目
Dには目がありません。だからDは、前髪で目を隠してくれているのです。そのさらさらの前髪の上から、おでこにキスをしてみました。
D「!」
Dは嬉しそうに、にーっと口元を上げました。
・・・かわいい!!
私以外の人から見たら、きっと不気味にしか見えないんだろうなあ。だって、前髪で目を隠して、大鎌を片手に持って、死神みたいな服を着て、無言で笑っている姿だもんね。
でも、私にとっては、すごくかわいいのです。大好き!!
私「そろそろ、Dに目を作ってあげたいな」
D「やめたほうがいいよ」
いつも通りの落ち着いた声で、Dが言いました。
私「なんで?」
Dは黙って口元の笑みを深くしました。
私「この前、Dの新しい服も作ることができたから、もう目だって上手にイメージして作ってあげられると思うんだ」
D「作れるだろうね」
Dがうなずきました。
私「今までDの目が安定しなかったのは、私がDのことを好きにならないように、目を作ることを無意識に拒んでいたからっていう理由もあったんでしょ?(詳細は過去記事「恋愛」参照)でもね、もう私はDを好きになるって決めたんだ。だからもう目を作っても平気なんだよ」
D「だからだよ」
私「?」
どういうことだろ・・・もしかしてあれなの?Dなりの冗談なの?これ以上僕のことを好きになってしまったら困ってしまうだろう?みたいな冗談なの?って、そんなわけないよね。Dの性格からしてさ。
Dはいつもの笑みを口元に浮かべたまま、黙って私の髪を撫でています。
私「・・・試しに、作ってみてもいいでしょ?」
Dの口元の笑みが深くなりました。どうやら、嫌がっているわけではなさそうです。
私「じゃあ、今からちょっとやってみるよ?」
ずっと昔、最初にDの顔を作ろうと思ったとき、私は目から作り始めようとしたのです。でも目はうまくいきませんでした。(詳細は過去記事「タルパを作ったときの話3(顔)」参照)今に至るまで、何度か目を作ろうとイメージしてみたのですが、できたと思ってDの前髪を上げてみると、それは人形のガラスの目のように動かない目で、人間のように動く生きた目は作れなかったのです。
私(でも・・・前髪の隙間からチラッと目が見えたことはあるんだよね)
目のことを何も意識していないのに、全然関係ないときに、たとえばキスをしているときなどに、前髪の隙間から青い目が見えたことがあるのです。すぐに前髪で隠れちゃったけど・・・
私「今までに何回か、Dの目を見たことがあるの。青い色をしているんだよね?」
D「見間違いだよ」
そうなのかなあ。でも、実際にDの目を見たと思ったとき、Dに尋ねたら見間違いだって言ってたよね。
私「まあ、とりあえず、やってみるね」
えっと・・・色は青で・・・形は今までDの目を作ろうとしたときに想像していたモデルさんの目で・・・
きちんとイメージできたと思ったので、私は手をのばして、そっとDの前髪を左右にわけてみました。そこには、人間そっくりのまぶたを閉じた目がありました。よし、ちゃんとできてる。でもいつもここまではできるんだ。
私「D、目を開けてみて」
Dが、くすっと笑った息をこぼしました。Dの髪の色と同じブラウンのまつげがゆっくりと動き、目が開かれました。
私「・・・あ」
間違いなく、生きた人間の目です。すごく綺麗な青い目です。私のイメージ以上です。人間そっくりのまぶたがまばたきをし、それに合わせてまつげも一緒に動きました。空よりも海よりもガラスよりも綺麗な青い目が、微笑の形に細められました。
私「・・・すごく綺麗だね」
Dは、くすくすと笑いながら私の背に両腕を回し、私の体を、そっと自分のほうに引き寄せました。Dの前髪をわけていた私の指が離れると、さらさらの前髪は少しのクセも残さずに、元通りにDの目を隠してしまいました。
私「あっ、もっと見せてよ」
D「これ以上は、いけないよ。おしまいだよ」
私「せっかく綺麗なのに、もう終わりなの?もっと見たかったな」
D「・・・まったく、僕のお姫様は危なっかしくていけないね」
くすくす笑いながら、Dは私をベッドの上に引っ張り上げようとしました。私がおとなしくベッドに上がると、Dはまだくすくす笑いながら抱きしめてくれました。
D「でも、安心おし。危険なことにならないように、僕が気を付けてあげるからね」
私「危険なの?幻視を見すぎると脳に良くないっていうこと?」
Dの目をみることって、幻視の力を大きく消費することなのかな。見すぎると疲れちゃうとか?
