イースター
今日は西方教会のイースター(復活祭)です。モアイ像のほうではなくて、お祭りのほうのイースターです。タマゴをスプーンに乗せて全力疾走したりとか、なかなか狂気じみた独特のお祭りです。ちなみに明日はホワイトハウスの庭もタマゴだらけになり、沢山のタマゴが大型スプーンでコロコロ転がされたりします。あのオバマ大統領も参加します。
このイースター、今ではキリスト教の復活祭ということになっているけど、もともとは北欧神話の行事で春のお祭りだったようです。昔はキリスト教のものではなかった祭典という意味では、ハロウィンと同じような位置付けみたいですね。
北欧の人々がキリスト教に支配されたとき、キリスト教を信じないと異端だとして迫害されてしまうので、自分達の北欧神話を捨てざるを得なかったのですが、そのときに全てを捨てることは惜しくて、キリスト教のお祭りだとしてごまかして北欧神話の春のお祭りをしたのがイースターの起源だと言われています。春の女神「Eostre」或いは春の月名「Eostremonat」が由来となってイースター「Easter」またオーステルン「Ostern」という名になったそうです。
日にちは、春分の日の後の最初の満月の次の日曜日なんだって。ややこしいね!!だから毎年日付が変わるんだね。
私「D、今日はイースターだよ」
会社の帰り道に、ついスーパーで買ってしまったパック入りの卵を持って、Dに話しかけてみました。イースターといえばイースター・エッグだよね。
D「イースターだね」
Dはいつもと同じ笑みを浮かべた表情で、オウム返しに返事をしてきました。あまり興味が無さそうです。
私「エッグ・ハントでもする?」
イースターにはエッグ・ハントといって、タマゴを隠して子供に見つけさせるという宝探しみたいな遊びがあるんです。せっかくだからDとやってみようかな。
D「いいね。エッグ・ハントをするよ」
Dはいつも通りの笑みを浮かべたまま、こくりとうなずきました。
私「じゃあ、タマゴを隠すから、Dは見ないでいてね」
Dには廊下で待機してもらって、私は寝室のあちこちにタマゴを隠し始めました。チェストの中に一つ、ドレッサーの引き出しの中に一つ、クローゼットの中に一つ、ベッド下の引き出しに一つ・・・最後の一つは難しいところに一つ隠そうかな。どこがいいかな・・・えっと・・・
色々考えて、エッグジュエリーボックスの中に最後の一つを入れました。まさかタマゴの中にタマゴが入っているとは思うまい。
私「隠したよ、見つけてみて」
私は、廊下にいるDの手を引いて、寝室の中につれてきました。Dは部屋に入るなり、いきなりベッドを指差しました。
D「ベッドの引き出しに一つあるよ。それからクローゼットの中に一つ、ドレッサーの中に一つ、その入れ物の中に一つ、チェストの中に一つあるよ」
私「・・・・・・」
どうやらDは、私の記憶を読んだようです。少しも探すことなく、全てのタマゴの場所を当ててしまいました。
私「・・・なんかずるい気がするなあ」
一生懸命隠し場所を考えたのにー・・・
D「次は、僕が隠す番だね」
私「じゃあ、Dが隠す間は目をつぶってるね」
D「もう隠したよ」
私「もう!?」
D「5つのタマゴを隠したよ。探しておくれ」
幻のタマゴを隠したってことだよね、いつの間に・・・でも、Dは自分から離れた場所に幻の薔薇を咲かせたりしてたもんね、きっと離れた場所に幻のタマゴを設置することくらい造作もないことなんだろうな。
私(えーっと、デスクの引き出し・・・無い・・・ゴミ箱の中・・・無いな・・・)
私は寝室の中をあちこち探し始めました。そのうち、一つ目のタマゴが見つかりました。スーツケースを開けたら、ころんと入っていたのです。
私「あった!!」
とっても綺麗なタマゴです。ジュエリーボックスみたいに宝石やガラスやビーズで飾られています。
私「わあ、かわいい・・・」
触った瞬間に、綺麗なタマゴは光の粒になって消えてしまいました。
D「あと4つあるよ」
私「よしっ、頑張って探すよ!!」
その次のタマゴは、写真立ての向こう側にありました。何気なく写真立てを持ち上げたとき、ちょこんと置かれているのを見付けたのです。
私「あったあった!!これも綺麗!!」
D「あと3つだね」
もう一つは、ムートンの敷物を踏んだときに見つけました。敷物の下に何かあるような違和感を感じたのです。
私(でも、敷物はぺっちゃんこだし・・・ほら、下に何かあったら敷物が盛り上がるでしょ?)
