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暴走(私の)

23日の話です。私の大好きな職場は、私が最も失敗している場所でもあります。そして、今回も大変な失敗をしてしまったのです。

連休明けに自分の病気を職場に伝えてから、私は変に気を張っていました。病気だから仕事の能率が下がった、と思われたくなかったからです。そんな風に思われたら、新しい人材と交代させられるのではないかと思って、怖くて怖くて。

職場を追われるのではないかという不安は、過去記事「めそめそ」にも書いた通りなのですが、この不安については頻繁にDから指摘されていたことでした。

D「不安に思っていることや、自分の心情を、そのまま会社の皆に伝えるといいよ」

私「できるわけないでしょ。ビジネスだもん。私的な不安をぶつけていいところじゃないの。前にDに指摘されたとき(詳細は過去記事「命日」参照)とは違って、私は不安から逃げてるわけじゃなくて、ちゃんと不安と向かい合って戦ってるもん」

D「そのことは、わかっているよ。しかし、今回の問題は、前回とはまた少し違う種類のものだよ。君の心の中だけで整理を付ければ良いだけの問題ではなく、会社の皆と折り合いを付けるべき問題なのさ」

私「それはわかってるの。でも、会社のみんなと折り合いを付ける上で、私の心情を話すなんて、逆に迷惑になるのよ」

度重なるDからの忠告に、私は首を振り続けていました。だって会社から求められるのは実力と結果です。職場の人達とはビジネスライクな戦友だからこそ、お互いの人柄や力を信用し合えて、重要な仕事も共有して任せ合えるし、仕事や人間関係が円滑に進んでいるのです。仕事に対しては常にシビアに考えなくてはいけない。そのためには、甘えや怠惰は禁物です。特に、自分の仕事に対する無責任と、誰かに頼って寄りかかることと、人任せはいけない。それは、ビジネスにおいて最も信用を失う行為です。
自分の仕事に責任を持って、自らの力を遺憾なく発揮し邁進する。それが職場における私の義務であり、私はそれを気に入っているのです。



上司「・・・というわけだから、できれば早めに仕上げてくれ」

私「わかりました」

早めに、か。それなら今日は残業して、持ち出せない部分だけ社内で片付けて、それ以外は家でやれば明日までには仕上がるよね。

私「では、明日出します」

上司「ええ!?いや、別にそこまで急がなくていいよ。てか、できるの?」

私「はい。私は、睡眠時間が短くても平気な体質なので。自宅に持ち帰れば可能です」

上司は眉間にしわを寄せて、う~ん・・・と唸ってから、私をじっと見て言いました。

上司「あ~、早さも必要だけど、正確さが重要なのもわかってるだろ?無理に短時間でやると間違えやすいから、今回はさあ」

私「私が更正確認しないまま提出したことがありましたか?」

ピリッと、空気が張り詰めました。

Y「・・・急ぎのものでしたら、僕が手伝いましょうか?」

後ろから、Y先輩が声をかけてくれました。

私「ありがとうございます。ですが、平気です」

上司「さゆ、俺は別に、お前の仕事の正確さを疑ったわけじゃないぞ」

私「はい。失礼な発言をして申し訳ありませんでした」

上司に頭を下げてデスクに戻る私に、上司もY先輩も何か言いたそうにしていました。



その後、別の部署から私のところに来る必要品が遅れるという連絡がありました。それはさっき上司から指示された仕事とは別件で使うものなのですが、遅れが発生すると私のほうに手間が発生することになるものなのです。

私「ごめんS、私のほうが遅れるから、少し待っててくれる?」

私のその仕事とSの仕事は同時進行で行うものなので、私のほうが遅延するとSも待たなくてはいけなくなります。

S「大丈夫ですよ、僕がやっておきますから」

別の部署で遅れが発生したことで私に発生した手間を、Sが片付けてくれると言うのです。

S「さゆ先輩、さっき上司さんから任されていた仕事もあるじゃないですか。そっちのほうが急ぎなんですよね?僕がこれをやっている間、その仕事をほうをやって頂いて大丈夫ですよ。残業になっちゃうと大変じゃないですか」

