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お母さん

昨日の話です。昨日、書き始めたら長くなってしまい、昨日中に書き終わりませんでした・・・すみません!!
過去記事「命日」の続きです。お母さんの命日だったのでお線香とお花を供えに行ったのですが、それについて書いています。クリスマスに辛気臭い話で申し訳ありません・・・!!皆様のクリスマスが幸せでありますように!!


私「こんにちは」

インターフォンに対応して出てきてくれた人は、見覚えの無い丸顔の女性でした。
実家にこんな人いたかな・・・と、私は昔の記憶をたどって、濃いめにアイシャドウをひいた女性を思い出しました。従兄弟のお母さんです。年齢から考えて、この人が多分そうです。私の母の兄(この実家の主)の奥さんで、私の伯母です。

伯母「まあ、寒い中をどうも。どうぞ上がってください」

記憶の中のアイシャドウを引いた女性は、もっと細くてあごも尖っていた気がします。今、私を見てにこにこ笑ってくれている顔には、記憶の中の女性には無い目じりのシワが刻まれています。

私「お久しぶりです。××さゆです。本日は、夜分遅く申し訳ありません」

私は頭を下げました。

伯母「とんでもない、わざわざ来て頂いてすみません」

女性は人のいい笑みを浮かべました。記憶の中の彼女とまるで印象が違います。

伯母「どうぞ上がってください」

私「失礼致します」

靴を脱いで揃えて、私は廊下に足を踏み出しました。古い木の匂いのような日本家屋の匂いがします。踏みしめる廊下が、時折ギシッと音を立てます。

伯母「今日も冷えますねえ」

私「ええ、本当に。一段と寒くなりました」

伯母「この年になると、寒さで膝が痛むようになって。あ、ここです」

障子が開かれて、私は仏間に通されました。

私「失礼致します」

仏間には、20代くらいの男性が座っていました。年齢から考えて、この男性が私の従兄弟です。先日私に電話をかけてきた本人です。
私は畳に手をついて、頭を下げました。

私「お久しぶりです。夜分遅くに申し訳ありません」

従兄弟も同じように畳に手をついて、頭を下げました。

従兄弟「いえ、お忙しいところ、わざわざお越し頂いてすみません」

頭を上げた私は、体の横に置いていた紙袋を差し出しました。

私「こちらは手土産です。つまらないものですがどうぞ」

中身は菓子折りです。この人達が何を好むかも知らないほど疎遠にしていたので、中身は老若男女を問わないと思われる御煎餅やあられ等の無難なものにしておきました。

従兄弟「恐れ入ります」

伯母「お気遣いくださって、ありがとうございます」

従兄弟と伯母は、そろって手を付いて頭を下げました。

伯母は頭を上げて菓子折りを手に取り、立ち上がって、仏壇に供えました。見れば仏壇にはお母さんの写真が飾られています。きっと命日だからです。仏壇の両脇の提灯の明かりが、その写真をボンヤリと照らしています。

私「では、お線香を上げさせてください」

従兄弟「どうぞ、お願いします」

伯母「この座布団を使ってください」

伯母が、座布団を仏壇の前に敷いてくれました。厚くてふかふかしています。

私「恐れ入ります。この花も供えて構わないでしょうか」

私は持ってきていた花を差し出しました。仏花が良いだろうと思い、小菊の花束です。

従兄弟「ありがとうございます、あ、じゃあそこに差し込んで頂いて・・・」

従兄弟はそう言って、花入れを指差しました。花入れは仏壇の左右に置かれています。
・・・ん?この花入れの片方に突っ込んじゃっていいってことかな?
私は自分の持ってきた花束を見ました。花束と言えば聞こえがいいですが、これは一見、ただの新聞紙をクルクルと筒状に巻いたやつです。いつもは行かない実家近くの花屋で買ったら、小菊が痛まないように、花を全て覆い隠すように長く新聞紙を巻いてくれたので、外から見れば本当にただの新聞紙の筒です。
一方で花入れは細くて華奢で、中に活けられている花達は短く切られています。この花入れに長い新聞紙の束を突っ込んだら間違いなく倒れるでしょう。なにせ、新聞紙の身長のほうが花入れの身長の2倍くらいあるのです。
・・・新聞紙をバリバリ破いて入れればいいのかな?でも、長すぎる小菊が飛び出しちゃうのは同じことだよね。

