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パッションフルーツ

パッションフルーツを初めて買ってみました。丸くてピカピカと黒光りする鉄球のような果物です。そこらへんに転がっていたら果物だとは気付けないような外見で、もし戦場に落ちていたら爆弾だと勘違いされるような姿です。この鉄球爆弾がしわしわと元気無くなってきたら食べごろなのだそうですが・・・

私「もう4日目になるのに、一向にしわしわになる様子が無いなあ・・・」

まだツヤツヤピカピカの鉄球です。冷蔵庫の中だと熟れないのかもしれないと思い、3日目から自室に移動したのですが、しわがよる素振りは全くありません。

私(早くしわしわにな~れ、早くしわしわにな~れ)

鉄球爆弾をなでなでしていると、Dがじっと見てきました。なでてほしいのかな?私はDの肩をなでてみました。私もDも立っているので、頭まで手が届かなかったのです。

D「その果物が気に入ったのかい?」

私「いや、初めて食べるんだけど、どんな味なのかな~と思って」

パッションフルーツって加工品になったものは食べたり飲んだりしたことあるけど、生の実を食べたことは無いんだよね。甘酸っぱいらしいけど、どんな感じなんだろ?

私「しわしわになったら食べられるんだって」

D「美味しいといいね」

Dは私の手をひいて、ベッドに座らせました。私が腰掛けると、Dはその隣に並んで腰掛けました。

私(・・・だっこがいいな)

だっこというのは、後ろからだっこするように座ってもらうことです。私がDの両足の間に座って、Dが私のお腹の前に両腕を回すような座り方です。

私「・・・だっこしてください」

変な感じに照れながら言ったせいで敬語になりました。

D「いいよ」

こくりとうなずいたDは、私の後ろまで移動して座り、私のお腹の前に両腕を回してくれました。だっこです。私はこの座り方が大好きなのです。

私「ありがとう」

D「かわいいね」

Dが後ろから頬をすり寄せてくれました。さらさらの髪の毛が首に当たってくすぐったいよ。私のお腹に回されているDの両腕にぎゅっと力が入って、Dのお腹が私の背中にぴったりくっつきました。あったかいなー・・・これ大好き・・・

私「えへへ・・・」

私はだらしなく笑いました。

ぽとん、ころころ。

私「あっ」

私の膝の上からパッションフルーツが転がり落ちました。いけないいけない、忘れてた。慌てて拾い上げて確認しましたが、特に傷は付いていないようです。さすが鉄球爆弾です。でももう落ちないように、今度は机の上に置きました。

ベッドに戻ってきた私は、再びDの足の間に座りました。だっこです。

私(あの青い薔薇の果実・・・)

楽園に咲く青い薔薇の果実は、花以外は実も枝もザクロだったんだ。あれって、もしかしたらギリシャ神話に出てくるザクロなんじゃないかな。日本の神話にも同じような話があるけど、あっちの世界のものを食べると、あっち側の存在になってしまうっていう話でさ。

たしか冥府の世界に連れていかれたペルセポネーは、冥府の食べ物であるザクロをうっかり口にしてしまい、食べた実の分だけあちらの世界に滞在しなくてはならなくなったんだよ。自分でうっかり食べたとか、冥府の神に感謝を表そうとしたとか、冥府の庭師が騙して食べさせたとか、諸説あるらしいけど、とにかく何であろうと食べちゃ駄目なの。食べるとあっちの世界の存在になっちゃうの。死ぬとか狂気にとらわれるとか、そんな感じ。

あの青い薔薇の果実を見て、実はザクロなんだってわかった瞬間に、その神話を思い出したんだよね。Dはいつもお伽噺とか童話とか神話とかを使って現実の話をするから、だからあの青い薔薇の果実も、何かのお話とリンクしてるんだと思う。もちろん青い鳥の童話とは確実にリンクしてるんだろうけど、もしかしてギリシャ神話ともリンクしてるのかな。

ガラス細工のように透き通った色とりどりの薔薇、氷砂糖のようにきらきらした白い百合、荘厳なゴシック建築の城・・・静謐の楽園は、Dが作ってくれた、私の好きなものしか存在しない場所なんだ。青い薔薇はその中心に生えているんだ・・・だからあの青い薔薇や果実も、私が望まないようなものじゃないと思う。じゃあやっぱりギリシャ神話とは関係無いのかな。だって、まさか私が死や狂気を望んでるわけないよね。そういえばDは、あの青い薔薇の木は信頼の証って・・・

D「さゆ」

すりすりとDが頬を寄せてきました。

D「僕に構っておくれよ」

そっと首筋に口づけられて、ぞくっと気持ち良さが背筋を走りました。

私「う・・・」

D「今度の休日に、僕と出かけないかい?」

私「えっ」

Dからのデートのお誘い!?嬉しい、絶対行く!!

私「行こう行こう!!どこがいい!?」

D「ルーブル美術館展と、グエルチーノ展なんてどうだい?」

それ、時間ができたら行きたいと思ってたんだ。(詳細は過去記事「やりたいこと」参照)D、覚えててくれたんだ。

私「最高!!ありがとう・・・」

私は体の向きを変えて、Dに抱き付きました。嬉しくて興奮したので左腕がDの体に入って、突き抜けてしまいました。そういうときは、あったかくて不思議な感触がするのです。

私「少し入っちゃった」

D「問題無いよ。温かくて甘くて良い香りだし、気持ち良いよ」

Dにとって嫌な感触じゃなければ良いんだけど、気持ち良いなら嬉しいなあ。

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