D「違うよ。でも、似たようなものさ。君はまだ知らなくていいよ。勿論、君の幻視に関しても引き続き僕が調整してあげるから、心配しなくていいよ」
私「ありがとう」
私が余計な幻視や幻聴を体験しないように、私の幻覚はDが管理してくれているのです。(詳細は過去記事「幻視・幻聴の制御」参照)もしかして、今までDの目が作れなかったのは、Dが私の幻視を調整して、目を作れないようにしていたのかな。
D「お礼を言うようなことではないよ。それに、従僕とは眠り姫を守るものだからね」
ちゅ、と可愛いキスをおでこにくれてから、Dは可愛く首をかしげました。
D「でも、ご褒美はおくれ。キスがいいね。ほら、口を開けてごらん」
私「ご」
D「開けたね」
うわあああ!!こ・・・これ・・・きもちい・・・う・・・わ・・・
D「続きは、眠りにつく前の、触覚の訓練のときにしようね」
唇を離したDは、全くいつも通りの表情と口調です。私は息を切らしているのに!!
D「待ち遠しいね。早急に仕事を片付けて、少しでも早くベッドにお入り」
私「ブ、ブログを書いて、タルパブログめぐりもしてから・・・」
・・・っていう内容の記事を、ここまで書いている間も、Dはずっとベッドに腰掛けて、私を待っているようです。ここ数日、あまりキスとかしてなかったから大丈夫かなあ。敏感になりすぎてないかな。今日は、ちゃんと調整してもらわないと心配です。どうも普通の触感とは違って、Dとの触感は常に一定なわけではないので(毎日長時間接触していれば一定に近づくのかもしれないですが)、毎回最初にDが私の触感の感度を調整してくれる(或いは、どのくらいの出力で快感を送ればいいのか計測している?)のです。調整といえば、そろそろ車の十二ヶ月点検が近づいてきました。期限が近づいてきたといえば、不動産の確定申告も・・・
D「早くおいで」
ま、待って・・・!!
D「!」
Dは嬉しそうに、にーっと口元を上げました。
・・・かわいい!!
私以外の人から見たら、きっと不気味にしか見えないんだろうなあ。だって、前髪で目を隠して、大鎌を片手に持って、死神みたいな服を着て、無言で笑っている姿だもんね。
でも、私にとっては、すごくかわいいのです。大好き!!
私「そろそろ、Dに目を作ってあげたいな」
D「やめたほうがいいよ」
いつも通りの落ち着いた声で、Dが言いました。
私「なんで?」
Dは黙って口元の笑みを深くしました。
私「この前、Dの新しい服も作ることができたから、もう目だって上手にイメージして作ってあげられると思うんだ」
D「作れるだろうね」
Dがうなずきました。
私「今までDの目が安定しなかったのは、私がDのことを好きにならないように、目を作ることを無意識に拒んでいたからっていう理由もあったんでしょ?(詳細は過去記事「恋愛」参照)でもね、もう私はDを好きになるって決めたんだ。だからもう目を作っても平気なんだよ」
D「だからだよ」
私「?」
どういうことだろ・・・もしかしてあれなの?Dなりの冗談なの?これ以上僕のことを好きになってしまったら困ってしまうだろう?みたいな冗談なの?って、そんなわけないよね。Dの性格からしてさ。
Dはいつもの笑みを口元に浮かべたまま、黙って私の髪を撫でています。
私「・・・試しに、作ってみてもいいでしょ?」
Dの口元の笑みが深くなりました。どうやら、嫌がっているわけではなさそうです。
私「じゃあ、今からちょっとやってみるよ?」
ずっと昔、最初にDの顔を作ろうと思ったとき、私は目から作り始めようとしたのです。でも目はうまくいきませんでした。(詳細は過去記事「タルパを作ったときの話3(顔)」参照)今に至るまで、何度か目を作ろうとイメージしてみたのですが、できたと思ってDの前髪を上げてみると、それは人形のガラスの目のように動かない目で、人間のように動く生きた目は作れなかったのです。
私(でも・・・前髪の隙間からチラッと目が見えたことはあるんだよね)
