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真実

また就寝前の話です。日中仕事なのでブログに書けるようなエピソードが無くて・・・
ここのところずっと就寝前の話なので、せっかく読んで下さる皆様が、もう飽き飽きなさっているのではないかと恐縮です。すみません・・・
でも、明日は休みなので、明日は日中の話がやっと書けます。

では、以下は昨日の夜の話です。

就寝前。ベッドに入った私は電気を消しました。とたんに暗闇が広がり、同時にDの存在感が増しました。Dは日中の明るい光の下では透き通っていますが、暗いところでは透けずに見えるのです。まるで本当にそこに存在しているかのように。
部屋の中は足元すら見えないほど暗くなり、窓のカーテン越しにぼんやり見える外灯の光だけがうっすら入るのみです。

私は、ベッドの上に左を下にして横になり、左手のパジャマの袖をひじまで上げました。まだ暖房をつけたばかりなので、ひやっとした冷たい空気が左腕の肌を包みました。
Dはベッドの横の床の上に、私と向かい合うように座り、右手を私の左手の上に手を繋ぐように乗せました。そして、左手の指で私の腕の内側を、つーっと肌をくすぐるように滑らせました。

これは触感を鍛えるトレーニングなのです。Dからの提案で始めました。眠る前に毎日してくれるのです。

私「・・・ねえ、なんで腕なの?」

Dから触られる場所は毎回左腕の内側なので、なんとなく尋ねてみました。

D「他の場所でもいいのかい?」

口元にいつもの笑みを浮かべながら、Dが言いました。相変わらず表情が読めません。

私「いや、首はちょっと・・・」

はじめて触感を感じたとき、Dの指に首を触られてゾクっと鳥肌が立ったことを思い出したのです。

D「首じゃなければいいのかい?」

Dは私の腕を触っていた手を止め、私がかけている掛布団の上にそっと乗せました。私の体には、Dの腕の感触も重みも何も感じられませんが、驚いた私はあいている右手でDの腕を押さえました。触れずに空を切りましたけど。

D「ほらね。だから腕にしたんだよ」

Dは布団の上から手をどけて、再び私の腕の内側を触りはじめました。

私(うーん・・・)

D「何も考えないで、触られている感覚にだけ集中してごらん」

Dの指が、そーっと私の肌をなぞり、優しくなでたり、くすぐるように動かしたり、指先で軽く押したり・・・
触感は感じないはずなのに、本当に何も考えないでただ触られているところを見ていると、くすぐったいような焦ってくるような妙な気分になるのです。私は目をそらしました。

D「いけないよ。よくごらん」

私「・・・なんで、そういう触り方するの?普通に触られたほうが良いんだけど・・・」

D「そういう触り方って、どんなだい?」

どんなって・・・

D「そういう触り方、かい。さゆが心地良いと感じるような触り方が、一番さゆの体に受け入れられやすいからだよ」

私「な、なにそれ!違うよ、なんかゾワゾワしてくすぐったい変な感じだよ」

私が慌てて抗議すると、Dは口元の笑みを濃くしました。

D「また嘘かい?さゆは難しいね・・・」

Dは私の腕の内側に、そっと唇を当てました。唇の柔らかい感触と、くすぐったい息が腕にかかります。

私「う、わ」

D「でも、嘘はいけないよ」

肌に唇を押し当てたままDが言いました。柔らかい唇が動く感触。Dが何度も唇を押し当てるたびに、ぞわっと鳥肌が立ち、得体のしれない恐怖が広がります。

私「そ、それやめて」

D「何故だい?」

そう言いながら、Dは再び口づけを落としました。こんなことをしておきながら、Dの口調は淡々としていて、感情が無いかのように平然としています。全くいつもと変化が無いのです。指より唇のほうが感触が伝わりやすいみたいだから唇にしよう、ただそれだけのように。しかしDがそれだけだとしても、私は限界でした。

私「何故って、なんか・・・ホントやめて!」

焦る私とは対照的に、Dは平然と私の腕の内側に口づけを繰り返します。いつも手の甲にされている儀式的なものではなく、濡れた思わせぶりな口づけ。その確かな感触に背筋がゾワゾワ寒くなり、私は息をのみました。

D「ああ、これはいいね。もう少しだね」

柔らかい唇が肌に強く吸い付き、白い歯が甘く噛んだとき、私は我慢できずに声を荒げました。

私「D!!」

D「なんだい?」

Dは平然と顔を上げました。いつもの笑みを口元にたたえています。私の腕には、肌がまだ濡れているような感触が残っています。

私「Dは私の嫌がることはしないって言ってたじゃない」

D「もちろんさ。しないよ。さゆが本当に嫌なことならね」

私「嫌だって言ってるでしょ。Dは私の頭の中の声が読めないんだよね?だったら、私の言う言葉をちゃんと聞いてよ」

Dは口元の笑みを消して、ゆっくり言いました。

D「さゆ。気付かないふりをしてはいけないよ」

え?なに・・・?
昨日も言ってたけど、気付かないふりって一体何に?
一体、私が何に気付かないふりをしてるって言うの?