伯母「いや、それは変でしょ」

従兄弟「あ、そうか」

伯母が従兄弟にツッコミました。
で、ですよね。いかにも仏壇って感じの厳格な花入れに、新聞紙をクルクル巻いた謎の物体がニョキーッ!!って突き出ていたら、一気にギャグっぽくなるもんね。雰囲気ブチ壊しだよ。
その様子が頭に浮かんで、私は少しクスっときました。

私(・・・あれ?こんな想像するとか、私、案外余裕あるのかな)

伯母「××さん、お花は後で私が備えさせて頂きますので、それまであちらでお水に付けさせてください」

私「お願いします」

マッチをすると、小さな火が燃え上がりました。それを蝋燭にうつします。提灯と蝋燭の両方で照らされた仏壇は明るくなりました。光に照らされた写真の中のお母さんは、10年以上前と全くかわらない、くったくのない笑顔を振りまいています。

私(お母さん・・・)

あれほど怖いと思っていたのに、いざ仏壇を前にすると、全く怖くありませんでした。お母さんの写真を見ても、懐かしいと思うことはあっても、怖い気持ちは全然わいてきませんでした。

私(こんなに簡単なことだったなら、もっと早く来れば良かったな・・・お母さん、ごめんね)



お茶を出されたので、私はお礼を言って湯呑を持ち上げました。緑茶の良い香りです。

私(高そうなお茶だなあ、あ、おいし・・・ぬるめだから玉露かな。だったら高級品だな。ごちです。ゆっくり味わっていこう)

どうでもいいことを考える余裕も出てきました。

従兄弟「父はまだ仕事でして。折角いらっしゃって頂いたのに申し訳ありません」

従兄弟が謝ってきたので、私は慌てて首を振りました。

私「とんでもないです。そのようにお気使い頂いて恐縮です」

記憶の中の従兄弟は、私より数才上とはいえまだ子供で、こんな風に機微を読み取れるような子じゃなかったのに。もうすっかり大人になった彼は、挨拶から社交辞令から気遣いまで一通りこなせる社会人になったんだ。年齢的には私より上だもんね。私の記憶の中の従兄弟はずっと子供のままだったけど。
従兄弟も伯母も、あの頃とは変わっている。きっと日々少しずつ変わっているんだ。でも、それは当然のことなんだろう。だって、私もあの頃とは変わったんだもんね。そうやって皆が少しずつ変わっていくから、あのときと今とでは私達の関係も違う形になったんだ。誰でも生きていればこうやって日々変わっていって、何かを学んだり、誤解したり、誤解が解けたり、色々あるんだね。だから、長い時間の中の、ほんの短い一瞬に感じた他人に対するわだかまりを、ずっと心の中で抱えて苦しむ必要なんて無かったのかも・・・

従兄弟「これをどうぞ」

従兄弟が何かを差し出してきました。

従兄弟「○○さん(私の母)の遺品です。こういった貴重品の類はこれしかありませんでした。祖母(私の母の母)が亡くなるまでずっと預かっていたものです」

見ると、ジュエリーの類を入れる紺色のビロードの箱です。

従兄弟「○○さんがあなたに残したものです。お会い出来たらお渡ししようと思っていたんです」

開けると、中には一粒の真珠のペンダントが入っていました。たしかに見覚えがあります。

私「でも、私は・・・」

私は辞退しようとしましたが、従兄弟は首を振りました。

従兄弟「遺書に、あなたに渡してほしいと書いてあったんです」

私「え?」

従兄弟「でも、まだ子供のあなたに渡したら□□さん(私の父)の手に渡ってしまうと言って祖母(私の母の母)が嫌がって、ずっと手放さなかったんです」

伯母「本当は義理母さん(私の母の母)のお葬式のときにお渡ししたかったんです。でも、お葬式の場ではうまく渡せなくて・・・それで今までずるずると。すみませんでした」

私(お母さんがこれを私に?遺言に書いてあったって?でもお母さんって、手帳に私への恨み言を書いたんじゃないの?)

