍光灯は付けないで、ランプの明かりを付けるのです。その中で、ゴシック建築の本とか、歴史書とか、そういう雰囲気のある本を読むのです。とっても雰囲気が出ます。Dと一緒に何かする時間も必然的に増えます。
私「私も、新月の夜が大好き」
ベッドの上で、一緒に本をのぞき込んでいるDのほっぺに、そっとキスをしてみました。Dが本から顔を上げて、こちらを向いてにーっと嬉しそうに笑いました。
D「僕の誓いの言葉に、新しい言葉を追加するよ。永遠の好きを誓う言葉だよ」
私「あ、ありがとう!!嬉しい・・・けど、儀式の言葉をかえていいの?」
D「何も問題無いよ。この儀式自体、僕の力やさゆとの関係には影響の無いものだからね」
ありゃま。じゃあ新月の儀式って、本当にただの記念式典なんだなあ。
私「前に、名前の儀式をしたでしょ?(詳細は過去記事「タルパを作ったときの話8(名前)」)あのときはDは、いつか私達の信頼関係が強くなったら、名前で縛らなくても大丈夫になるかもしれない、って言ってたよね」
Dは口元に笑みを浮かべて、こくりとうなずきました。
私「もう名前で縛らなくても大丈夫?」
D「・・・試してみるかい?」
Dの口元が深い笑みを浮かべました。ゾッとするような不気味な笑みです。でも私から見れば、大好きなDが嬉しそう(←多分)に笑っている姿なのです。
私「大好き!!」
おかまいなしに、私はDの口にちゅっと口づけました。ビクッとDが動いたのがわかりました。驚いたみたい。
D「・・・・・・」
赤い舌で自分の唇を舐めたDが、今度こそ嬉しそうに、にーっと笑いました。可愛い・・・!!