そっと敷物を持ち上げてみると、その下にタマゴが隠れていました。私が踏んでしまったにもかかわらず、傷一つ無くコロンと転がっています。
私「こ、こんなところに!!全然盛り上がってないからわからなかったよ!!」
驚く私に、Dはいつもの笑みを浮かべたまま平然とうなずきました。
D「幻のタマゴだからね」
そ、そっか。物理的な体を持たないタマゴだもんね。そりゃ敷物も盛り上がらないよね。
私「踏まなきゃ気づかなかっただろうなあ。っていうか、踏んでも割れなくて良かった・・・」
D「幻のタマゴだからね」
再びDはうなずきました。今度は少し得意げです。なんかかわいいね。
私(うーん、どうやら普通ではあり得ないような場所にタマゴが隠されている可能性もあるみたいだなあ)
ぺたんこに敷かれていたムートンの下にあったくらいだもん、これはもうどこからタマゴが出てきてもおかしくないよね。蛇口をひねったらタマゴがポンッて飛び出してくるくらいのこと、Dならできるんだろうし・・・
私(敷物の下にあったくらいだから、ベッドの掛布団の下にもあったりしてね)
私「って、あった!!」
ばさっと羽毛布団を持ち上げると、ちょこんとタマゴが置かれていました。今までのものと同じ、デコレーションされた綺麗なつくりのタマゴです。
D「残りは、最後の一つだよ」
Dが楽しそうに言いました。もしかしてDも、結構エッグ・ハントを楽しんでいるのかもしれません。それにしても敷物の下と掛布団の下って、隠しかたが似てない?その前は写真立てで、その前は旅行用のスーツケース・・・
・・・そうか!!Dとの思い出に関係するものの傍に隠してあるんだ!!写真立てはDに選んでもらったもの(詳細は過去記事「写真立て(2)」参照)で、スーツケースはDと一緒に旅行に行く約束(詳細は過去記事「約束」参照)と関係の深いもの、ムートンはベッドの傍の床の上に座るDが寒くないように買った敷物で、ベッドは普段一緒に座ったりくつろいだりする場所で・・・だったら残りの一つも、きっとDと関係のある場所なんだ!!
私「わかった!!ここだよ!!」
私は花瓶の傍に駆け寄りました。部屋に飾るお花は、いつもDに選んでもらっているのです。きっとこのお花の近くにあるに違いありません。
私「・・・あれ?」
しかし、花瓶の近くにタマゴはありませんでした。いやいや、もしかしてこの花瓶の中に隠してあるのかも。とてもタマゴが入るような太さじゃない一輪ざしの花瓶だけど、Dなら不思議な力を使ってこの中にタマゴを隠すこともできるだろうし。お花を出して、花瓶を逆さにして振ってみようかな。
花瓶を持って洗面所に行こうとすると、Dが私の手を止めました。
D「そこではないよ」
私(あ、違ったのか・・・えっ、じゃあ、他にDと関係のある場所っていうと、どこだろ?)
よく考えてみれば、ほとんどの場所がDと関係のある場所のように思えてきました。
私(スタンドライトはDと影の実験をしたことがある(詳細は過去記事「短い出来事が三つです」参照)し、CDプレイヤーはいつもDと音楽を聴くときに使ってるし・・・)
D「降参かい?」
私「う、うん・・・難しい場所に隠したね・・・」
D「最後の一つは、ここだよ」
Dが指差したのは、インテリア用の鳥籠でした。本物よりも小さくて、中に花などを入れて飾ることができるインテリア用品です。普段はこの中に本物そっくりの造花を入れて飾っているのですが・・・
私「あ、ホントだ」
鳥籠の中には、たしかに綺麗なタマゴが隠されていました。お花に埋もれているのでその全貌は見えませんが、とても豪華で繊細なつくりのようです。
私「ここにあったんだ~、全然わからなかったよ。うまいところに隠したね。あー楽しかった!!」
私はベッドの上にボフッと倒れ込みました。
D「楽しんでもらえたなら何よりだよ」
こちらに歩いてきたDが、ベッドの上の、私の隣に腰掛けました。
私「Dが作る幻視のタマゴは綺麗だね」
D「さゆのほうが綺麗だよ」
私「なっ・・・」
いつも思うんだけど、Dの言う綺麗って普通の感性とは違うんだろうなあ。でもいいや。Dにとって魅力的に見えるなら、それだけで嬉しいもん。
私「ありがと」
