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復活

昨日あれだけ落ち込んで、泣いてDに迷惑を掛けたというのに、今日お出かけをしたらすっかり元気になってしまいました。単純な性格です。

私はもともと、綺麗な場所や、かわいいお店や、華やかなところに出かけるのが好きなのです。いつもよりお洒落な服を着て、余所行きのバッグを持って、ジュエリーを光らせながら、ハイヒールをカツンカツンと高鳴らせて歩いたら、もう泣いてなどいられないのです。楽しまなきゃもったいない!!って。

とりあえず私は、まずはサンタ・マリア・ノヴェッラさんに行くことにしました。渋谷にある本店のほうがアパートから近いので普段はそちらしか行かないのですが、銀座店が移転オープンしたと聞いて、一度行ってみたいと思っていたのです。

私(えーっと、地図によればこの辺りなんだけど・・・?)

ところが、お店があると思われる道を歩いても、それらしき店が見当たりません。

私(・・・あれ?)

探しながら歩いているうちに、道が終わって交差点まで出てしまいました。見落としちゃったのかな。私は、同じ道をもう一度、逆方向に歩いてみることにしました。

私(やっぱり、無いよね・・・?)

さっきからずっと立っていたおじさんが、私のほうをチラ見しました。人通りが少ないので、きっと私がさっき通ったことを覚えていて(あの子、さっきも通ったよな?)とか思っているのでしょう。

私(また道の終わりまで来ちゃった!!うそー!!)

地図は間違いなくここで合ってるはずです。お店は一階に入っているはずです。ならば、見落とすなんて普通は無いのに。

私(仕方無い、もう一度逆方向に歩いてみよう)

私は、もう一度道を歩いてみることにしました。もうこの道を歩くのは今日で3回目です。さっきのおじさんが(また来た・・・!!)みたいな顔をして私のほうを見ました。(あの子、迷子になってるんだな・・・)とか思ってるのでしょう、ちょっと心配そうな顔でもあります。

D「さゆ、どうして店に入らないんだい?」

Dが話しかけてきました。

私「それが、入りたくても見つからないんだよね・・・」

私は小さく呟きました。自分にも聞こえないほど小さな、息だけのひそひそ声ですが、Dに伝えるには充分です。Dは、私が口から発した言葉なら、どんなに小さくても、どんなに遠くからでも、どんなに掠れていて不明瞭でも、聞き取ることができるのです。(詳細は過去記事「レースのハンカチ」「鳩」参照)

D「そこにあるよ?」

ずっと私の背後についてきていたDは、私の隣まで歩いてきて、すっと指さしました。

D「ほら、ごらん」

私「・・・ん?」

Dの指さす方向には、あのおじさんしかいません。どういうこと?

私「???」

私は、じーっとおじさんを見つめました。おじさんのほうも、いったい何事だろうかとこちらを見つめ返してきました。きっと今(俺に用?もしかして道を尋ねたい?)とか思われてるんだろうな。

私「あのおじさんに道を尋ねればいいってこと?」

Dはきょとんとして、それからくすくす笑いました。

D「違うよ。そこに店があるんだよ。ほら、よくごらん」

いや、店とか無いって・・・

・・・・・・

私(・・・あーーー!!あった!!)

ありました。おじさんのすぐ右隣に、人が一人通れそうなくらいの狭いガラスのドアがあり、見慣れたマークが描かれています。サンタ・マリア・ノヴェッラのトレードマークです。

私(あった!!あったけど、なんか・・・)

・・・すごく、小さい店になってない?

移転前の銀座店に来たことあるけど、もっとずっと大きかったよね?

