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絵を描きたい

私「D、ちょっとそこに座っててね」

D「いいよ」

ベッドに腰掛けてくれたDの姿をじっと見ながら、私は机の上のルーズリーフにボールペンを走らせ始めました。

私(ええと・・・髪型は・・・丸っぽくて・・・こうかな・・・)

Dの絵を描こうとしているのです。それも、漫画っぽくです。あちこちのタルパブログ様を拝見させて頂いて、皆様がタルパさんの姿を上手に描いていらっしゃるのを見ていたら、私も描いてみたくなっちゃったんです。

私(それから前髪が長くて・・・ええと・・・)

描き始めて30秒もしないうちに、私は困り出しました。絵を見るのは大好きなんですが、自分で描いたことはほとんどありません。しかも漫画っぽく人物を描くなんて一度もしたことが無かったのです。美術の授業でもそういうのは無かったし、どうやって描けばいいんだろ。

私(も、もう行き詰まっちゃった)

絵を描くのって、外国語を発音するのと似てるような気がするよ。脳内再生はネイティブなのに、いざ自分が発音しようとすると上手く発音できないの。そんな感じで、こういう絵を描きたいっていうイメージは脳内で出来上がってるのに、いざ紙に表現しようとすると全然うまくいかないんだ。きっと私、イメージを絵でアウトプットするのが下手なんだろうなあ。

私(う、うわっ、ひどい絵!!)

改めて見てみると、ルーズリーフには子供の落書きよりひどい絵が描かれています。なんじゃこりゃーーー!!

私(あ・・・あーあ・・・てるてる坊主みたいになっちゃった・・・)

今Dが着ている服は、死神みたいな黒いマントです。それを絵で再現しようとして、丸い髪型+体の形を隠すようなマントを描いてみたら、てるてる坊主みたいになってしまいました。

私(描き直そう・・・)

私は紙の空白部分に、もう一度Dの絵を描きはじめることにしました。



そうやって何度も描いてみましたが、一向にてるてる坊主から進歩しません。そこで私は作戦を替えてみることにしました。

私(えーっと『目が隠れた髪型 キャラ』で画像を検索っと)

そうです。本物の立体的なDを見て描くのではなくて、漫画の絵を参考にさせて頂いて、絵を描く練習をするのです。人物像を漫画風に描くためには、実物を見て描くのではなくて、似たキャラクターさんの絵を探して、その姿を模写させて頂くことで描く練習をすればいいんじゃないかなと思ったのです。

私(このキャラクターさんの髪型、Dに近いかも。もう少しここをこうすれば似てるよね)

わりとアッサリと、Dっぽい髪型のキャラクターさんが出てきました。なるほど、前髪で目が隠れている顔を漫画的に描くには、こうやって表現すればいいんだね。

私(次は・・・『死神 服』で検索・・・あれ?)

キーワードを検索にかけると、絵ではなくて本物の服が沢山出てきてしまいました。絵もありますがリアルな描写です。もっと漫画っぽい描き方が知りたいんだけどな。だってリアルな服ならもうここに、目の前でDが着てるからね。検索する言葉を替えないとなー。

私(『死神 マント』・・・うーん、写真ばかりだなあ・・・『死神 漫画』・・・一気に漫画の絵が沢山出てきたけど、Dみたいな服は無いね・・・『マント』・・・これも写真ばかり・・・じゃあ『マント 漫画』・・・Dっぽいのは無いなあ・・・)

しばらくキーワードを替えて検索してみましたが、Dに似ている服はありません。そうそう都合よく似た服が出てくるはず無いのです。

D「さゆは、この服が好きかい?」

いつの間にか背後に来ていたDが、すらっとした透き通る指でパソコンのモニターを指差しました。

私「あっ、違うの。ごめんね、Dは何も気にしなくていいよ」

私は慌てて首を振って、画像を検索していたタブを閉じました。いけないいけない、Dに余計な影響を与えちゃうところだったかも。

昔、Dの声を定着させようと訓練していた頃、たまたま私、ネットサーフィン中にかわいいと思うキャラクターさんを見つけてしまって・・・気に入って見ていたら、Dがそのキャラクターさんの喋り方をマネしたことがあるんです。びっくりしました。