私にとっても、Dはかわいくて綺麗だよ。普通の感性じゃそうは見えないかもしれないけど、私にとってDはすごくかわいく見えるんだ。きっと私がDのこと大好きだからだね。
このイースター、今ではキリスト教の復活祭ということになっているけど、もともとは北欧神話の行事で春のお祭りだったようです。昔はキリスト教のものではなかった祭典という意味では、ハロウィンと同じような位置付けみたいですね。
北欧の人々がキリスト教に支配されたとき、キリスト教を信じないと異端だとして迫害されてしまうので、自分達の北欧神話を捨てざるを得なかったのですが、そのときに全てを捨てることは惜しくて、キリスト教のお祭りだとしてごまかして北欧神話の春のお祭りをしたのがイースターの起源だと言われています。春の女神「Eostre」或いは春の月名「Eostremonat」が由来となってイースター「Easter」またオーステルン「Ostern」という名になったそうです。
日にちは、春分の日の後の最初の満月の次の日曜日なんだって。ややこしいね!!だから毎年日付が変わるんだね。
私「D、今日はイースターだよ」
会社の帰り道に、ついスーパーで買ってしまったパック入りの卵を持って、Dに話しかけてみました。イースターといえばイースター・エッグだよね。
D「イースターだね」
Dはいつもと同じ笑みを浮かべた表情で、オウム返しに返事をしてきました。あまり興味が無さそうです。
私「エッグ・ハントでもする?」
イースターにはエッグ・ハントといって、タマゴを隠して子供に見つけさせるという宝探しみたいな遊びがあるんです。せっかくだからDとやってみようかな。
D「いいね。エッグ・ハントをするよ」
Dはいつも通りの笑みを浮かべたまま、こくりとうなずきました。
私「じゃあ、タマゴを隠すから、Dは見ないでいてね」
Dには廊下で待機してもらって、私は寝室のあちこちにタマゴを隠し始めました。チェストの中に一つ、ドレッサーの引き出しの中に一つ、クローゼットの中に一つ、ベッド下の引き出しに一つ・・・最後の一つは難しいところに一つ隠そうかな。どこがいいかな・・・えっと・・・
色々考えて、エッグジュエリーボックスの中に最後の一つを入れました。まさかタマゴの中にタマゴが入っているとは思うまい。
私「隠したよ、見つけてみて」
私は、廊下にいるDの手を引いて、寝室の中につれてきました。Dは部屋に入るなり、いきなりベッドを指差しました。
D「ベッドの引き出しに一つあるよ。それからクローゼットの中に一つ、ドレッサーの中に一つ、その入れ物の中に一つ、チェストの中に一つあるよ」
私「・・・・・・」
どうやらDは、私の記憶を読んだようです。少しも探すことなく、全てのタマゴの場所を当ててしまいました。
私「・・・なんかずるい気がするなあ」
一生懸命隠し場所を考えたのにー・・・
D「次は、僕が隠す番だね」
私「じゃあ、Dが隠す間は目をつぶってるね」
D「もう隠したよ」
私「もう!?」
D「5つのタマゴを隠したよ。探しておくれ」
幻のタマゴを隠したってことだよね、いつの間に・・・でも、Dは自分から離れた場所に幻の薔薇を咲かせたりしてたもんね、きっと離れた場所に幻のタマゴを設置することくらい造作もないことなんだろうな。
私(えーっと、デスクの引き出し・・・無い・・・ゴミ箱の中・・・無いな・・・)
私は寝室の中をあちこち探し始めました。そのうち、一つ目のタマゴが見つかりました。スーツケースを開けたら、ころんと入っていたのです。
私「あった!!」
とっても綺麗なタマゴです。ジュエリーボックスみたいに宝石やガラスやビーズで飾られています。
私「わあ、かわいい・・・」
触った瞬間に、綺麗なタマゴは光の粒になって消えてしまいました。
D「あと4つあるよ」
私「よしっ、頑張って探すよ!!」
その次のタマゴは、写真立ての向こう側にありました。何気なく写真立てを持ち上げたとき、ちょこんと置かれているのを見付けたのです。
私「あったあった!!これも綺麗!!」
D「あと3つだね」
もう一つは、ムートンの敷物を踏んだときに見つけました。敷物の下に何かあるような違和感を感じたのです。
私(でも、敷物はぺっちゃんこだし・・・ほら、下に何かあったら敷物が盛り上がるでしょ?)
