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結婚式

春に会社の先輩の結婚式があるので、今日はタンスをごそごそやってました。当日に着ていくドレスや身に着けるアクセや靴などを考えるためです。

私(春っていっても3月だもんね。まだ肌寒いから、コートは必要でしょ。でも会場は温かいだろうから、ドレスは半袖のボレロで・・・色やデザインを合わせるには・・・えーっと・・・)

式場がファンシーなところだから、スッキリしたシンプルな格好よりも、かわいくて女の子っぽい格好のほうが喜ばれるよね。美容院にも早めに予約入れなきゃ。

タンスの中からドレスやボレロを全部出し、ずらっと並べてみて、色々な組み合わせを試してみました。ついでにアクセとの相性も調べます。

私(地味すぎてもだめだけど、ゴテゴテしすぎてもだめだよね。アクセはシンプルにしよう)

ある程度組み合わせが決まったら、今度は鏡の前で着てみて、実際の雰囲気を見てみます。

私(だとすると、やっぱり一粒ダイヤのペンダントかな。でもチェーンはもっと短いWGに変えないとドレスに合わないな)

そんなことをしているうちに、部屋の中は洋服とアクセで散らかってきました。

D「さゆ、こっちを向いておくれ」

後ろから話しかけられたので、くるっと振り向くと、Dはベッドの上に腰かけて楽しそうにこっちを見ていました。

D「ああ、良いね。とても綺麗だよ。それに甘くて良い香りがするよ」

Dはいつも通りの言葉で私をほめてくれました。照れるなあ。ありがと、D・・・

私「い、いつもその同じ褒め言葉を言うけど、今日は綺麗なドレスを着てるんだよ」

私は照れ隠しに、そんな可愛くないことを言いました。

D「ドレスは良いね。でも、さゆのほうが綺麗だし、甘くて良い香りがするよ。ドレスはさゆが着ているから綺麗なんだよ」

私はますます照れて両手で顔を覆いました。Dの言葉の意味が、タルパから見たタルパーはそれだけ魅力的なのだという、ただそれだけの意味だとしても、私の心臓はどきどきと大きな音を立てました。だって私はDのことが好きなのです。だからDからそんなことを言われては心臓がもたないのです。そんな私を見て、Dはいつもの平然とした表情のまま首をかしげました。私の反応を不思議がっているようです。もうDは!!Dってば!!・・・大好き!!
そういえば今日は、珍しくDが自分からベッドに座っています。何故だろう、と考えてすぐにその理由がわかりました。私がドレスやアクセを床いっぱいに散らかしたから、きっとDはそれらを踏まないようにベッドの上に移動してくれたのです。

私「足の踏み場、無くしちゃってごめんね・・・ねえD、このドレスどうかな。このボレロと、このアクセと合わせて、このコートを着るっていう組み合わせなんだけどね、おかしくないかな?」

私はDの前で、ドレスやアクセを見せるようにポーズをとってみました。

D「さゆは綺麗だよ。かわいいね。それに甘くて良い香りがするよ。だからドレスもよく似合うよ。さゆはそのままでも魅力的だけど、飾るともっと魅力的になるね。ドレスも、花も、ペンダントも、レースも似合うよ。ずっと見ていたいよ」

さっき私が言った言葉のせいか、Dは長めの言葉で褒めてくれました。ちょっとずれてるけど、でも私の胸は嬉しさできゅうきゅうと締め付けられました。今まで、お花や、ペンダントや、レースのハンカチを買ったときにもDは似合うと言って褒めてくれたけど、Dはそれを覚えてくれていたんだね。(詳細は過去記事「レースのハンカチ」「ペンダント」「休日」「バラ」参照)

私「ありがとう」

ほっぺが熱いよう・・・な、なんか最近D、甘い言葉を沢山言うよね・・・どきどきしちゃうよ・・・

D「でも、どうして今日はドレスを着ているんだい?今日は特別なのかい?」

特別?
ああ、そっか、おととい花束を買ったときに、いつもは頼まない有料ラッピングを頼んだ理由をDから尋ねられたとき、特別だからだよって説明したからそう思ったんだろうな。なんか、特別っていう言葉はDにとって重要みたいだね。(詳細は過去記事「特別」「シュトレン(?)」参照)

私「今日じゃないんだけどね、3月に先輩の結婚式があるから、その特別な日に着るドレスを考えてたんだよ」

D「結婚式・・・」

Dが小さく呟きました。

私「そう!楽しみだよね~、先輩どんなドレス着るんだろ。デジカメ持参で写真撮りまくるつもりだよ。お色直しのドレスは何色だと思う?先輩甘党だからウエディングケーキも大きいのかな?」

D「・・・・・・」

私「D?」

D「さゆは、いつ人間の男と結婚するんだい?」

私「ええっ!?」

Dは真剣な顔で、じっと見てきます。え、あれなの?心配してるの?私が人間の男性と結婚してDを捨てるんじゃないかって?