D「気がつかないふりをして、見ないふりをして、聞こえないふりをして、沈黙して・・・それで傷付くのは君自身だよ」

Dは口元に笑みをもどして、ゆっくり両腕を広げました。

D「さゆは、僕の感触がわかるようになりたいんだろう?それなら、拒絶しないで受け入れておくれ。僕はさゆに、怖いことも痛いこともしないよ」

何を言ってるの?私は感触がわかるようになりたいとか言ってないし、そもそも触感の訓練はDが言い出したことでしょ?
ていうか、Dは私に危害なんて加えないことはわかってるけど・・・加えない・・・よね?
だってDは私の作った・・・

D「さあ、さゆ。何も考えないで、僕に触られる感触だけに集中してごらん」

Dは両手で私の頬を包み、顔を寄せてきました。

D「ほら、何も考えないんだよ・・・」

さらさらの髪が目の前にせまり、Dの笑みがいっそう深くなりました。

私「やだよ!!怖い・・・!!」

怖い!!いやなんで?私のタルパじゃん。私が作った。危害は加えない。男性だけど。でも怖くないでしょ?だってタルパだもん。人間の男性じゃないもん。いや何言ってんの、人間だったらどうだっていうの?なんで人間だと怖いの?私、普通に人間と付き合ってたでしょ・・・付き合って・・・いて・・・

D「思い出した?」

Dが口元に微笑みを浮かべて、穏やかな声で言いました。

D「だから怖かったんだね。でも、さゆが病気になったからといって、僕はさゆを捨てたりしないよ」

病気になったらからといって、捨てたり・・・

D「僕だけは、さゆを置き去りにしてどこかに行ったりしないさ。さゆを一人ぼっちにした『お母さん』や『お父さん』とも違うし・・・『○○』とも違うよ」

○○。
すごく久しぶりかのように、その名前が頭によみがえりました。やたら高い背も、元気で大きめな声も、落ち着きなく活動的なところも、ころころ変わる楽しい表情も、明るい笑顔も。こんな昔のことみたいに思い出すなんて、ほんの数か月前まで毎日のように呼んでいた名前なのに。

私「なんで・・・彼のこと知って・・・」

D「僕は君の心を読むことはできないけど、知識は君と共有しているからね。記憶も知識の一つだよ」

私「ああ・・・」

D「彼は、こうやって・・・」

Dは私の腕に口づけました。今までDがしていた濡れた思わせぶりな口づけじゃなくて、そっと優しいものでした。

D「こうやって僕と同じことをさゆにしたのに、病気になった途端に別れてくれと言ったんだよね」

私「・・・・・・」

D「君はその場で了承した。ごめんね私のせいで迷惑かけて、なんて言葉と笑顔を一緒にね」

当然だよ、だって彼は何も悪くないもん。私の病気は私の問題で、彼を巻き込むことじゃないもんね。将来が見えない病気の私と付き合い続けてくれなんて、そんな厚かましいこと言えるわけないし。

D「君の言葉を聞いた彼は安心した。安心したせいで、つい本音をもらしてしまった。自分には未来があるから、まだこれから先があるから、ってね」

でもそれも当然だと思ったよ。どのくらい当然かって、花が枯れるのと同じくらい当然のことだと思ったから、花が枯れたのをいちいち気にして泣いていたら重いと思われるのと同じで、私がいつまでも彼の言葉を気にしていたら重いじゃん。それにね、彼のそういう裏表の無い正直なところも好きだったんだ。

D「彼に悪気は無かった。君はそれを知っていたから、彼を嫌いになることはなかった。でもあのときを境に、君は怖くなったんだ。それから君は、誰にも迷惑をかけないように、もう誰のことも好きになるまいと決めたんだね」

そこまで言ってDは一息つき、ふふっと微笑みかけてきました。

D「幸いなことに、僕は自分の損得勘定とさゆとを天秤にかけるような思考は持ち合わせていないのさ。なにしろ、人間じゃないからね」

少し得意げな様子でDが言いました。

D「安心おし。ずっと傍にいるよ。一人ぼっちになんてさせやしないさ。だから・・・」

Dは、上にめくられた私の左袖をもとに戻そうとして、自分の指が透けて服に触れないことに気付き、沈黙しました。私が自分でパジャマの袖をもとにもどすと、再びDは口元に笑みを浮かべて言葉を続けました。

D「・・・だから、さっきは怖がらせてすまなかったね。あんなことは、もう二度としないから安心おし・・・・さあ、おやすみ。良い夢を」

コメント

非公開コメント

リンクありがとうございます
うちも さゆさんのブログをリンクさせていただきました
(*゚ω゚)ノi-189

私は さゆさんの書いた記事
どれも興味深い内容ばかりで とても好きです 飽き飽きなんて全くしないです

さゆさんとDさんのやり取りも
読んでいると和むことが多くて 胸が暖かくなります
(*´ω`)i-178

こちらこそ これからよろしくお願いします
(`・ω・´)ノシ

ありがとうございます!!

ホアアアッ!!リンクありがとうございます!!
わざわざブログに訪問してくださり、コメントまでして下さって・・・ありがとうございます・・・!!

飽き飽きなさらないですか、良かったです・・・(泣)
同じような就寝前の話ばかり書いていて不安だったんですが、安心しました・・・

お褒めの言葉までいっぱい頂いてしまって、嬉しいです。
ありがたや・・・ありがたや・・・!!

こんな就寝前の話ばかりの変わりばえしないブログですが、これからよろしくお願いします!!
プロフィール

laceformyshroud

Author:laceformyshroud
名前:さゆ
20代の女です。
初めて作るブログなので、不備がありましたら申し訳ございません。
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