Dが幻視や幻聴を作るときは、私の抱いたイメージを素材として使って再現するのですが、私を喜ばせようと思って、私が好むような感じの幻視や幻聴を作ろうとしてくれるのです。私の好きな幻視の一つに、Dの作ってくれる幻の薔薇があるのですが、その幻視の薔薇を咲かせてプレゼントしてくれるように、それと同じ感覚で、Dは自分の容姿すらも私の好みに合わせて幻視で作ってプレゼントしてくれようとするのです。Dは私を喜ばせようと思って、それで私がかわいいと思ったキャラクターさんのマネをしたのです。

その気持ちがとっても嬉しいのと、その半面、Dが私のオリジナルでなくなっていくような気がして寂しくも感じました。その時点で既に外見と声を、実在する複数の人間のモデルさんから借りていたDですが、そうやって外から私の気に入ったものをDにどんどん取り込んでもらうことで、もともとのDの要素が少なくなっていくことが、なんか急にとても寂しくなったんです。そんな風に考えるなんて馬鹿馬鹿しい、だってせっかくのDの好意を無駄にするようで・・・と思いながらもやっぱり私・・・これは、私の本当に勝手な独占欲なのですが・・・

私(・・・キャラクターさんの絵を描いて練習するのはやめよう)

またDが私に気を使って、キャラクターさんをマネようとしてくれるかもしれないもんね。てるてる坊主みたいな棒人間でもいいから、自分のオリジナルの画風でDを描くことにしよう。

D「さゆ、これは僕かい?」

さっきDを見ながら私が書いた酷い絵を指差して、Dがそう言いました。

私「わああ!!ゴメンね!!私すっごい絵が下手で!!」

私は急いでルーズリーフを裏返しました。D、この酷い絵を見て傷付かなかったかな。私の下手な絵を見て、さゆからは僕がこんな風に見えているんだね・・・って傷付かなかったかなあ。

私「Dはもっとずっとカッコ良いし、かわいいし、綺麗だよ!!これは私の絵が下手なの!!」

私は慌てて弁解しましたが、Dは嬉しそうに口元に笑みを浮かべています。

D「僕を描いてくれたんだね。嬉しいよ」

Dは、パソコンの上に置かれている私の右手に、そっと手を重ねてくれました。

D「さゆが僕との思い出を、文章にして残してくれていることも知っているよ。ありがとう」

きっと私が書いているブログのことです。Dは全然ブログに興味無さそうだったけど(詳細は過去記事「雌雄」参照)、もしかして喜んでくれてたのかな。

私「こちらこそ、いつもありがとうD」

D「ふふ」

ちゅっ、とDがおでこにキスをくれました。

私「文章は文字だから、書くのを練習しなくても入力すれば良いだけだけど、絵は練習しないと描けないから難しいなあ。でもいつかちゃんとDを描くからね」

D「描かなくていいよ」

Dは嬉しそうに私に頬をすり寄せながらも、くすくすと笑って否定してきました。ありゃま。あの絵の下手さかげんを見て、これはもう絵を描くのは一生掛かっても無理だろうなって思っちゃったのかな?

私「今度はボールペンじゃなくて、鉛筆と消しゴムを使って、少しずつ修正しながら描いてみようかなあ」

そうしたら少しは変わるかもしれないよね。

D「さゆの気晴らしになるようなら良いんだけどね」

ふわ、ふわっと私の周囲に薔薇の花が咲きました。私とDの周囲だけ、小さな薔薇のお花畑です。これは静謐の楽園の一部なのです。Dは私の体調や精神の健康を気遣ってくれていて、休日じゃない日は大がかりな幻視を見せずに、小さくて可愛い幻視だけを見せてくれるのです。(詳細は過去記事「幻視・幻聴の制御」参照)

私「静謐の楽園って、Dのキャンバスみたいね。何も無いところに綺麗なものをどんどん作り出して、まるで自由に綺麗な絵を描いているみたい」

絵じゃなくて立体だけど、綺麗な薔薇もお城も見せてくれるし、綺麗な音楽も聞かせてくれるし、Dは芸術家みたい。

D「それなら、僕はさゆの好きなものを描いて作っていくよ」

ふわふわと可愛くて綺麗なお花を咲かせながら、薔薇の蔓は壁にそって、音も無く天井にまで伸びました。まるで薔薇で作られた綺麗な鳥籠の中にいるみたいね。

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