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誘惑

私が忙しいときのために、Dが退屈しないように趣味かペットをあげたほうがいいんじゃないかなーと思っていたので、Dに尋ねてみました。

私「ねえD、何か趣味を作ってみる?」

D「何故だい?」

Dはいつもの表情で、首をかしげました。

私「今回の年末年始みたいな、私が仕事で忙しいときは、Dは退屈でしょ?Dに何か趣味があれば退屈しないんじゃないかと思って」

Dは、首を横に振りました。

D「趣味は、いらないよ。さゆを見ているから退屈じゃないよ。僕はさゆを見るのが好きだからね」

うーん・・・

あとは、ペットか。でも、他の精霊は手懐けないでほしいってDが言ってたから、ペットの線は無しだろうな。でも、一応たずねてみよう。Dの機嫌を損ねないような感じで。

私「えっと、ペットは、いらないよね?他の精霊は手懐けちゃ駄目なんだもんね?」

D「勿論。そんなものに構う暇があったら、その間さゆを眺めていたいね」

やっぱりペットはいらないんだね。Dの機嫌を損ねる可能性があるから、もう今後は話題に出すのはやめよう。
でも、私を見ているのってそんなに楽しいのかなあ・・・

私「・・・私を見ているのって楽しいの?」

そりゃ、変な失敗とかするから、そういうのは見ていて面白いかもしれないけど・・・

D「楽しいよ。さゆは、ずっと見ていても飽きないよ」

・・・そう言えば、Dの『好き』には見ていたくなるっていう気持ちも含まれるんだったよね。(詳細は過去記事「特別」参照)だから私を見ているのが楽しいのかな。だとしたら嬉しいなあ。

私「・・・そうだ!!ダイブ世界っていうのを作ろうか。ダイブ世界にDの好きな空間とか部屋を作るんだよ。Dはお花が好きだから花園とか、本が好きだから図書館とか。そうすれば、Dが好きなときにダイブ世界に遊びに行けるよ!!」

これは良い案なんじゃない?だって、そうやって自分のタルパを遊ばせてあげているタルパーさんって多いもんね!!

D「僕は、さゆを一人ぼっちにはしないよ。だから、さゆの傍からは離れないよ」

私「あ」

そうだ、私は手術や死ぬときに一人ぼっちになるのが怖くてDを作ったんだった。きっと、そのことをDは気にしてるんだ。

私「まだしばらく私は元気だから、大丈夫だよ。Dだってタルパの仕事を忘れて遊びたくなるときがあるでしょ?」

仕事が好きな私でも、そういうときがあるもんね。

D「ないよ。それに、そういう世界なら、さゆが自分の力で作るよりも、僕が見せてあげたほうがいいよ。そのほうが早いし、さゆの負担が少ないからね。こうやって・・・」

ひらひらと、白い花びらが私の目の前に落ちてきました。それをはじめに、ひらひら、ふわふわと、沢山の色とりどりの花びらが降ってきました。とても綺麗です。見上げると、天井のかわりに青い空が広がっており、花びらは空から舞い落ちてきているようです。

D「足元もごらん」

その言葉に、空を見上げていた視線を落とすと、足元は花園のように薔薇の花でうもれています。部屋の壁には茨のつるが広がり、その枝にも沢山の薔薇が咲いています。見慣れた自分の部屋が、薔薇で囲まれた部屋になっています。

私「すごい・・・」

全てが透けているけど、全てにあざやかな色がついています。総天然色の夢、ってこんな感じなんだろうか・・・

私「綺麗・・・」

D「お気に召したようで嬉しいよ」

Dが、私のすぐ近くまで歩いてきました。Dの足元で踏まれた薔薇がカサリと小さな音を立ててへこみ、すぐに元気を取り戻します。

D「・・・ずっとここにいたいかい?僕と二人きりで」

Dの両手が、私の頬を包みました。

D「ここは、悲しいことも、痛いことも、怖いことも、そういった辛いことは何も無い世界だよ。ここにいれば、もう現実世界で頑張る必要も、現実と戦う必要も無い。ここは君の王国・・・僕の守る、静謐の楽園だよ」

私の頬から離れた両手は、私の背中にまわり、Dは両腕で私を抱きしめてくれました。

D「君がこの中にずっと閉じこもり、甘い夢を見て永遠に眠り続けたいと言うのなら、それも良いね・・・それならもう君に辛い思いをさせなくて済む。僕は最後のときまで、ただ甘い言葉を囁いて、君を良い気分にさせてあげられる。君に美しい物だけを見せて視界をふさぎ、君の喜ぶ言葉で耳をふさぎ、君の口を柔らかい唇でふさいで、君に永遠の幸せな夢を見させてあげるよ・・・どうだい?」