私が箱を受け取ると、二人はほっとしたように笑みを浮かべました。

私「・・・あの、その遺書って、日記というか手帳ですよね。内容をご存じなのですか?」

従兄弟「はい、大まかには。僕は当時子供だったので読んでいませんが母は読んでいます。僕は母から内容を聞きました」

私「内容を教えて頂けませんでしょうか。父から一部分を聞いただけなので、詳細を知らないんです」

従兄弟と伯母は顔を見合わせました。

伯母「詳しい内容までは覚えていないんですけど、手帳には、□□さん(私の父)の浮気に対する恨み言と、あなたへの謝罪が書かれていました」

・・・え、どういうこと?父から聞いている話と、違うじゃん。

私「・・・手帳には、私への恨み言が書かれていたって、父から聞いたんですが」

伯母「ええ!?」

驚いた顔をした伯母は、首をひねりながら口を開きました。

伯母「□□さん(私の父)は、手帳を読んでないのでは・・・少なくとも、□□さんは手帳を手にとって読んではないですよ。浮気への恨み言とかが書いてあるあたりのページを、義理母さん(私の母の母)が□□さんに怒りながらチラッと見せたくらいです。××さん(私)への恨み言とかは・・・まあ、育児の悩みとかなら多少書いてあったかもしれないですね。でも普通の母親が書くような普通の内容ですよ。もしきつい内容なら覚えていると思いますから。だから、恨み言という感じのものではないと思いますけど・・・手帳を棺桶に入れずに残しておくべきでしたね・・・」


帰り道、暗い夜道を歩きながら、私はお母さんのことを思い出しました。

私が幼稚園のころまでは毎日楽しそうにしていたお母さんは、よく私に本を買ってくれたんだ。童話やお伽噺の薄い本を何冊もね。それで、寝る前に読んでくれたんだよ。だから私、童話やお伽噺には詳しいんだ。人魚姫もヘンゼルとグレーテルもラプンツェルも童話なら大抵知ってるよ。

私は昔からあまり眠らない子で、夜になってもなかなかベッドに入らなかったんだ。今にして思えば、それは私がショートスリーパーだからなんだけど、お母さんはきっと心配したんだろうね。私がベッドに入る時間になると、本を持って枕元に立って、こう私を呼んだの。

おいで、眠る前に、お話を聞かせてあげる!だからベッドに入ろうね!

私はすぐにベッドに入ったよ。お母さんの語るお話が大好きだったんだ。お母さんに読んでもらうと、同じ本を何度聞かせてもらってもワクワクした。そう、たしか私にはすごく好きな本があって・・・何の本だったんだろう、あんなに好きだったのに忘れちゃった。他の本なら覚えてるのにね。とにかくその好きな本を何度も何度も毎日のようにリクエストして読んでもらっていたら、お母さんはその本を暗記しちゃったんだ。本はボロくなった。さゆちゃんはこの話が好きなんだね、って言って笑ってたなあ・・・

私とお母さんはすごく仲が良いと思ってた。私がお母さんのことを好きなように、お母さんも私のことを好きに違いないと思ってた。だから、お母さんが離婚して私を置いて出ていってしまったとき、どうしてお父さんの元に私を置いていったのか、全然理解できなかった。きっと金銭的な理由だよね。でも当時はわからなくて、とっても寂しかった。お母さんは私を嫌いになったのかとも思った。

それで・・・本を読んでくれたあの優しいお母さんは、本当は私のことを嫌いだったんじゃないかって。本当は私のことが大嫌いなのに、一生懸命演技していたんじゃないかって・・・そう思って、怖くなったんだ。

暗い夜道を踏みしめながら歩いていると、毎日眠る前にお母さんと交わした会話がポロポロとこぼれるように思い出されてきました。本当はずっと覚えていたんだ。お母さんとの思い出は少ないから、忘れられなかったんだよ。

魔女はどうしてお菓子で家を作ったの?
子供達をつかまえるためのワナだったんじゃない?こわいね~!!

ランプツェルはどうして髪が長いの?
ランプ・・・ラプンツェルね。うん覚えなくていいよ!

私「たしか・・・『人魚の涙は真珠になるの?真珠って何?』・・・だったかなあ」

私は呟いてみました。私がそう尋ねたら、たしかお母さんはこんなことを言ったと思う。

『お母さんのネックレスについてる白い玉だよ。あれは偽物なんだけどね!でもかわいいから一番気に入ってるの!』

私は、さっきもらったペンダントの箱を開けてみました。偽物のくせにかわいい真珠がコロンと出てきました。

私(従兄弟がここ数年、命日が近づくたびに連絡をくれていたのは、これを渡したかったからなんだろうな。きっと、従兄弟も今まで気にしていたんだ。渡したい遺品があるって、電話でも言ってたもんね。私を憎んでたお母さんからの遺品なんて怖くて受け取りたくない、なんて思っててごめんなさい。ああ、引っ越したときに、従兄弟にも私の新住所を教えておけばよかった。そうしたら従兄弟はこれを郵送できて、早く楽になれたのに)