Sは笑ってそう言ってくれましたが、私は首を振りました。

私「Sにやらせるなんて出来ないよ。これは私の仕事だから。Sだって自分の仕事があるじゃない」

S「別に、お互い様ですし。いつも皆さんそうしてるじゃないですか」

私「いや、私が一人でやるよ」

S「こういうときくらい、周囲に頼ってくださっても」

私「こういうときって・・・私が病気だからって、そのせいで仕事を人に頼るとかしたくないのよ」

S「あ、いえ、病気のときって意味じゃなくて、忙しいときっていう意味です」

私「あっ、そっか、ごめん。でも、今は仕事のことで誰にも甘えたくないの」

病気だからこそ仕事はキチッとやりたいんだ。病気に甘えたくないわけよ。私は病気と戦うつもりだからさ。

ていうか、病気だからこそ、誰かに甘えるとか、誰かに頼るとかできないわけよ。それに私、人から甘えられたり頼られたりするのは好きだけど、自分が人に甘えて頼るのは気持ち悪いの。何故かって、そんなことしたらここまで生きてこれなかったからよ。お父さんの浮気でお母さんが自殺してから、すぐお父さんが再婚して、それから誰も頼る相手なんていなかった。その中で一人っきりでやってきたの。こつこつアルバイトしながら睡眠時間削って一生懸命勉強してさ。正直、ショートスリーパーじゃなかったら人生詰んでた。

今の仕事に就くまで苦しかった。お金も無かった。まあ、なんでそんなにお金が無かったかって、自業自得なんだけどね。私がお父さんのもとを飛び出して、金も叩き返したからなのよ。ネクタイ引っ張って頭下げさせて、その上に金をバラまいてやったんだ。浮気した加害者のくせに、妻に自殺された被害者気取りのオボッチャマが、自分の親から渡された金をそのまま渡してきた紙キレなんて、いくら生活に苦しくても受け取るもんかと思った。もはや私のプライドに関わる問題だった。あんな馬鹿馬鹿しい甘えんボッチャマの飼い犬になるくらいなら、野良犬として自分で戦って餌を取るほうが、その結果戦って死のうが飢え死にしようがまだマシだと思った。

世界で、私が嫌っている人間はお父さんだけ。何故って、お父さんに対する強い嫌悪感に比べれば、それ以上の嫌悪感なんて無いからよ。

私「平気。このくらい、一人で出来るよ」

病気になって仕事ができなくなった、なんて評価されたら、この職場を追われちゃうもん。それだけはやだ。仕事できるところを見せなきゃ。病気のせいで仕事できないなんて思われて、職場を追われることが、私にとってはすごく・・・一番怖いの。大好きな職場なんだもん・・・

S「・・・一人で、一人でって、僕達の仕事は一人で出来る類のものだと思ってるんですか?先輩は、自分の仕事を自分一人の力だけでやってきたと思ってるんですか?」

いつもふわふわした表情と声のSが、突然、大きな声でハッキリと言いました。

S「一人で完結できる類の仕事じゃないから、周囲を見て動けって、周囲と協力し合えって、それは自分のためじゃなく全体のためだって、以前そうおっしゃってましたよね」

それまで会話をしていたKと他部署の人も話すのをやめて、驚いたようにこっちを見ています。

S「先輩がどんな病気になっても、僕は態度を変えるつもりはありませんけど、先輩がそういう考え方になるなら、僕は考えさせてもらいます。病気になっても、病気になる前と同じように仕事を続けたいと思われていらっしゃるなら、是非先輩には病気になる前と同じ考え方で働いて頂きたいです」

周囲は、水をうったように静まりかえりました。

私「・・・ごめんなさい。私が間違ってたよ。教えてくれてありがとう」

一人でピリピリして、一人で勝手に不安になって、自分一人で仕事してるような気になって、周囲に迷惑をかけて・・・なんて傲慢な。

私「病気のせいで仕事できないなんて思われたら、ここにいられなくなると思ったら怖くて、それで自分勝手に一人で突っ走ってたの」

Sの手が緊張でふるふる震えていたので、その手を私の両手でぎゅっと握ってみました。

私「そのことに、自分では気付けなかったの。教えてくれて、本当にありがとう」

S「いえ、すみませんでした」

Sは、ぎこちなく苦笑いをしました。

S「・・・緊張しました。先輩にこんな偉そうなこと言うの初めてなので」

そうだよね、そうだよn・・・ん・・・?

