パワーストーン
なんか昨日、上司がやたら私達部下のほうをチラチラ見てくるし、そわそわしてるなあと思ったら、連休中に上司の誕生日があったようです。今日、キャスター先輩から聞きました。知らなかった・・・!!チラチラそわそわしてたのは、お誕生日おめでとうございますって言われるの待ってたのかなあ。なんか申し訳無い気持ちになったので、今日帰り道にチーズを買っておきました。上司の好物です。明日『遅くなってすみません、お誕生日おめでとうございます』って言いながら渡してみようと思います。
以下は、連休中の話です。過去記事「香水」の同日で、午後の話です。Dには依代が無いので、いいのがあれば買いたいなと今までずっと思っていたのですが、タルパの依代にはパワーストーンが良いと聞いて(読んで)、今回初めてパワーストーンのお店に行ってみることにしました。
D「どうしても行きたいのかい?」
でも、Dは乗り気ではなさそうです。前に、Dの依代としてパワーストーンを買うことを提案したときも、Dは必要無いと言って断ってきました。
私(ええと・・・『一回、行ってみたかったんだ』っと)
D「さゆにも僕にも、必要の無いものだよ」
私(えと・・・『買わないにしても、見るだけならう』おっと、打ち間違えた。一文字消してと・・・『いいでしょ?』)
電車に揺られながら、私は携帯のメール画面にポチポチと文章を打ち込んでいます。Dと筆談をしているのです。Dは脳内会話ができないので、Dと会話をするには口頭での会話か筆談をする必要があるのです。
D「さゆが欲しいなら買ってもいいんだよ。でも、僕のために買うのはおよし」
あらら。Dは気を使ってくれているのかな。でも、なにかDにプレゼントしてみたいな。
私(あ!!・・・『もしかして、Dってパワーストーンが苦手だったりする?それなら行くのはやめて帰ろう』)
全然思いつかなかったけど、もしかしてDはパワーストーンが苦手だから必要無いって言ってるのかも。それだったら、お店に連れて行くなんてかわいそうだよね。
D「僕は、何も問題無いよ。君の職場の玄関も石だし、君と一緒にジュエラーに何度も行ったことがあるよ」
そっか。言われてみればそうだね。私の気に入っているダイヤのペンダント、似合うよって言いながら触ったこともあったよね。
それにしても、私がジュエラーをひやかして、店頭で鏡に向かってアクセを付けてみたりする様子ならDは楽しそうに見ているのに、今回は全然乗り気じゃないね。Dのために私が何か買うのは申し訳無いって思ってるのかなあ。
電車を降りて歩いていくと、お店はすぐに見つかりました。
私「こんにちはー」
お店の中は清潔な感じで、机の上にずらっとパワーストーンが並べられています。ペンダントやブレスレットになったものや、これからそうなるのであろうパーツらしきものや、トゲトゲと尖って自然の雰囲気を残しているものもあります。
私(色々あるなあ。でも、パワーストーンに関しては全くの素人だから、どういうものを選んだらいいのかよくわからないな)
一応、下調べしてから来たんだけど、本物はまた雰囲気が違うね。それに、同じものでも、色が一つずつ微妙に違うんだなあ。
私(Dのイメージ的に、紺色が似合うと思うんだよね。このお店の中では、このサファイアとかラピスラズリっていうパワーストーンの色が似合うと思うな)
サファイアっていうと、ジュエラーに置いてあるような、完全に透き通っていてカットされたものしか見たこと無かったから、こういうのは新鮮だなあ。ラピスラズリは夜空みたい。キラキラ金色の細かい粒が入っていて、星が光る夜空を切り取ったみたいだな。
店員さん「何か、お探しですか?」
優しそうな女性の店員さんが、話しかけてくれました。
私「気に入るのがあるかなーと思って、ちょっと見てたんです」
そう、Dの気に入るのがあればいいなって思ってるんだけど・・・
私がDのほうをチラっと見ると、Dは私のほうを振り返って微笑んでくれました。
店員さん「どういったものがお好きですか?」
Dは、どういうのが好きなんだろ?どうせならDの好みに合わせて買いたいよね。
もう一度私がちらっとDを見ると、Dは首を横に振りました。えっ、どういうこと!?