お母さんの手帳には私への恨み言が書かれているとばかり思ってたから、従兄弟達は私を責めているんじゃないかと不安に思ってた。でも、違ったんだ。むしろ、逆に従兄弟達のほうこそこのペンダントを所有していることで、お母さんや私に対して罪悪感を抱いて不安に思ってたのかも・・・



私「Dのおかげだね。10年以上悩んでいたことが、今日一日で解決しちゃった」

家に帰ってきてから、私は開口一番にそう言いました。

D「僕は君に進言しただけに過ぎないよ。今回のことは君が自分の力で解決したのさ。だから、自分に自信をお持ち」

Dはいつもの笑みを浮かべて、いつもの調子で言いました。

私「Dが一緒にいてくれたからだよ。ありがとうね」

今回のことは、本当にDのおかげです。実際に行動したのは物理的な体を持っている私だけど、Dの助けが無ければ私は動けなかったのです。

私「・・・そうだ、ちょっと前の夜に、きらきらした綺麗なモヤに出会ったことがあったでしょ?」

先々週の深夜、コンビニに出かけた帰り道で、私の前にきらきらした綺麗なモヤが現れて、それをDが倒してくれたということがあったんです。(詳細は過去記事「怪談」参照)あれの正体をDは教えてくれませんでしたが、あのときに予想した通り、きっとあれは私が無意識に作ってしまった、私のお母さんの姿をした攻撃者だったのです。

でもDは、あれは私が作ったものではなく関係の無い悪霊だと説明したのです。きっとDは、あれが私の作った偽物のお母さんだということを私が知ったら悲しむと思って、それで隠しているのだと思います。だからDに、もう隠さなくていいんだよって、気を使ってくれてありがとうって、お礼を言わなくちゃね。

Dは、そっと私の頬に手を当て、優しい声で言いました。

D「あんなもののことを考えるのはおやめ」

私「気を使ってくれなくても大丈夫だよ。あれは私が作ったものだったんでしょ?」

Dは首を横に振って、ことさら優しい声を出しました。

D「さゆ、あれは君の作ったものではないよ。君に近づいてきただけの関係の無い悪霊さ」

Dは、あのときと同じ説明をしました。
でも、私の目には幽霊やその他の精霊などは見えません。私には自分が作ったDしか見えないのです。だから、あのとき私の目に見えたあのモヤも、私が作ったものだと思うのです。普段は見えない幽霊などでも波長が合えば見えることがあるとDは言っていましたが、それでも私は、あれは自分の作ったものだという気がするのです。自分で作った気は全然しませんが、あの綺麗なモヤからはDと似たような空気を感じたのです。

私「あれの正体って、私が作ったタルパでしょ?」

Dは一瞬、口元から笑みを消しましたが、すぐに再び笑みを作り、甘い声で囁きました。

D「違うよ。あんなものを気に掛けるより、僕にかまっておくれ」

Dは持っていた大鎌を放し、両手で私の頬を包みました。そして、そのまま顔を寄せてきて、笑みを浮かべた唇の隙間からのぞかせた舌で、私の唇をゆっくりと舐め上げました。ぞくぞくっと気持ち良い感覚が背筋を上りました。

私「っ・・・」

D「さゆ、口を開けてごらん」

このままだと流される!その前に言わないと!私は早口で一気に喋りました。

私「あれってお母さんの偽物でしょ!?」

D「・・・え?」

Dは、あっけにとられたように小さく呟きました。口元の笑みも消えて唖然としているようです。そんなに驚かなくてもいいのに。あれがお母さんかもしれないってことを、私が全く予想していないとでも思ってたのかな。
ともかくDの口から解放された私は、話を続けることにしました。

私「あれは、お母さんへの恐怖心のせいで私が無意識に作ってしまったお母さんの偽物でしょ?そんな私のせいで、最初から危険な攻撃者として生まれてしまったかわいそうなモヤだったんでしょ?だからDが撃退してくれたんだよね。ありがとう。でも、もう隠さなくていいよ。私は大丈夫だから」

私の話を聞いているうちに、Dの笑みはだんだん深くなっていき、ついにはくすくすと笑い出しました。

D「・・・そうだよ。よくわかったね」

私「そんなに笑わなくても。一応、モヤに出会った日からなんとなく気付いてたんだよ?」

私(ていうか、Dこそ私が気付いていることに気付いてなかったよね!?さっきあんなに驚いて唖然としちゃってさ!!)