とりあえず入ってみよう。
私がドアに近づくと、おじさんは(お前この店を探してたんか!!俺のすぐ隣にある店を!!つーか何度もこっち見てたのに、この店は目に入らなかったんか!?)みたいな顔をした後で、店のドアを見て(ああ・・・でもこの店、入り口わかりづらいかもな・・・)みたいな納得した顔をしていました。

※おじさんのセリフのアテレコは、全てブログ主の妄想で構成されています。

驚かせてごめんね、おじさん。勝手にアテレコしてごめんね、おじさん。

ドアを開いて中に入ると、店の中は、縦に長いつくりをしています。中もなかなかの狭さです。

私(記憶違いじゃないよね。以前の銀座店とは比べものにならないくらい、格段に狭くなってる)

サンタ・マリア・ノヴェッラの顧客は、18世紀のフィレンツェの伝統的な香りを愛する人達であり、こだわりの強いかたも多いです。中には、移転前の銀座店を愛していて銀座店が移転完了するまでの一年間くらい他店では買わなかった(移転前に買いだめした)というかたもいたそうです。そういう顧客達は、この新しい銀座店で満足できるのかなあ・・・

私(でも、広さがウリのブランドじゃないもんね。商品さえ良質なら、店の広さとか関係無いもん)

レモンハンドクリーム、買おうかなあ。ボディミルクはまだ残りがあるからいいよね。
ちょっと迷いましたが、結局何も買わずにお店を出てきました。



家に帰ってきた私は、お風呂場で足を洗ってから部屋に入りました。

これから、ベッドの上で足にボディミルクを塗ってマッサージをするのです。毎日ハイヒールを履いている身としては、こういったフットケアは重要です。

D「綺麗だね。それに、甘くて良い香りがするよ」

ボディミルクを足にのばしていく様子をじっと見ながら、Dが言いました。

私「・・・Dって、もしかして私の足が好き?」

なんか、ハイヒールを選ぶときも楽しそうに見てたよね。(詳細は過去記事「口付け」参照)

D「さゆの体はどこも好きだよ?」

Dは不思議そうに首をかしげました。
っていうかD、またそういう誤解されるような言い方して・・・

私「D、よく私の足にキスしてくれるじゃない?」

D「従僕が主人に口づけすることを許されている場所は、手足だけだからね」

そっか、確かに以前そう言ってたね。(詳細は過去記事「こだわり」参照)言われてみれば、手の甲や腕の内側は、手の甲にキスをするいつもの儀式(?)や就寝前の触覚の訓練で、ほぼ毎日キスされてるもんね。そう考えれば足は少ないほうかな。

でも、普通は足にキスとかしないでしょ?だから、なんか意識しちゃうんだよね。Dにそのつもりは無いってわかってるんだけど、どきっとしちゃうんだ。

・・・そ、そうだよ、どきっとしたと言えば、昨日もだよ。

私「ねえ、昨日・・・」

Dが私のほうを見て、首をかしげました。

私「私に、蹴っても良いって言ったでしょ」(詳細は過去記事「めそめそ」参照)

D「言ったよ」

Dは、こくりとうなずきました。

私「Dは少しも避けようとしてなかったけど、本当に私が蹴るかもしれないとは思わなかったの?」

私が足を振り上げても、Dは避けようとしなかったよ。

そりゃ、私がDを蹴るなんて絶対に無いと思う。だって私はDを蹴るくらいなら自分が蹴られたほうがマシだもん。でも、Dはそれをわかってたのかな。私はDを蹴ったりしないって、信頼してくれてたってことかな。その上で、私を冷静にさせるために言ったの?

D「蹴らないだろうと思っていたけど、蹴られても構わないと思って言ったんだよ」

私「え!?な、なんて無防備な・・・私より、よっぽどDのほうが心配だよ!!」

いつもDは私のことを心配だって言うけどさ、Dのほうが心配だよ。

D「心配しなくても、さゆに蹴られたくらいでは、どうともならないよ」

私「ええっ・・・、あの、怪我するかどうかじゃなくてね、普通、信頼している人から蹴られたら傷ついて絶望するでしょ?」

D「蹴ってさゆが元気になるなら、絶望しないよ?」

私「え、ええ・・・!?」

やっぱりDの思考回路は、人間とは違うんだ。
なんか自己犠牲的だよね・・・とにかくDの許す限りDに甘えていたら、Dが可哀想なことになっちゃいそうだよ。D本人は自分のことを可哀想とは思わないんだろうけど、私はすごく気になるよ。なんか、その調子でDが無理したりしてないか心配になるな・・・気を付けて見ていてあげなくちゃね。

私「大切にするね。Dのこと、すっごく大切にするよ」

私はDの手をぎゅっと握りました。

D「僕は、さゆを大切にするよ。とても大切にするよ」

Dは、私の手を握り返してきました。

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