私「・・・ええと、私のじゃなくて彼にプレゼントしようかなって思ってまして・・・ちょっとメールして尋ねてみても良いですか?」
店員「はい、どうぞ」
私は携帯を取り出しました。Dと筆談するためです。店員さんは、私から少し離れた位置に移動して、パワーストーンのディスプレイを直し始めました。
私(ええと・・・『D、さっき首を振ったのは、どういう意味?パワーストーン好きじゃないの?』)
私の携帯をのぞきこんでメール画面を読んでくれたDは、傍にあった水晶に手をのばして、トンと人差指でつつきました。
D「君に、こういった類のものは必要無いよ。幸せも、意欲も、守護も、癒しも、君が欲しいというなら僕があげるよ。だから、君にとって無駄な買い物だよ。僕は石よりもずっと強い力を持っているし、動けない石にはできないことが沢山できるよ?」
前髪で目を隠し、片手に死神のような大鎌を光らせるという不審な姿をしておきながら、Dはかわいく首をかしげてみせました。
D「ね」
どうやら、Dは本当にパワーストーンを歓迎していないようです。Dの依代にと思って買うつもりだったから、Dが気に入らないなら買わないほうがいいよね、残念だけど・・・
私「す、すみません!!彼と連絡がつかなかったので出直します」
私は店員さんに謝って、お店を出ました。
私(なにかDにプレゼントしたかったんだけどな・・・依代のプレゼントなら、タルパの本能(?)で喜ぶかと思ったけど・・・そもそもDはタルパじゃないかもしれないし・・・失敗失敗)
Dの気に入るものとか、もらって喜ぶものを知りたいな。いくらDに尋ねても、僕の望みは君の幸せだよとか、僕が欲しいものは君だけさとか、そういう甘いことしか言わないんだもん。(詳細は過去記事「Dに感謝」「結婚式」参照)絶対、私に気を使ってるよね。もしかして、私の労力やお金をDのために使わせないようにしてるの?
私(私が自分のものを買うときは、嬉しそうに見てるのに・・・)
あー、何かDにプレゼントしたいな。
私(ええと・・・『Dにプレゼントしたいんだ。何が欲しい?物でも、どこかに行きたいとかでも、何でもいいよ』)
そこそこ電車が混んでいるので、Dには私の影の中に入ってもらっています。私は壁に背中を預けて、メールをポチポチ打ちました。
D「プレゼント・・・」
Dの呟く声が、すぐ近くから聞こえました。Dは影の中に入っているとき、床や壁にうつる私の影の中だけでなく、私の体にうつる私の影を移動して、そこから周囲を見ることもできるのです。今は、私の顔にうつった髪の影からメール画面を読んでいるようです。
D「僕の欲しいものは、さゆだよ。だから、既にもらっているよ」
私(いつもと同じだなあ。タルパの本能なのかな。いや、Dはタルパじゃない気がするから、Dの種族(種族とかあるのかな?)の本能なのかな・・・『私のこと以外で、何か無い?』)
D「無いよ」
無いの!?
D「・・・・・・」
ん!?なになに!?
Dが黙り込んだので、何か考えているのかと思って、私は黙ってDの言葉を待ちました。でもしばらくしてDが言ったのは、「さゆ、降りる駅についたよ」という言葉でした。
以下は、連休中の話です。過去記事「香水」の同日で、午後の話です。Dには依代が無いので、いいのがあれば買いたいなと今までずっと思っていたのですが、タルパの依代にはパワーストーンが良いと聞いて(読んで)、今回初めてパワーストーンのお店に行ってみることにしました。
D「どうしても行きたいのかい?」
でも、Dは乗り気ではなさそうです。前に、Dの依代としてパワーストーンを買うことを提案したときも、Dは必要無いと言って断ってきました。
私(ええと・・・『一回、行ってみたかったんだ』っと)
D「さゆにも僕にも、必要の無いものだよ」
私(えと・・・『買わないにしても、見るだけならう』おっと、打ち間違えた。一文字消してと・・・『いいでしょ?』)
電車に揺られながら、私は携帯のメール画面にポチポチと文章を打ち込んでいます。Dと筆談をしているのです。Dは脳内会話ができないので、Dと会話をするには口頭での会話か筆談をする必要があるのです。
D「さゆが欲しいなら買ってもいいんだよ。でも、僕のために買うのはおよし」
あらら。Dは気を使ってくれているのかな。でも、なにかDにプレゼントしてみたいな。
私(あ!!・・・『もしかして、Dってパワーストーンが苦手だったりする?それなら行くのはやめて帰ろう』)
全然思いつかなかったけど、もしかしてDはパワーストーンが苦手だから必要無いって言ってるのかも。それだったら、お店に連れて行くなんてかわいそうだよね。
D「僕は、何も問題無いよ。君の職場の玄関も石だし、君と一緒にジュエラーに何度も行ったことがあるよ」
そっか。言われてみればそうだね。私の気に入っているダイヤのペンダント、似合うよって言いながら触ったこともあったよね。