そっと敷物を持ち上げてみると、その下にタマゴが隠れていました。私が踏んでしまったにもかかわらず、傷一つ無くコロンと転がっています。
私「こ、こんなところに!!全然盛り上がってないからわからなかったよ!!」
驚く私に、Dはいつもの笑みを浮かべたまま平然とうなずきました。
D「幻のタマゴだからね」
そ、そっか。物理的な体を持たないタマゴだもんね。そりゃ敷物も盛り上がらないよね。
私「踏まなきゃ気づかなかっただろうなあ。っていうか、踏んでも割れなくて良かった・・・」
D「幻のタマゴだからね」
再びDはうなずきました。今度は少し得意げです。なんかかわいいね。
私(うーん、どうやら普通ではあり得ないような場所にタマゴが隠されている可能性もあるみたいだなあ)
ぺたんこに敷かれていたムートンの下にあったくらいだもん、これはもうどこからタマゴが出てきてもおかしくないよね。蛇口をひねったらタマゴがポンッて飛び出してくるくらいのこと、Dならできるんだろうし・・・
私(敷物の下にあったくらいだから、ベッドの掛布団の下にもあったりしてね)
私「って、あった!!」
ばさっと羽毛布団を持ち上げると、ちょこんとタマゴが置かれていました。今までのものと同じ、デコレーションされた綺麗なつくりのタマゴです。
D「残りは、最後の一つだよ」
Dが楽しそうに言いました。もしかしてDも、結構エッグ・ハントを楽しんでいるのかもしれません。それにしても敷物の下と掛布団の下って、隠しかたが似てない?その前は写真立てで、その前は旅行用のスーツケース・・・
・・・そうか!!Dとの思い出に関係するものの傍に隠してあるんだ!!写真立てはDに選んでもらったもの(詳細は過去記事「写真立て(2)」参照)で、スーツケースはDと一緒に旅行に行く約束(詳細は過去記事「約束」参照)と関係の深いもの、ムートンはベッドの傍の床の上に座るDが寒くないように買った敷物で、ベッドは普段一緒に座ったりくつろいだりする場所で・・・だったら残りの一つも、きっとDと関係のある場所なんだ!!
私「わかった!!ここだよ!!」
私は花瓶の傍に駆け寄りました。部屋に飾るお花は、いつもDに選んでもらっているのです。きっとこのお花の近くにあるに違いありません。
私「・・・あれ?」
しかし、花瓶の近くにタマゴはありませんでした。いやいや、もしかしてこの花瓶の中に隠してあるのかも。とてもタマゴが入るような太さじゃない一輪ざしの花瓶だけど、Dなら不思議な力を使ってこの中にタマゴを隠すこともできるだろうし。お花を出して、花瓶を逆さにして振ってみようかな。
花瓶を持って洗面所に行こうとすると、Dが私の手を止めました。
D「そこではないよ」
私(あ、違ったのか・・・えっ、じゃあ、他にDと関係のある場所っていうと、どこだろ?)
よく考えてみれば、ほとんどの場所がDと関係のある場所のように思えてきました。
私(スタンドライトはDと影の実験をしたことがある(詳細は過去記事「短い出来事が三つです」参照)し、CDプレイヤーはいつもDと音楽を聴くときに使ってるし・・・)
D「降参かい?」
私「う、うん・・・難しい場所に隠したね・・・」
D「最後の一つは、ここだよ」
Dが指差したのは、インテリア用の鳥籠でした。本物よりも小さくて、中に花などを入れて飾ることができるインテリア用品です。普段はこの中に本物そっくりの造花を入れて飾っているのですが・・・
私「あ、ホントだ」
鳥籠の中には、たしかに綺麗なタマゴが隠されていました。お花に埋もれているのでその全貌は見えませんが、とても豪華で繊細なつくりのようです。
私「ここにあったんだ~、全然わからなかったよ。うまいところに隠したね。あー楽しかった!!」
私はベッドの上にボフッと倒れ込みました。
D「楽しんでもらえたなら何よりだよ」
こちらに歩いてきたDが、ベッドの上の、私の隣に腰掛けました。
私「Dが作る幻視のタマゴは綺麗だね」
D「さゆのほうが綺麗だよ」
私「なっ・・・」
いつも思うんだけど、Dの言う綺麗って普通の感性とは違うんだろうなあ。でもいいや。Dにとって魅力的に見えるなら、それだけで嬉しいもん。
私「ありがと」
私にとっても、Dはかわいくて綺麗だよ。普通の感性じゃそうは見えないかもしれないけど、私にとってDはすごくかわいく見えるんだ。きっと私がDのこと大好きだからだね。