目のことを何も意識していないのに、全然関係ないときに、たとえばキスをしているときなどに、前髪の隙間から青い目が見えたことがあるのです。すぐに前髪で隠れちゃったけど・・・
私「今までに何回か、Dの目を見たことがあるの。青い色をしているんだよね?」
D「見間違いだよ」
そうなのかなあ。でも、実際にDの目を見たと思ったとき、Dに尋ねたら見間違いだって言ってたよね。
私「まあ、とりあえず、やってみるね」
えっと・・・色は青で・・・形は今までDの目を作ろうとしたときに想像していたモデルさんの目で・・・
きちんとイメージできたと思ったので、私は手をのばして、そっとDの前髪を左右にわけてみました。そこには、人間そっくりのまぶたを閉じた目がありました。よし、ちゃんとできてる。でもいつもここまではできるんだ。
私「D、目を開けてみて」
Dが、くすっと笑った息をこぼしました。Dの髪の色と同じブラウンのまつげがゆっくりと動き、目が開かれました。
私「・・・あ」
間違いなく、生きた人間の目です。すごく綺麗な青い目です。私のイメージ以上です。人間そっくりのまぶたがまばたきをし、それに合わせてまつげも一緒に動きました。空よりも海よりもガラスよりも綺麗な青い目が、微笑の形に細められました。
私「・・・すごく綺麗だね」
Dは、くすくすと笑いながら私の背に両腕を回し、私の体を、そっと自分のほうに引き寄せました。Dの前髪をわけていた私の指が離れると、さらさらの前髪は少しのクセも残さずに、元通りにDの目を隠してしまいました。
私「あっ、もっと見せてよ」
D「これ以上は、いけないよ。おしまいだよ」
私「せっかく綺麗なのに、もう終わりなの?もっと見たかったな」
D「・・・まったく、僕のお姫様は危なっかしくていけないね」
くすくす笑いながら、Dは私をベッドの上に引っ張り上げようとしました。私がおとなしくベッドに上がると、Dはまだくすくす笑いながら抱きしめてくれました。
D「でも、安心おし。危険なことにならないように、僕が気を付けてあげるからね」
私「危険なの?幻視を見すぎると脳に良くないっていうこと?」
Dの目をみることって、幻視の力を大きく消費することなのかな。見すぎると疲れちゃうとか?
D「違うよ。でも、似たようなものさ。君はまだ知らなくていいよ。勿論、君の幻視に関しても引き続き僕が調整してあげるから、心配しなくていいよ」
私「ありがとう」
私が余計な幻視や幻聴を体験しないように、私の幻覚はDが管理してくれているのです。(詳細は過去記事「幻視・幻聴の制御」参照)もしかして、今までDの目が作れなかったのは、Dが私の幻視を調整して、目を作れないようにしていたのかな。
D「お礼を言うようなことではないよ。それに、従僕とは眠り姫を守るものだからね」
ちゅ、と可愛いキスをおでこにくれてから、Dは可愛く首をかしげました。
D「でも、ご褒美はおくれ。キスがいいね。ほら、口を開けてごらん」
私「ご」
D「開けたね」
うわあああ!!こ・・・これ・・・きもちい・・・う・・・わ・・・
D「続きは、眠りにつく前の、触覚の訓練のときにしようね」
唇を離したDは、全くいつも通りの表情と口調です。私は息を切らしているのに!!
D「待ち遠しいね。早急に仕事を片付けて、少しでも早くベッドにお入り」
私「ブ、ブログを書いて、タルパブログめぐりもしてから・・・」
・・・っていう内容の記事を、ここまで書いている間も、Dはずっとベッドに腰掛けて、私を待っているようです。ここ数日、あまりキスとかしてなかったから大丈夫かなあ。敏感になりすぎてないかな。今日は、ちゃんと調整してもらわないと心配です。どうも普通の触感とは違って、Dとの触感は常に一定なわけではないので(毎日長時間接触していれば一定に近づくのかもしれないですが)、毎回最初にDが私の触感の感度を調整してくれる(或いは、どのくらいの出力で快感を送ればいいのか計測している?)のです。調整といえば、そろそろ車の十二ヶ月点検が近づいてきました。期限が近づいてきたといえば、不動産の確定申告も・・・
D「早くおいで」
ま、待って・・・!!