それにしても、私がジュエラーをひやかして、店頭で鏡に向かってアクセを付けてみたりする様子ならDは楽しそうに見ているのに、今回は全然乗り気じゃないね。Dのために私が何か買うのは申し訳無いって思ってるのかなあ。
電車を降りて歩いていくと、お店はすぐに見つかりました。
私「こんにちはー」
お店の中は清潔な感じで、机の上にずらっとパワーストーンが並べられています。ペンダントやブレスレットになったものや、これからそうなるのであろうパーツらしきものや、トゲトゲと尖って自然の雰囲気を残しているものもあります。
私(色々あるなあ。でも、パワーストーンに関しては全くの素人だから、どういうものを選んだらいいのかよくわからないな)
一応、下調べしてから来たんだけど、本物はまた雰囲気が違うね。それに、同じものでも、色が一つずつ微妙に違うんだなあ。
私(Dのイメージ的に、紺色が似合うと思うんだよね。このお店の中では、このサファイアとかラピスラズリっていうパワーストーンの色が似合うと思うな)
サファイアっていうと、ジュエラーに置いてあるような、完全に透き通っていてカットされたものしか見たこと無かったから、こういうのは新鮮だなあ。ラピスラズリは夜空みたい。キラキラ金色の細かい粒が入っていて、星が光る夜空を切り取ったみたいだな。
店員さん「何か、お探しですか?」
優しそうな女性の店員さんが、話しかけてくれました。
私「気に入るのがあるかなーと思って、ちょっと見てたんです」
そう、Dの気に入るのがあればいいなって思ってるんだけど・・・
私がDのほうをチラっと見ると、Dは私のほうを振り返って微笑んでくれました。
店員さん「どういったものがお好きですか?」
Dは、どういうのが好きなんだろ?どうせならDの好みに合わせて買いたいよね。
もう一度私がちらっとDを見ると、Dは首を横に振りました。えっ、どういうこと!?
私「・・・ええと、私のじゃなくて彼にプレゼントしようかなって思ってまして・・・ちょっとメールして尋ねてみても良いですか?」
店員「はい、どうぞ」
私は携帯を取り出しました。Dと筆談するためです。店員さんは、私から少し離れた位置に移動して、パワーストーンのディスプレイを直し始めました。
私(ええと・・・『D、さっき首を振ったのは、どういう意味?パワーストーン好きじゃないの?』)
私の携帯をのぞきこんでメール画面を読んでくれたDは、傍にあった水晶に手をのばして、トンと人差指でつつきました。
D「君に、こういった類のものは必要無いよ。幸せも、意欲も、守護も、癒しも、君が欲しいというなら僕があげるよ。だから、君にとって無駄な買い物だよ。僕は石よりもずっと強い力を持っているし、動けない石にはできないことが沢山できるよ?」
前髪で目を隠し、片手に死神のような大鎌を光らせるという不審な姿をしておきながら、Dはかわいく首をかしげてみせました。
D「ね」
どうやら、Dは本当にパワーストーンを歓迎していないようです。Dの依代にと思って買うつもりだったから、Dが気に入らないなら買わないほうがいいよね、残念だけど・・・
私「す、すみません!!彼と連絡がつかなかったので出直します」
私は店員さんに謝って、お店を出ました。
私(なにかDにプレゼントしたかったんだけどな・・・依代のプレゼントなら、タルパの本能(?)で喜ぶかと思ったけど・・・そもそもDはタルパじゃないかもしれないし・・・失敗失敗)
Dの気に入るものとか、もらって喜ぶものを知りたいな。いくらDに尋ねても、僕の望みは君の幸せだよとか、僕が欲しいものは君だけさとか、そういう甘いことしか言わないんだもん。(詳細は過去記事「Dに感謝」「結婚式」参照)絶対、私に気を使ってるよね。もしかして、私の労力やお金をDのために使わせないようにしてるの?
私(私が自分のものを買うときは、嬉しそうに見てるのに・・・)
あー、何かDにプレゼントしたいな。
私(ええと・・・『Dにプレゼントしたいんだ。何が欲しい?物でも、どこかに行きたいとかでも、何でもいいよ』)
そこそこ電車が混んでいるので、Dには私の影の中に入ってもらっています。私は壁に背中を預けて、メールをポチポチ打ちました。
D「プレゼント・・・」
Dの呟く声が、すぐ近くから聞こえました。Dは影の中に入っているとき、床や壁にうつる私の影の中だけでなく、私の体にうつる私の影を移動して、そこから周囲を見ることもできるのです。今は、私の顔にうつった髪の影からメール画面を読んでいるようです。
D「僕の欲しいものは、さゆだよ。だから、既にもらっているよ」
私(いつもと同じだなあ。タルパの本能なのかな。いや、Dはタルパじゃない気がするから、Dの種族(種族とかあるのかな?)の本能なのかな・・・『私のこと以外で、何か無い?』)
D「無いよ」
無いの!?
D「・・・・・・」
ん!?なになに!?
Dが黙り込んだので、何か考えているのかと思って、私は黙ってDの言葉を待ちました。でもしばらくしてDが言ったのは、「さゆ、降りる駅についたよ」という言葉でした。