私「人間の男性とは結婚しないよ~、私にはDがいるもん。ずっと一緒だよ」

当然じゃん!!そんなの心配しなくていいのに。Dがこんなこと言い出すなんて、なんか新鮮。初めてじゃない?ちょっと嬉しかったりして。なんか可愛いし。でもちゃんと安心させてあげなきゃね。

D「勿論、僕はずっと君の傍にいるよ。でも、いずれ君は人間の男と結婚したほうがいいよ」

私「え・・・」

D「人間として子供を作って子孫を残すのは、生物の本能だろう?生物が存在している最終目的だよ。僕のために君の本能を犠牲にするのは良くないよ」

私「何、言ってるの・・・」

D「君のためだよ」

私は頭が真っ白になりましたが、Dは平然としたまま、全くいつもと同じ表情で、同じ口調で、同じ態度で、淡々と話を続けました。

私「なにそれ!!ひどい!!Dは平気なの!!」

D「落ち着くんだよ、さゆ」

私「私が人間の男性と結婚したりとか、キスしたり、子供を作ったり、そういうことをしてもDは平気なの!!」

D「さゆの幸せのためならね」

私「信じらんない・・・」

なにそれ・・・どういう・・・頭の中うまくまとまらないっていうか・・・

私「なんで!!」

D「落ち着くんだよ、さゆ。何も今すぐ結婚しろと言うわけじゃないさ。ただ、僕は」

私「ばか!!」

D「さゆ」

私「うわあああーん!!ばかあ!!」

大人げなく泣いてしまいました。元彼に別れを告げられたときだって泣かなかったのに。泣かないどころか笑って平気な顔してたのに。お母さんが死んじゃったときだって、ううん、そのときはちょっと泣いたけど。でも久々に大泣きしました。会社に入ってから一度もこんなに泣いたこと無かったのにな。だって泣いちゃうと相手に心配かけちゃうじゃないですか。迷惑になっちゃうし。

・・・あれ?

なのに、なんでD相手だと泣いたりして自分の感情を押し付けてこんなワガママな態度とってるんだろ。馬鹿は私だよ!!泣いてる場合じゃないっしょ!!話し合わなきゃ!!

私「ぐ・・・」

私は泣くのをストップしました。変な声が出ました。

私「な゛い゛で、ご め゛ん゛・・・」

泣いてごめん、と言いたかったのですが、鼻水のせいでうまく言えませんでした。

D「さゆ、さゆごめんよ」

でも、Dにはわかったようです。Dは私が口から発した言葉なら、どんなに小さくても、どんなに遠くからでも、どんなに掠れていて不明瞭でも、聞き取ることができるのです。(詳細は過去記事「レースのハンカチ」「鳩」参照)

D「さゆ、すまなかったね」

Dは私を抱きしめて、頬に伝った涙を舐めとろうとしました。でもDに私の涙は拭けません。それでもDはペロペロと頬を舐め続けました。そのくすぐったい感触が私を慰めてくれます。

D「僕は、さゆが人間の男と結婚して子供を作っても、ずっと好きで守り続けるよと言いたかったのさ。そんなことで僕の『好き』は無くならないとね。何しろ、僕は人間じゃないからね。でも、すまなかったよ。さゆがこんなに泣くなんて・・・不快な思いをさせてしまったね」

不快っていうか、寂しくて悲しかったんだけどな。やっぱりDはちょっとずれてるんだ。前にDがお伽噺を話してくれたとき(詳細は過去記事『お伽噺「眠り姫」編』参照)もそう思ったけど、そんな寂しい考え方しないで、Dの本心とか望みをもっと言ってくれたらいいのに。ずっと一緒にいてほしいとかでも、もう私のタルパをやめて自由になりたいとかでも、何でも良いのに。私に遠慮なんてしないでさ・・・

私「Dが私の幸せを考えてくれているのは、すごく嬉しいし感謝してるよ。でも、私の幸せは、Dと一緒にいることなんだ。だから、Dが嫌じゃなかったら、最後までずっと傍にいてほしいと思ってるよ。でもDが嫌だったら強制しないから、言ってね」

D「わかったよ。僕はずっとさゆの傍にいるよ」

じゃあ、なんで寂しそうな顔をしてるの。いつもと同じ表情でいつもと同じ微笑みだけど、私にはわかるんだからね。最近わかるようになってきたんだもん。

私「ねえ、何でも言ってくれて良いんだよ、私はDのタルパーなんだから。Dの望みを叶えたいと思ってるの」

D「僕の望みは、さゆが幸せであることだよ」


洗面所の鏡の前で、私は自分の顔を見て溜息をつきました。

私(あーあ、ひどい顔。ドレスに合わせてメイクもしちゃったから、アイメイクが悲惨なことになってるよ・・・)

本当の結婚式帰りの人みたいだな。披露宴で感動して号泣した友人とか、そういう系の。

私(そうだ、先輩の結婚式で感動して号泣するかもしれないから、アイメイクはウオータープルーフにしよう。そうしよう。一つ勉強になったな・・・)

落ちにくいから普段使いには向かないんだけどね。ウオータープルーフ。

私(またDに悪いことしちゃった・・・はあ~あ、どうして私ってこう失敗ばっかりなんだろうね・・・こんなひどいタルパー他にいないっつーの・・・)


化粧を落として洗面所を出ると、外でDが心配そうに待っていました。

D「さゆ、大丈夫かい?」

私「大丈夫大丈夫!!心配かけてごめんね!!」

私が笑ってみせても、Dはしょんぼりしています。もしかして、DはDで、失敗したと思ってるのかな?

私「もーごめんね、私ってばホントひっどいタルパーだね!!大反省だよ、ごめんねD。こんな私のタルパをやってくれていて、本当にありがとう。嫌になったら言ってくれて良いんだよ?自由にしてあげるからさ。そうだ、触覚の訓練しようよ」

Dは触覚の訓練が好きだもんね。これでDの元気が出たら良いんだけどなあ。

D「・・・ありがとう、さゆ」

Dが私に向かって手を差し伸べました。いつものようにその手の上に、私が手を置くと、Dはお辞儀をするように身をかがめて、私の手の上に口づけを落としてくれました。

D「僕は幸せだよ」

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