・・・先輩にこんな偉そうなこと言うの初めてなので?

『うわあ・・・先輩って変な人ですね・・・』(詳細は過去記事「職場」参照)
『あれ?上司さん、ちょっと髪が薄くなりました?』(詳細は過去記事「職場」参照)
『ここって、本当にインド人がやってるインド料理店なんでしょうかね?』(詳細は過去記事「クリスマス」参照)

私の頭の中に、今までSが発言してきた数々の勇気ある言葉が浮かんできました。なんか・・・結構・・・言ってるんじゃないかな?今までブログに書いてきた内容だけでも、これだけ言ってるし・・・・

私「や、うん、とにかく、本当にありがとう」

S「いえ、失礼なことを言って申し訳ありませんでした」

私「とんでもない、助かったよ~。お陰でもう大丈夫・・・って、不安材料が一つだけ残るんだけど・・・」

S「何ですか?」

私「あの・・・さっき私がSの手を握ったのって、セクハラになっちゃう!?S、私を訴える!?」

私が挙動不審な動きをしながら言うと、Sはぽかんとした顔になりました。

S「・・・は?」

私「訴えないでください!!お願いします!!」

ぽかんとしたSと、手を合わせて頭を深々と下げた私に向かって、笑い声と拍手が起きました。
Sが私を訴えることはないだろうし、私もそれをわかっています。でもほら、ピリッと緊張させちゃった職場の空気を和ませたほうがいいかなって思って・・・
周囲からの拍手と笑い声を聞いたSは、そのことを察してくれたらしく、さあーどうしましょうかねえ?とノッてくれました。

やっぱり、みんなに気を遣わせてたんだろうな。私が病気だからじゃなくて、私が自分の病気にコンプレックスを抱いて、勝手に過剰反応してピリピリしていたせいで。

私(あわわ、思い出すと冷や汗が・・・本当にごめんなさい!!)

私は心の中で皆に向かって、米つきバッタのようにすごい勢いで何度も土下座しました。

私、連休明けから、上司に自分の病気のこと話してから、ずっと仕事に余裕無かったんだ。一人でやらなきゃってピリピリしてたの。職場を追われないためには、誰にも頼らないで仕事できるところを見せなきゃって。でも、私はいつだって一人で仕事していたわけじゃないのにね。こういうときこそ、周囲との調和を大切にして、周囲に感謝しながら仕事しなきゃね。

それにね、さっきは一人で生きてきたなんて偉そうなこと言ったけど、助けてくれた人もいっぱいいたんだよ。学校の先生とか、友達とか、お父さんのお姉さんとかさ。私が自分のことを一人ぼっちだと思っていたあの頃から既にもう、私は一人で生きてきたわけじゃないのにね。



上司「さゆ、晩飯おごってやるよ」

私「ありがとうございます!!」

K「焼肉が良いです」

S「僕は何でも」

Y「あなたがたは・・・今回は××さん(私の苗字)に店を選ばせてあげるべきでは?」

えっ、良いんですか?わあー、嬉しいな。

私「じゃあ、お蕎麦屋さんがいいです」

で、そのお蕎麦屋さんで竜田揚げを頼んだ際に、Sとレモンの奪い合いになったわけです。(詳細は過去記事「申し訳ございません!!」参照)

私「さっきすごく良いこと言ってたくせに!!今はレモンを独り占めするなんて!!」

S「先輩かけすぎなんですよ。さっきも言った通り、周囲の迷惑を考えてください」

Y「もう一つレモン頼んどきますから、喧嘩しないように」

呆れたように言いながら、Y先輩がレモンを頼んでくれました。良い人です、今回の件では、かなりフォローしてくれました。なのに23日の記事にY先輩のことだけ全く書いてないっていう・・・今回影が薄かったKのことすら書いてあるのに。なんでだ、私・・・!!

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