Dはうなずきましたが、まだくすくす笑っています。

D「そうだね。その通りだよ。あれは君が作った精霊だよ」

やっぱり。そうだよね。だってDと似たような空気を感じたから。

D「でも、君にとって害になる精霊さ。君が思いを寄せる価値など無いよ」

合理的な性格のDにとっては、攻撃者なんてそんなものかもしれないけど、その攻撃者を作ってしまった私としては複雑なんだ。だって、私には作った責任があるんだ。それに、たとえ私への攻撃者だとしても、私が作ったものだと思うと愛着があるんだよ。
・・・ごめんね、モヤ。そんな風に作ってしまって。また作ってあげられるとしたら、今度はちゃんと友好的な存在として作るからね。Dを作るときに相当大変だったから、簡単には作れないと思うけど・・・でも、なんであの日には作れちゃったんだろう?

Dは私の髪に手をのばし、そっと撫でました。

D「さゆは、僕のことが本当に好きで、信頼しているんだね」

改めて言われると恥ずかしいけど、勿論そうなのです。今まで沢山助けてもらったし、今回のことだってDが助けてくれなかったら克服できなかったよ。Dには本当に感謝しているのです。

私「うん」

私が素直にうなずくと、Dが口づけてきました。Dの好きな濡れたキスです。離れていく舌と舌の間に、唾液が糸を引いたのが見えました。

D「じゃあ、もう他の精霊など手懐けてはいけないよ」

Dは、自分の唇を舌で舐めながら言いました。その仕草を見た私は恥ずかしくなって、視線をそらしました。

私「Dは心配性だなあ。大丈夫だよ、もう攻撃者なんて作らないから」

D「・・・まあ、いいさ。また現れても消せばいいからね」

物騒だね!!でも、本当に心配いらないよ。だって、もうお母さんのこと怖くないんだよ。お母さんのこと好きになったんだ。感謝もしてるんだよ。そりゃ色々あったから、お母さんの全部が好きってわけじゃないけど、全部が好きだと思える人なんて存在しないもんね。好きなところも嫌いなところもあってこその好きだよ。

ごめんなさい。お母さん。ずっと誤解していて。

でも、今までの私にはあれが精一杯だったんだ。臆病な子供だったから自分を守ることに必死で、一生懸命頑張ってもそれだけで手いっぱいで、お母さんのことまで考える余裕が無かったんだ。それだけ悲しかったんだよ。でも、もう大丈夫なんだ。

それとD、今回の件は本当にありがとうね。Dは心配しているみたいだけど、もう絶対にお母さんの姿をした攻撃者なんて作らないよ。勿論、他のどんな姿をした攻撃者もね。でもね、D、心配してくれてありがとう。

コメント

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No title

長年悩んでいたことが解決して本当に良かったですね。
関係のない私が言うのもなんですが、本当に良かったです……!

Dさんは本当にさゆさんのことを大事に想っていますね。
さゆさんのために考えて行動してる様が読んでいて伝わってきて、さゆさんもDさんのことを信頼してるのが感じられて凄い、凄い心が穏やかになります……!
これからもお二人が仲良く暮らせるようひっそり祈っています!

ありがとうございます!!

クリアさん!!!!ありがとうございます!!

そうなんです、長年悩んでいたんです。ずっとお母さんと仲が良いと思っていたのに、置いて出て行かれて、しかも何も言わずに自殺とかされて、私って嫌われていたのかなー・・・ってションボリしていました。でも同時に、いや違うんじゃないかな!お母さんにもきっと事情があったんだよ!だって仲良かった思い出がメッチャあるじゃん!みたいな期待もずっとしてました。その両者の葛藤の状態で今までストップしてたんです。お母さんが私をどう思っていたのか、わからないのも怖かったのですが、確認するのも怖かったんです。それで、もう大変だから、忘れちゃえばいいじゃん。みたいな気持ちだったんです。
でも、いざ自分が病気になったら、今まで後回しにしてきたことが気になり始めまして。色々今まで後回しにしてきたこととか、お母さんのこととかを自分の中で解決するまで死にたくないな(解決しても死ぬのは嫌ですけど!)って思いました。それをDに話したことがあったので、それで協力してくれているのかなと思います。
私は事なかれ主義っていうか、後回しにして一時的に見ないふりをしたり、逃げたり忘れたりしてやりすごしたいほうなんですけど、Dはそこに容赦無く切り込んできます。でも、そういうところに本当に感謝してます。

私もクリアさんとAさんとBさんが幸せに暮らせるように祈っています!!ありがとうございました!!
プロフィール

laceformyshroud

Author:laceformyshroud
名前:さゆ
20代の女です。
初めて作るブログなので、不備がありましたら申し訳ございません。
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