魅力的な誘いです。いつ死ぬかわからない不確定な現実で、どうせ生きるなら自分の好きなように、幸せに過ごしたいに決まっています。

D「僕と一緒に眠るかい?」

抱きしめられているので、Dの声が耳元で聞こえます。眠る前に夜伽話をするかのような、囁くような静かな声です。

D「添い寝をしてあげるよ。君が永遠の眠りにつくまで、ずっとね」

このお花で埋め尽くされた楽園で、Dに抱きしめられて眠れるなら、永遠の眠りについてもいいよね・・・それも幸せだもん。

D「あのお伽噺の続きを考えてみたよ。眠り姫と従僕は、一緒に幸せな眠りにつくのさ」(詳細は過去記事『お伽噺「眠り姫」編』参照)

そっか、それは幸せだろうね・・・でも、私は首を振りました。

私「まだ夢の世界で眠るわけにはいかないの。現実世界が私を待ってるんだよ」

Dはビクッと震えて、私から体を離し、よろよろと後ろに下がりました。

D「・・・やはりね。でも、それでこそさゆだよ。薔薇が好きなくせに茨の砦で囲もうとしても閉じ込められてくれない、眠りを拒む眠り姫・・・」

小さく呟いて、Dはその場でひざまずきました。

D「仰せの通りに、我が主」

一番最初に出会ったときのように、そして初めて名前をあげたときのように、Dはひざまずいたままで、そう言いました。

私「ごめんね、ごめんね!!でも、最後のときはDに全部あげるよ!!体はボロボロだろうから、精神でも、魂でも、命でも、何でもあげるよ!!Dの好きにしていいよ!!ベッドの上で、もう動けなくなったときは!!」

かわいそうになって、そう言いながらDに抱き付くと、Dは少し笑ったようでした。

D「さゆが謝る必要なんて全く無いよ。予想していたことさ。それに僕はもう充分好きにさせてもらっているよ、いつもね。君は僕に甘いからね」

静かに、Dがキスをくれました。

D「こうやって、主人の手足以外にも口づけをさせてもらっているし、畏れ多くも主人の寵愛を独占させてもらっているからね。これらは本来の立場上あり得ない『特別』だよ」

Dは『特別』が好きだね。
そう言えばDは以前、従僕が主人に口づけをすることが許されているのは手足、みたいなことを言ってたもんね。あのときもおかしいなって思ったけど、やっぱり唇へのキスは『差し出たまね』ってことになるんだね。(詳細は過去記事「こだわり」参照)

私「・・・さっきはああ言ったけど、でもね、現実だけじゃなくて、夢を見たくなることもあるんだ。また見せてくれる?Dの楽園を」

だって私は、夢を見れない体質だからね。人間には夢が必要でしょ?

D「勿論。それでこそさゆだよ」

Dは私の手を取り、繋ぎました。

D「いつでも君の王国を見せてあげるよ。ただし、ちゃんと目を覚ますことができるように、ひとときの夢としてね」

コメント

非公開コメント

な… なんて魅力的なお誘いなんだ!!!
私だったら二つ返事で 喜んで閉じ込められに行ってしまいますぞ

ビバ! ひきこもり
゚+.ヽ(*´ω`)ノ゚+.゚

「仰せの通りに、我が主」って言葉に キュンとしてしまいました
Dさん かっこいいっすねー
(*゚ω゚)ドキドキ

ありがとうございます!!

うわあああああーーーん!!セツナさん!!コメントありがとうございます!!
気分が落ちてたのでコメント嬉しいです~~~ 。・゚゚・(゚´Д`゚)・゚゚・。

正直、私もひきこもりたいです。1日に10回くらいは、ひきこもりたいなあって思います。
でもひきこもったらひきこもったで、今度は、外に遊びに行きたいなあってなりそうです。
どっちつかずのダメ人間です。どっちも中途半端っていう・・・ほげえええ・・・

Dをかっこいいと言って頂けるとは・・・!!ビックリしました!!ありがとうございます!!
見た目も言動も不気味だしよくわからない性格しているから、皆様からは気味悪がられているかと思っていたので、嬉しいです!!
ありがとうございましたーーー!!!!!
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laceformyshroud

Author:laceformyshroud
名前:さゆ
20代の女です。
初めて作るブログなので、不備がありましたら申し訳ございません。
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